嫌われたサンタ
「サンタさんなんて大っ嫌いだ!」
そんな声を僕は聞いた。
驚いて声のする方へ向かうと家の中で男の子が泣いていた。
「サンタさんが·····うぇっ·····僕のほしいものくれなかった·····っ。」
まさか!
でもお手紙をもらって届けるはずだから間違えるなんて·····。
その子のお母さんが
「何を頼んだの?お母さんが買ってあげるよ?」
と言っても男の子は泣いている。
どうしよう·····。
でも僕はサンタだ。
世界中の子供達に笑顔を届けなきゃ!
そう思い僕は男の子が本当に欲しかった物を探すことにした。
男の子の家は森の中だ。
もしかしたら森の動物さん達が知っているかもしれない。
最初はリスさん
「知らないねぇ。沢山遊んでくれるけどそんな話は聞いたことない。」
次に小鳥さん
「うーんなんか聞いた気がするけどね。」
「ほらなんかちっちゃい車みたいなことを言ってたんじゃなかった?」
そう。
最初は僕もラジコンだと思ってラジコンを届けたのだ。
「あのあの!私知ってます!」
と真っ白なうさぎさんが言った。
「雪が入ったキラキラが欲しいんだって!」
雪の入ったキラキラ?
うーん·····。
雪を持っていこうにも今年は雪がまだ降っていない。
だから動物さん達の冬眠も遅いのだ。
「ありがとう!動物さん達!探してみます!」
雪の入ったキラキラ·····
僕は家に帰って悩んでいた。
世界中の先輩サンタさんに聞いても首を傾げるばかり。
「雪だるま?」
「雪って言う曲のオルゴール?」
「雪そのものなんじゃないか?」
「雪のオーナメントとか。」
確かに雪のキラキラだけどなんか違う気がする·····。
試しに男の子の家に持って行ってみる。
「違うっ!本当にサンタさんなの?早くしないと·····。」
と怒られてしまった。
早くしないとってなんだろう?
帰り道とぼとぼ雪のない寒い街を歩く。
ふとマーケットを見るとまだそこにはクリスマスの物が安く売られている。
サンタとしてはあまり見たくない光景に苦笑しながらマーケットを見て回る。
ふとそこで僕は男の子が欲しがる雪の入ったキラキラを見つけた。
「わぁー。サンタさんありがとう!!お母さん!見て見て!」
早速とどけると男の子は輝くばかりの笑顔を見せた。
「でその雪の入ったキラキラはなんだったんだよ。」
「スノードームでした!」
「ほぉー。スノードームか。盲点だった。でもどうして?」
「男の子のお母さんが病気らしくて今度は雪が降らないところに引っ越してしまうんです。でもまだ今年は雪が降っていないからお母さんに今年の雪を見せたくてっていう風らしいです。」
「優しい男の子だな。」
「はい。すごい心が暖まりました。」
「そうだな。この寒さも少し和らいだ気がするよ。」
手元の鏡にはベッドに横たわるお母さんと近くに座る男の子。
2人はスノードームを眺めて笑っている。