挑戦の宿ーダンジョンの魔物ー
そこは灼熱の草原。
渉の新たな戦いが繰り広げられていた。
あちこちへは草木が生い茂り、見る者がピクニックをしたくなるであろう光景がそこにはあった。
しかし、ここは渉の練成スキルで創造されたダンジョンであり、単純な理屈では判断できない要素が多々存在している。
渉が設定した内容は初期の状態から、世界各国の王や女神との話し合いもあり、大きく設定を変更していた。
そして、今回のダンジョンでの目的は、世界にその量が微量と言われる程の幻想級希少価値である【マナメタル】。それは求める宝の価値が高くなる程、ダンジョン攻略の難易度が上がっていくというダンジョン仕様。その為、生半可な覚悟だけでは攻略が厳しくなるようにダンジョンの設定は行なわれていたのである。
渉の額に大粒の汗が流れ、着ている服がびしょびしょに濡れていた。
「くぅ・・・覚悟していたとはいえ、こりゃたまらんな・・・」
ダンジョンの嫌がらせとも言えるその仕様は、挑戦者の苦手としている悪環境に順応した創りへと変わり、その難易度を高めていた。
「gya-gya!!!」
-ザシュッ!
ロングソードの剣尖部分で突き刺すはトカゲ型のモンスター【サンドマン】。
「gya!・・・gyagya・・・」
胸を一突きされよろめくサンドマンであったが、一撃の威力が大したことなかったのか、よろめきつつも渉の動きを警戒している。
「ちっ、浅いか。難易度あがっているとはいえ、これほどとは・・・まいったねえ」
渉はダンジョンの外での戦闘結果とダンジョン内での戦闘差に戦慄する。
「ダンジョン外でのスキルを使わない場合、マナメタルが報酬に設定できることになってるとはな。計算外だったぜ」
そう、渉が挑戦し、マナメタルを宝とする為には、ダンジョン外のスキルが仕様不可で、新たなスキルはダンジョン内で獲得しなければならないのである。
「しかも・・・自己開示」
ー何も起こらない
「ステータス画面が出せないってのも辛いな」
ダンジョン内に入ってしまうと、次の区切り地点へ到着するまでダンジョン外への脱出ができなくなる要素がある為、渉の疲労度は増すばかりであった。ダンジョンの仕様変更をしようと考えた事もあったが、ダンジョンの攻略達成時に得られる宝がマナメタルから違うものへ変化する可能性を感じた渉は、一度挑戦してみようとダンジョンに入ることを決断したのである。
「gyagyagya!!!」
渉が考え事をし、隙を見つけたサンドマンは鋭利な爪を伸縮させ、渉の顔めがけて斬りかかる。
「!ーっ」
突如と襲い掛かる爪攻撃に渉の反応が遅れるが、もう片方の手に持った盾を掲げ、爪先を弾くことに成功する。
《盾による攻撃の防御に成功しました。身体能力が向上します》
『おっ、やったー!初めて身体能力がアップしたみたいだ』
このダンジョン内での挑戦者のスキルや能力値はダンジョン内で実際に行われたアクションを元に評価され、今のアナウンスのように告知がされる。
-渉が確認したダンジョン内でのアナウンス発生タイミング-
1.挑戦者が対象へ攻撃に成功した場合。
2.モンスター、罠、障害物等が挑戦者へ加害し、挑戦者がそれを回避、防御、反撃した場合。
3.挑戦者がダンジョン内で新しく取得したスキルを発動し、対象への効果発生が認められた場合。
大きくはこの3つである。悪環境でのダンジョン攻略であるが、これらの条件を元に渉は攻略を進めていくのであった・・・。
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➖次回に続く。
また次回もお楽しみに!




