[ニルス]レイアー防衛戦
「攻めてきました」
兵士がニルスに報告する。
ニルスは、内政はそれなりの才能を見せているが、軍事には明るくない。
「橋を上げよ!配置につけ」
篭城戦。
ここを攻められる限りは、篭城。
ただ、西に抜けるのは放置して良いと言われている。
南に抜けるのは阻止する必要がある。
北からは、バロンの聖獣部隊。
大型聖獣と、騎乗型聖獣に乗った騎兵の混成部隊。
大型聖獣が20、騎乗型聖獣が1,000、一般騎兵が30,000、相当な規模だ。
西からは、ベヒモスの有人魔導ゴーレムが100、無人魔導ゴーレムが1,000、こちらも相当な規模だ。
この機会にレイアーを落とし、余勢を駆って、魔界を切り崩す意図が見える。
「撃て」
ドウッドウッ
城壁に設置された砲台から、鉄球や爆弾が飛ぶ。魔導と火薬を併せた魔導兵器だ。
通常の矢や魔法が届かない距離から、敵軍に先制攻撃を加える。
盾の魔法、迎撃魔法、魔獣のブレス弾・・・無力化される物もあれば、着弾、爆発、被害を与える物もある・・・だが、影響は軽微。
敵は着実に迫る。
物量で押し切るつもりだろう、砲弾や、城壁から放たれる魔法、矢、そういった物が屍の山を築くが、それを乗り越えて敵が迫る。
敵の攻撃も届き始める。
防衛役が迎撃魔法で迎撃する。
「今だ、放て!」
一度切りの奇策。
ニルスが依頼し、ノエルとアレクシアが開発した道具。
筒状の物が無数に射出される。
それは聖獣の群れの間に次々落ち、あるいはブレスで焼かれ・・・煙が出て・・・突如聖獣が暴れ出す。
聖獣を暴走させる煙だ。
隊列が崩れ、大混乱が起きる。
「騎手を狙え!」
ニルスの命令で、魔道士部隊、弓手部隊が精密射撃を行い、騎手を射貫く。聖獣は更に暴れ、混乱を拡大する。
次々と追加で、円筒を放つ。
一方、ゴーレムの群れには・・・
ゴウッ
動きが遅いゴーレムを大砲で狙い、着実に数を減らす。
籠城、そして足止め。
それがニルスの役割。
堅実に、民を守る。
同時に、他方面への侵攻を食い止とめる。
戦いはまだ始まったばかりだ。
有人魔魔導ゴーレム→有人魔導ゴーレム




