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2-1




 気付けば此処へ来てから半年ですか。

 もう、慣れました。



 ━━━…ピトッ……ピトッ……ピチャッ……



 突然、頭に水が(したた)ってきても気になりません。


 次は窓ガラスですよ。



 ━━━カタカタカタカタカタッ!



 予想通り、震え出しました。

 

 別に目を向ける程の事ではありません。

 さっさと仕事を終らせて、眠りたいのです。


 この前キコツさんから頂いた、お布団が私を呼んでいます。

 ケツァルコアトルの羽毛布団に、ジェノサイドスパイダーから採ったスパイダーシルクのスベスベなシーツ。

 ナイトメアシープのもふもふ枕。


 想像しただけで眠くなってきました。



 ━━━ビリビリッビリッ!


 ━━━スカッ……スパーン!



 筆記具に雷魔法が仕掛けてあったり、ゴーレムがハリセンを振るって来たりも、既に日常の一部です。

 私の身体は人間ベースですが、筋肉や内臓などの働きが生物とは違うので、電気で痺れることはありません。やろうと思えば、全く同じにも出来るんですけど、疲れるのでイヤです。


 それとハリセンゴーレムですが、そこに居る時点で分かりますから。空気の流れや音の反響の変化、ゴーレムの材質の匂いや魔力の流れがあります。

 攻撃なんて、当たるわけないじゃないですか。



「どりあーどはっけん!」


「はっけん! はっけん!」


「あそぼーどりあーど」


「あーそーぼー!」




 これには参ってしまいます。

 最近私の周りを付きまとっている、小精霊と妖精達です。

 元々はフィシリアさんにくっついて居たのですが、私が果実を与えてしまったばかりにこんな事に……


 くっ! 失敗しました。


 とは言っても、彼らも悪気があるわけではないですし、時々お仕事を手伝ってもらってるので強くは断れません。


 仕方ないので、次の休憩まで待っていてもらうように説明しました。

 きちんと説明すれば、妖精達は分かってくれるのです。

 小精霊は、ほとんど自我を持っていません。妖精を動かせば勝手に何処かへ行ってしまいます。


 

 ……はぁ…ここのお仕事も慣れたものです。

 私含めて7人のメンバーですが、4人は人間の街に潜入しています。骸骨は何処かでサボっているでしょう。

 基本的にフィシリアさんと2人で書類を捌いていますが、勇者さんの導きもありますので、しょっちゅう居なくなります。


 なので今、私1人で書類の整理をしているのです。


 あら? 来客の様です。

 この忙しい時に来るなんて。

 無視しても良いですか? そうですか駄目ですか……

  


「失礼します。人間達の集団が『リリーハックの森』を襲撃しているとのこと。更に第三戦力に、恐ろしく強い酒瓶を持った仮面の男が居る模様。戦える者は至急戦闘準備をお願いします! 失礼しました!」



 こんの忙しい時に……


 ん? リリーハックって私の管理地(テリトリー)じゃないですか!

 距離が離れていて、パスが薄くなっていたみたいです。おかげで全く気付きませんでした。


 許すまじ、師匠。

 どうせその仮面の男は師匠ですよ、もう本気で殺しに向かいたいと思います。


 取り敢えず、職場を離れる旨を記した書き置きをして行ってきます。



 さて、私は木精霊です。

 それはある一定の樹齢を重ねた樹木に宿るらしいですが、そんな事はどうでも良いのです。ついでに言えば、私の産まれは特殊なのであまり当てになりません。


 つまり何だと言われれば、それは簡単です。

 私は、離れた土地に確保してある目印に転移出来るのです。もう少し詳しく説明するなら、今の身体を植物に戻して、別の場所の植物を本体として肉体を構築します。


 そんな訳で、私の管理地へ向かうとしましょう。

 魔王城(ここ)からなら、多分2~3箇所を経由すれば行ける筈です。


 ではまず、1回目。


 





 …………視界が塞がっています。


 誰ですか?

 顔になる部分に貼り紙を付けたのは、どうせ師匠ですね。


 何か書いてありましたが、読む気にもなりません。


 2回目です。



 





 ……大量の酒瓶が転がっています。


 ここで呑まないで下さいよ、師匠。

 せめて片付けぐらいはしてほしいです。


 3回目。











 到着です。

 この森自体が、私そのものでもあるので、移動も楽です。


 騒がしい場所に向かいますよ。








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