[エルク]ユグドラシルへの宣戦布告
ソロモンへの遷都から3ヶ月。
都市の整備、軍備の準備・・・少しずつ整っていた。
一方、聖域からの難民の流入は途絶えていた。
それだけ、聖神側の打った手が有効だという事だろう。
小競り合い程度の進軍は、レイアーやアルケーにあり、都度撃退していた。
ソロモンには幹部が多くいる為、守りは堅く、攻めて来てはいない。
聖者がいなければ、駐留兵士だけで対処できるし、聖者がいれば駐留兵士で足止めしつつ、幹部が出向いて倒す形となる。
聖神側も、聖者を一度に大量投入できない事情があるらしく、スポット的な投入をしているようだ。
「ユグドラシルに宣戦布告する」
エルクが、幹部に向かって宣言する。
「難民の流入も止まっています。猶予はないですね・・・」
アレクシアも賛同の意を示す。
ユグドラシルに攻める場合、ソロモンから北に移動し、攻め入るルートが攻めやすい。
だが、途中には難攻不落のデルタ要塞がある。
地形的要所に設置された砦だ。
「ここから北上、デルタ要塞を破壊し、ユグドラシルに攻め入る」
「デルタ要塞・・・難攻不落の要塞。そこを守る将軍も、有名ですね」
ノエルが言う。
「まあ、普通に奪おうと思ったら大変だが・・・遠くから大規模破壊魔法をしかけて壊そうと思う。ただの通り道になるだろう。勿論、向こうが降参するなら、その必要もない。まずは呼びかけないとな・・・」
「船で飛んでいくのは駄目なんですか?」
パラスが尋ねる。
「幹部だけまず船で送り込む手はあるが、要塞を残すと背後で蠢動されるし、後から兵士を送るのも一苦労だ。要塞は落としておいた方がいい」
エルクが答える。
可能な限り一般国民に被害を出したくないが、これからはそれが難しくなるだろう。
そしてそれは、時間が経てば経つ程、悪化するのだ。
「まずノエルは連れて行く。高範囲に浄化の魔法をかけて欲しい」
「僕も、ノエルが力を解放してくれれば治療が出来ると思う」
ジャンヌが胸を張る。
「私も、一応甘い水とやらの構造は理解したし、何とか出来ると思う」
アレクシアも答える。
「私はここの拠点防衛ですね。後2人程、防衛に必要だと思います。他拠点も攻められる可能性を考えて」
「・・・となると、セリアとパラスで・・・俺一人で王城に」
「流石にそれは危険ですね・・・」
リアも首を振りながら言う。
「となると・・・リアだけは拠点防衛。出血覚悟で、全力を挙げてユグドラシルを落とし、セリアとジャンヌを早い目にソロモンに帰還させよう」
「分かりました」
頷くリア。
「では、デルタ要塞とユグドラシルに宣戦布告を。抵抗するなら容赦なく命を奪う、と伝えてくれ」
「分かりました」
「分かったよ」
アレクシアとジャンヌが応える。
ちなみに、アレクシアが文面を考え、ジャンヌが読む役だ。




