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7-2

蛇足、始まります。




「ヘタレかっ!?」


「いやっ、でも…あぁ~でもなぁ~」


「アレだけ自信満々だったのに、肝心な所で日和るとか無いわ~お前にはガッカリだわ~」


「んなこと言ったってよ、流石になぁ……」



 昨日初夜を明かした俺は、ガレオを呼び出して飯屋に来てる。

 で、思い切りバカにされてんだけど、悔しいが反論出来ない。


 良い雰囲気までは行ったんだけどさ、ベッドの中でシッポリヌッポリにはならなかった訳よ。


 でも聞いて、同じベッドに入るまでは頑張ったんだぜ!?



「でもマジかお前……ククッ、まさかの寝落ちとかさ」


「違うって…弥槻さんの寝付きが良すぎなんだって……横になって数分で落ちるとか反則だわ。生殺しも良いとこだろうが!」


「もうそのまま襲っちまえよ。弥槻さんなら大丈夫だろ」



 おまっ…他人事だと適当言いやがって。

 そんな事しねぇよ、ちゃんと愛を感じたいんだよ!

 弥槻さんは気にしないかも知れないけど、ムードとかあるだろう。


 それに寝込みを襲うとか、俺の美学に反するわ。



「じゃあもう先に言っておけよ。今日は貴女とセックスしたいから起きててくれって」


「……俺もさ、そうした方がいい気がしてたんだよ。弥槻さんって、ちょいちょい天然発動するからさ、言わなきゃ伝わんないと思ったんだよ」


「で? 僅かな望みに懸けた結果、見事撃沈か」



 くっそぉぉ!


 まぁでもさ、負け惜しみみたいだけど、今みたいな状態も楽しいんだけどな。

 本気で好きな人と一緒だし、向こうも受け入れてくれてるから。幸せと言えば幸せなんだよ。



「ってかさ、お前らはどうなの? ノエルと一緒に暮らしてんだろ」


「ああ、家買って落ち着いて直ぐにヤることヤったぞ。式こそまだだが、その辺はちゃんと考えてる」


「……お前の事が、ただのバカだと思ってた俺を殴りたい」


「バカなのは否定しないけどな。ガキの頃からずーっとノエル一筋の変態だぜ!」


「だからパーティ組んでからしばらくは、お前から殺気を感じたんだよな。マジで怖かったわ」


「イヤ~だってノエルの好意を無視するとか、許せないじゃん? 何? 俺からノエルを奪うの? って感じ」



 それが怖ぇんだよ。

 俺がノエルを誘ったんじゃなくて、ガレオを誘ったらノエルが来たんだぞ。


 俺は純粋に、近接戦闘の上手い奴が仲間に欲しっただけだったんだ。確かに、コンビ組んでたから2人セットで誘ったけどな。正直お前が目当てだったし。

 ノエルも受け入れたのは、システィの話し相手と、魔法が使えたからだし。


 まあ、思ったより知識量多くてビックリしたけど。

 実はそこまで期待してなかった。


 俺、ツンデレって苦手なんだよ。

 何かイラッとする。


 今はもう慣れたから、気にならないけどな。



「龍悟お前、弥槻さんと一緒じゃなくて良いのかよ。オレと居て良いわけ?」


「弥槻さん、今最強の人外達と会議してるから。何か、普通に仕事があるっぽい。俺は普通に定休日」


「何かあったのか。弥槻さんって、魔王軍の切り札だろ」



 切り札ねぇ、弥槻さん以外は命令聞かなさそうだもんな。そんなジョーカー使えないだろうなぁ。


 って言うかさ。魔王さんが一番強い訳じゃないんだよね。そこに衝撃だったわ。

 魔王さんが、勝てないレベルの猛者が普通に居るの。諜報課とか言う、仕事してるか分かんない部署に普通に居るわけよ。


 そう言えば、未だに1人知らない人が居るんだけど。ジョンさんだっけ? ドッペルゲンガーの人。

 あそこの部署の人だから、実は知り合いだったとかでも驚かないけど。



「でぇ~、お前どうすんの? 我慢も限界じゃね?」


「そうだな、今日言うわ。ムードとか諦めるわ」


「さっきから手の平がクルクル回ってるぞ。お得意の即断即決からの即行はどこ行ったよ。その話題は何回目だよ」



 うるせー

 どうでも良いと思ってるからの即断即決だぞ。どうでも良くないからこそ悩むんだろうが。


 夢見た童貞で悪かったな!

