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黒と白の関係 エピローグ

朝からなんでこんな状態に落ちいっているのだろう……

デジャブか…?



「真剣なんだ。毎朝君を見てて…やっぱり諦めきれない。」



人が行き交う混雑したホームのど真ん中で、青年実業家風のサラリーマンから熱烈な愛の告白を受けていた。

この人二回目だよな……

そういえば変わらず熱っぽい視線を送ってきてたかも……



「良かったら連絡先教えてくれないかな?なんでも好きなものを買ってあげるからっ。」

グイグイと間合いを詰めてくるサラリーマン。

男だとわかっていて迫ってくる人にはどう言えばいいのだろう?


野次馬が集まってきた。

もう…ホントに勘弁して欲しい。




「残念。白は俺と付き合ってるから。」



後ろから黒が来てサラリーマンをにらみつけながら言った。


「き、君は確かこないだ彼女を連れてただろ?」

「ああ?だからなに?文句ある?」



朝っぱらから男二人に奪われ合うってなんなんだこりゃ……

俺はサラリーマンを威嚇する黒の腕を引っ張って学校へと向かった。




「白に隙があるからあんな変なのが寄ってくんだろ?」

安心しろ…黒より変なやつはなかなかいないから。


「白さぁ一緒に行こうって約束してんのになんで先行くの?」

「サボりまくりのやつをいちいち待てるかよ。」


「白が待ってるんだったら遅れてでも行くじゃん。」

「時間通りに来いっつってんだよ!」


「彼女だったら待てよ!」

「誰が彼女だっ!」



黒の中では俺は男とか女とかそういう次元ではなく、白っていう唯一無二の存在で、俺の可愛い彼女なのだそうだ。

矛盾しまくりでよくわからん。










「黒白おはよ〜。撮影、今日から始めたいから放課後に映研の部室に来てねー。」


教室に入ると監督が話しかけてきた。

撮影?なんの話だ?


「あれ?白君…黒君から聞いてない?」

イヤな予感しかしない……


「俺がYESって言ったら白もYESだから。」

「んなわけあるかっ!なんだよ撮影って?」



「ロミオとジュリエット。」



なんでも映研で自主映画を作成するらしく、主役の二人を俺達にやって欲しいのだそうだ。

ロミオとジュリエットといっても現代版にアレンジしたものらしく、夜の歌舞伎町が舞台になっていて、ロミオはホスト、ジュリエットはキャバ嬢らしい。

なんともぶっ飛んだ設定だ。



これ…俺がキャバ嬢やるんだよな……




「黒がキャバ嬢役するならやるよ。」

「はあ?なんだよそれっ?!」


「黒君がキャバ嬢で白君がホストか…それはそれで面白いかも。」

監督が意外と乗り気だ。


「俺は白のキャバ嬢姿が見たいの!絶対可愛いだろっ!」

結局こいつの目的はそれか……


「この際二人ともキャバ嬢しちゃう?そうなると百合になっちゃうか……ややこしいなぁ。」



「「それは有り得ねぇからっ!!」」



俺も黒も断固反対した。




結局最初のキャスティングである、黒がロミオでホスト役。白がジュリエットでキャバ嬢役に落ち着いた。


男が二人とも女装して百合の映画になるよりかはよっぽどマシである。




黒がビシッとスーツ着てホストを演じるのか……

きっと俺はまたドキドキしちゃうんだろうな。


俺の中で確実に芽生えてしまっているこの感情。

黒にはバレないように秘密にしている。

だってそんなの黒が知ったらなにしてくるか考えただけで恐ろしい。




でも……



もう一度黒に触れて欲しいなんて思ってたりもする。

俺もかなり矛盾している。














─────黒と白の関係…………



黒とのこの関係を言葉では説明しづらい。


小学生からの幼なじみであり、親友であり、ライバルであり、恋人同士であり……




相変わらずめちゃくちゃな扱いをしてくる黒に腹が立ちまくりなのに、大好きだっていう思いは変わらない。

俺ってMなのかな?


黒は完璧ドSだろうけど……




俺と黒は一番長く一緒にいた存在で、そばにいないことの方が不自然に感じる。


それはきっと黒も同じで、二人のこの関係はこれからもずっと続いていくのだと思う。


一心同体であり、運命共同体なのだ。







「監督〜。台本には白とのキスシーンとベットシーンは入ってるんだろうな?」

「黒っおまえなに言ってんだ?!」


「大丈夫。優しくしてやるから。」

黒がペロッと舌を出す。

うっ……この舌があん時、俺の口ん中入ってきたんだよな……




「なんで白、顔赤くなってんの?」

「……なってねぇよ。」


「なってるよ。真っ赤じゃん。」

「なってねぇって!」


「なんか白可愛い。食べちゃいたい。」

「抱きつくな黒っ!」








黒と白が新たな関係になるのも


そう…遠くないのかもしれない───────














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