[エルク]魔に閉ざされし大地
大陸統一。
人々は活気に満ちた顔で、種族の間の隔たりもない。
皮肉な物だが・・・聖神の功績ではある。
余りにも酷い状況からの解放、それは、本来であればすぐに生じるはずのあらゆる負の感情を、起きなくさせていた。
長い抑圧により、大地の広さに比して、人の数が圧倒的に少ない、というのも、それに貢献している。
魔神は、全ての柱に平等に力を注ぐ。
また、100年毎の闘争の為に力を取り置く必要もないので、惜しみなく注いでいる。
結果、水も大地も豊かになっている。
当然、柱の影響がある地と、それ以外の地では差が出るが・・・現状、移動が制限されている訳ではない。
豊かな土地が良ければ、豊かな土地に住めばいいだけだ。
無論、10年後、100年後、500年後・・・今後、戦火は必ず上るだろう。
それは人の性であり、魔神も認めるところだ。
あまりにも酷ければ、介入は必要だが・・・そうでなければ、ある程度は自由にさせる。
それは魔神の方針でもあり、エルクの方針でもある。
魔都、それは必ず1つ置く必要がある。
中央議会、お金の管理、全体最適化・・・その他、中央教会の存在がある。
ここは魔神の治める大陸。
教会は、一定の権限を持つし、魔神の声を受ける者を配し、各地に届けなければならない。
エルクとしては、バロンの運営を他の者に託し、自分はファーイーストの王に戻りたい気はあったのだが・・・この巨大権力の塊を他の者に委譲するのは、他の者が不安に思う。
そして、リアは少なくともバロンから動けない・・・それに、ニルスにも元いた国以外の統治を願っているのだ。
エルクとその嫁だけ引っ込む訳にはいかないだろう。
この先、少なくとも数年、安定するまでは、エルクが中心となって指示を出し・・・当初の予定通り、少しずつ各都市に権力を委譲していく・・・
少なくとも、新兵器開発の必要は無い。
これまでよりも、自由になる時間は増えるはずだ。
ここは魔に閉ざされし大地。
治める魔王は、美しく頼りになる嫁達に囲まれ・・・
その治世は、きっと永く続く。
お付き合い下さり、有り難うございました。
聖女が自分からその身を差しだしたら・・・という思いつきから書いたお話です。
当初の予定とは大分変わってしまいましたが、書いていて楽しかったです。
それではまた、他の作品でもお付き合い頂けたらと思います。




