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[クララ][時系列不順]ミーミル陥落

風の聖女クララ、火の聖女ローラ、地の聖女サラ。人間側の最高戦力だ。みんなその自負はあるし、責任も理解している。


今回は最高司祭主導の作戦。聖神からの神託もあり、聖女は正式に最高司祭に従って動き始めた。勇者がまだ明かされていないのが不思議だが。


最高司祭の情報収集能力、そしてそこから立案される作戦の素晴らしさは、筆舌に尽くし難い。


「今回はヘマするなよ」


ローラがクララに言う。余計な事を・・・クララは思う。


「前回の作戦、何故あの船を墜とせなかったのかは分からん。どんなトリックを使ったのか・・・その事に関しては言い訳のしようがない」


事実は事実と認める。


聖女3人に加え、聖騎士クラスの兵が200人。これが今回ミーミルを攻める人員の全てだ。少数精鋭。聖女は言うまでも無く、聖騎士達も皆伝説級の力を持っている。


「火は癒やし、その火は全てを許す」


ローラの言霊(ことば)により世界が改変、眼前に炎が生じる。


「運べ、そして広がれ」


クララの言霊(ことば)が、炎の言霊(ことば)と融合、合わさった言霊(ことば)はミーミルの都市に達し、火を振りまく。人間の街ではないという事は、非戦闘民への被害等を考えなくて良いという事だ。猛る力の奔流が、全てを焼き尽くしていく。


「燃えろ燃えろ燃えろ燃えろ」


ローラの言霊(ことば)はガソリンのように、炎に力を与え続ける。


「広がれ広がれ広がれ広がれ」


クララの言霊(ことば)が、その火を凄まじい速度で拡大させていく。


「行きますよ」


サラの言葉。地面に空いた穴を指す。ここからは聖女のみで行動する。聖騎士達は、攪乱だ。各々、破壊活動をする為散る。


サラが創り出した地下道は、正確に城内へと続く。守りが薄い城内を、魔柱を目指して進む。途中出会った者も、聖女の言霊(ことば)であっさり命を散らす。そして・・・


魔柱。それを守る魔獣、フェンリル。


「縛せ」


サラの言霊(ことば)、上空より無数の土の杭が墜ち、フェンリルを貫こうとする。


「聖女共め、返り討ちにしてくれるわっ」


フェンリルの咆吼。土の杭がかき消える。


「汝、息する能わず」


クララの言霊(ことば)により、フェンリルの周囲から酸素が消える。


「おいっ、炎が届かねえぞ!」


ローラが抗議の声を上げる。


「貫け」


サラの言霊(ことば)、が土の槍の形をとり、フェンリルに向けて飛ぶ。フェンリルが叫ぼうとするが、クララの力の影響で上手く叫べない。手を振り上げ、クララを潰そうと振り下ろす。


「弾け」


ローラの言霊(ことば)により、高熱の凝縮した炎の壁が出現、振り上げた手を防ぐ。


サラの放った土の槍がフェンリルを貫く。


「切り刻め」


クララの言霊(ことば)が、フェンリルを切り刻む。


10分程かかり、終にフェンリルは動かなくなる。すかさず、クララ達は魔柱に駆け寄り、書き換えを開始。途中2回程の襲撃をはね除け、1時間程かけて書き換えを完了。


この瞬間、ミーミルは陥落。神の勢力差は、聖柱13、魔柱1、聖の勢力の勝利に、王手がかかった。襲撃に気付いてから制圧が完了するまで僅か2時間。


ミーミルからは、魔族は逃げだし、ファーイーストへと逃げ込む。追撃は禁止されている。兵士は、ただミーミルに残存した魔族を虐殺する事に専念した。


この日、ミーミルという国は消失した。それは、国王を失った1時間程後の事であった。

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