 少しくらい希望を見せてくれよ!

 


「悪いなんて言ってないって。龍悟のルックスで初物なのは意外だけど。オレから言えるのは、頑張れってくらいだよ」


「おう、頑張るわ。……ところでさ、ずっと気になってたんだけど、何時まで髪の毛燃やしてんの?」



 本当コレ、ずーっと燃えてんの。

 今日合流したときにら既に燃えてんの。


 不思議と燃え尽きないし広がらないから、店員さんもスルーしてるけど、皆二度見三度見してくよ。


 

「これさ、止められないんだよ。どうしたら良いと思う? 昨日狐の人を泊めたときに、狐火が頭に乗っかってさ、そしたらこうなった」


「すまん。止め方も意味も分からん」



 訳分からん。

 狐火が頭に乗っかる時点で意味が、ヘラヘラしてられる気持ちが、止める方法が、全部分からん。


 お前の好きにしてくれよ。

 問題が無いならそれで良いじゃん。



「問題はある。治るまで多分ノエルに抱き付けない」


「知るか」


「いや聞け! お前がお姉さんお姉さん弥槻さん弥槻さんと言い続け、ずっと惚気を聞かされてきたんだ。オレの惚気も聞けぃ! そしてオレの気持ちを知れ!」



 うわー聞きたくねー。

 興味わかねぇー。


 他人の惚気とか、つまんないし。自分で言うのは良いんだよ。楽しいし。聞くのは苦痛でしかない。


 適当に相づちを打ちながら、自分の世界に逃げ込むとしよう。


 うん。


 ほう。


 そうだな。


 とかそんなんしか言わないぞ。




「聞ーけーよー」


「聞ーてるよー」
















 四時間くらいたってから、やっと解放された。


 後半は、俺も言いたいこと言ってたけどな。俺もガレオも、相手の話なんか聞いてなかったし。


 だいぶ時間食ったな。


 なんか買って帰るか。


 そう言えばさ、弥槻さんって以外とお店知らないんだよな。必要なのは自分で用意出来ちゃう人だし、それを手間だと思ってなさそう。

 てか、元々が食事不要で、服が嫌い。生理現象は起こらない。たまに水を飲む程度だったらしい。


 そりゃ何もいらないだろうよ。

 また料理にハマってるみたいだし、食べるのも楽しいらしい。だから最近は、飲食店に連れていってる。


 弥槻さん。普段が普段だから、リアクションが一々新鮮で可愛いんだよ。不意打ち気味に微笑むのは、反則だと思う。


 ほらさ、結婚式挙げたじゃん?

 あんときに、思いっきりディープキスを頂いたじゃん?


 最中の感想は、気持ち良かったしか覚えてないけど、終った時にしてたドヤ顔が瞼に焼き付いてるんだよ。

 漫画とかなら、背後にドヤァァ…って書いてある感じな。


 アレも多分誰かの入れ知恵だろうけど、正直良くやったって褒めてやりたい。二次会の時にチラッと聞いたんだけど、夜の方もしっかり学んで来たらしい。


 そんな事聞いたらさ、そりゃ楽しみだし、期待もするじゃん。同じベッドに入ったし、ムラムラもするって。


 そこで寝落ち! 期待させるだけさせといての裏切り!

 俺の性欲が、暴発寸前だよ!


 てかさ、弥槻さんに一目惚れしてからずっと我慢してるんだぜ? 自己処理だってしてないし。俺の精神力とか覚悟に感動する。


 俺すごい!

 素敵! 抱いて!


 とは、ならないんだよなぁ…

 だから何だって話だし。


 やるなら、全部話したうえで。


 俺頑張った!

 ご褒美! 抱かせて!


 こうなるんだろうなぁ…


 だけど、それで良いじゃん。

 もうどうでも良いから、弥槻さんとセックスしたい。せめて抜いて欲しい。


 ここまで来たら、意地でも自分で発散しないからな!




 …………はぁ…


 ……帰ろ…。








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