[アレクシア]我が神在らざる神
「ここが・・・地球の神域・・・」
アレクシアは、きょろきょろしながら進む。
やがて部屋につく。
部屋には、液晶テレビに円盤状自動掃除ロボ、冷蔵庫にスピーカー・・・見慣れた・・・いや、かつて見慣れていた物が並ぶ。
そして、マッサージチェアに、その存在は座っていた。
「!」
慌てて跪き、頭を垂れるアレクシア。
「構わないですよ、アレクシア。貴方が来る事は分かっていました。それに・・・貴方はもう私の眷属ではないですしね」
「女神様・・・この度は、確認したい事がありまして、参らせて頂きました」
「そちらの国の聖神が、我が国のリソースを使用している件ですね。こちらも、そちらの魔神の報告により調査、確認しました。その穴は塞ぎましたので、これ以上聖神は何もできないはずです」
「・・・有り難うございます」
「こちらとしても当然の事をしただけです」
女神が、微笑む。
用は果たした。
場を辞そうとしたアレクシアに、女神が声を掛ける。
「そうそう、アレクシア。貴方に伝えておくことがあります」
「はい、何でしょうか?」
「魔神には気をつけなさい」
アレクシアは、その言葉を予期していた。
そして、用意していた言葉を返す。
「私は御神の眷属です。それを疑う心は持ち合わせておりません・・・そして女神様、私からも、もう一つ、追加で伺ってもよろしいでしょうか?」
女神は笑みを浮かべ、言う。
「許可します」
「それでは・・・何故、我が世界の聖神に、力を貸していたのでしょうか?」
女神は微笑むと、アレクシアに告げる。
「アレクシア、其方にもう一つ、伝えておくことがありました。これはパラスやセリアにも伝えて下さい。私は、貴方達の帰還を歓迎します。その命を終えたとき、願えば、私はあなた方を回収してあげましょう」
アレクシアが応える。
「気が早い話です。我々は、後数千年は生きますので。そのような先の話、考えられません」
女神は、小首を傾げ、
「たかだか数千年、一瞬なのですが・・・子等には、長いのですね。分かりました、では、伝えるだけ伝え、そして覚えておいて下さい。決めるのは、最期の刻で構いません」
「有り難うございます」
アレクシアが深々と礼をする。
ボウッ
アレクシアの横に帰還用のゲートが現れる。
「それでは、お時間を取って頂き有り難うございました、我が神在らざる女神様」
そう述べ、アレクシアは帰還用のゲートへと入った。




