表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/71

[スルティア]ムスペルヘイム陥落

ムスペルヘイム。

かつて大陸最強の名すら冠した戦いの国。

中央都市ムスペルヘイムには、闘技場があり、大陸中から人が訪れていた。


正規兵の練度もさることながら、傭兵部隊の力、そして国に属さない冒険者達の力が圧倒的であった。

冒険者ギルドの力も強く、国に対してかなりの発言権を有していた程だ。


戦力にも貪欲であった。

各都市で開発された新技術の情報を入手しては、大量に買い付ける。


国の象徴は炎。

火山が多く、炎の精霊も多い。

その力を利用した産業も盛んであった。


そう過去形だ。

まずは冒険者が軒並みいなくなった。

魔界へと散っていったのだ。

続いて傭兵がいなくなった。

聖界では外出を禁じる法が乱れ飛び、外から闘技場を見に訪れる足は途絶えた。

炎の精霊は聖神について行けず、隠れてしまった。

無論、正規兵からもかなりの数の離脱者が出て・・・

そして技術は・・・


「な、何だあのでかいのはあああああああ」


ムスペルヘイムの王、スルティアは叫ぶ。


「お父様!無理です!降伏しましょう!砲撃部隊は一瞬で消し飛ばされました!」


王女エディスが懇願するように叫ぶ。

虎の子の魔導砲撃部隊は、空を飛ぶ船に向かって魔法を放ったのだが・・・小揺るぎもせず、筒の1つから飛んだ魔法で、一瞬で全滅・・・

もう、戦いとかそういう話じゃない。


「まだ・・・まだ手はある・・・!」


王は、その目に灯る狂信の光を輝かせ、立ち上がる。


「無理です!」


王女が無理に王の肩を掴むと、そのまま座らせる。

船型ゴーレムから無数のゴーレムが降下。

音もなく着地すると、抵抗する者を排除・・・同時に、一般の住民を安全な場所に誘導する。

逃げる住民を抑えようとする憲兵を、頭部横の砲台から射出した矢で殺害。


「降伏して下さい!降伏すれば命だけはきっと・・・!」


「奴等だ!地下の奴等を解き放て!」


「無理です!」


闘技場は既に内部蜂起で制圧。

地下には凶悪な魔物がひしめいていたのだが・・・軒並み、内部関係者の手で殺害されている。

解き放ったら、住民に凄まじい被害が出るのだ。


「おのれ・・・この命尽きるまで、絶対に降伏等せ・・」


ゴッ


王女が、王を殴り、王は意識を失う。


「駄目ですよ・・・貴方は私の肉親なのですから・・・!」


王女は兵士達を呼ぶ。

降伏の指示を出す。


王女は祈る。

願わくば、その命助かる事を。

せめて王だけは、田舎での生活でいいので、暮らして欲しい・・・


ムスペルヘイムは、魔界に降った。

王女の願いは届き、王は辺境で権力を奪われつつもその生を許され・・・やがて孫にも恵まれ、悪くない余生を過ごしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