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[エルク]アルカディア陥落

アルカディアの攻略。

特筆すべきことはなかった。


9隻の船型ゴーレムが悠然と飛び・・・抵抗の無意味さは明かで・・・降り立つ無数のゴーレム部隊・・・ある者は解放に喜び、ある者は辺境へ逃げ・・・


流石に聖教会は抵抗をしたが・・・力ある者もいたが、ノエルの毒に耐えられるはずもなく。


王城は無条件降伏。

王は辺境への逃亡を望み、受け入れられた。


そして最後の聖柱は書き換わり・・・


聖神は、即死はしない。

だが、これまでのような悪巧みは出来ない。

神力は振るえないのだ。

最早目も見えず、音もほぼ聞こえない。

そんな状態だろう。


聖教会の解体、住民の解放・・・

流石に強く洗脳されている者もいて・・・解毒はしたが、それで収まる物でもなく。

辺境で生きる道を選んだ者はそちらで・・・あくまで破壊活動を試みる者は、その命を奪い・・・


大陸の統一は成った。

戦いの終結は厳かに宣言され・・・人々は喜びの歓声を上げた。


エルク達は、魔神に呼ばれた。

今後の事だろうか。


バロンに幹部が集結。

そして、魔柱から、魔の神域へと移動。


そこには、魔神と・・・そして首輪を付けられた聖神がいた。


「子等よ、この度は大義であった。そなた達のお陰で、私も・・・そしてこの世界も救われた」


魔神が、エルク達を労う。


「御神を奉ずる者として・・・そして、この世界の民として、当然の事をしたまでです」


エルクが恭しく言う。


「おのれ・・・貴様等・・・ぐっ」


聖神が恨みが籠もった目で睨みつけ、毒を吐くが・・・・魔神が鎖を引っ張り、息が詰まる。

げほっ、げほっとむせている。


「聖神は、その神力を奪い、地球へと献上した。地球から不当に奪ったリソースの補填だ。まあ、立場から解放された為、半死半生であった身は通常に戻ったが」


魔神が、聖神の顎を持ち上げながら言う。


「貴・・・貴様等・・・貴様等がした事は・・・この変態を生かしておいてはならん・・・のだぞ・・・」


「いいねえ、その目、その言葉・・・その棘のある殺気・・・ぞくぞくするよ」


恍惚と魔神が言う。


「どんな気持ちだい?後一歩で勝利する所まで追い込んでいた奴に、こうやって隷属させられるのは」


聖神の顎を更に持ち上げ、耳元で語りかける。


「離せ・・・この変態!」


聖神が涙目で叫ぶ。


魔神は優しい目でエルク達の方を向き、


「まあそんな訳で、聖神は私がしっかり監視しよう。無論、我が民にも目を光らせるが・・・基本的に私の方針は、自由だ。抵抗出来ない状況で非道を行う、そういった行為は許さないが・・・抗しうる形での闘争は、干渉しない。それは分かっているな?」


「はい」


先程まで目の前で行われた光景にちょっと驚きながらも、エルクが肯定の返事を返す。


「今はいい。みんな解放の喜びと、発展と・・・良い方向に気持ちが向いている。だが、遠からずその気持ちは内側に向き・・・権力闘争は発生するだろう。そうなった時、其方等がもたらした技術は、お互いに向けられ・・・」


魔神は憂いの雰囲気を纏い、首を振ると、


「其方等が気に病む事は無い。どうしても星を壊すような事になれば、今度は私が動こう。無論それは最後の手段ではあるし、そうならない事を祈るしかないが・・・開けられた箱は閉じられない」


魔神は、優しい目で言う。


「それでは、戻って自由にするが良い。この度は誠に大義であった」


聖神が涙を浮かべ叫ぶ。


「きもいってっ!この変態!あいつ等・・・私にコイツ押しつけただけじゃなく、更に見捨てやがって・・・!」


魔神が慰める。


「大丈夫だよ、聖神。キミが壊れたりするような事は、私が許さない。キミはその純真な気持ちを持ったままで、永久に私と一緒にすごすのだよ」


「殺せ・・・むしろ殺してくれえええええ」


聖神の言葉を聞かないようにして、エルク達は魔神に一礼すると、その場を辞した。

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