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[フェオドール]ソロモン攻略戦の惨劇

「皆の物、今日は我がミーミルが悲願である魔柱の奪還を行う、歴史的な日である。我が軍は最強だ。故に今日の成功は最早確定しておる」


「フェオドール様、魔王様に挨拶に行く必要があります」


「何を馬鹿な。私が他の者のもとに行く必要等ない。挨拶に来るべきは奴だ」


「そんな・・・」


「黙れ、次につまらん事をぬかせば、その首が体から離れると思え」


「は・・・申し訳ありません」


フェオドールの軍勢が、セリア砦から出発する。その数、2万。ミーミルの防備は薄くなるものの、主要な侵攻路にセリア砦がある為、そこまで守備を気に掛けなくても良い、そういう判断だ。


セリア砦からソロモン国境線までは、この行軍速度で2日、そこから1日で首都へと到達する。


監視塔、関所、砦等を蹂躙しながら進む。ソロモン国境にさしかかったところで、伝令が入る。


「大変ですフェオドール様・・・我が首都、ミーミルが・・・攻められています!」


「ふん、守備兵力だけで蹴散らし、返り討ちにしてやれ」


「それが・・・敵が聖女を3人も動員してきました!」


「馬鹿な?!」


これまでの戦いでは、聖女が前線に投入されるのは、聖神による統一攻撃が指示されてから。勇者が率いる聖女部隊が魔界に攻め入ってくる、という形だった。勇者の出現もまだなのに、しかも、奇襲の形で運用するとは!


「・・・引き返すぞ!」


既に2日かけて進んだ。ここからセリア砦まででも2日かかる。そこから1日かけてミーミル・・・間に合うのか・・・


軍を返し、セリア砦に向けて行軍を開始する・・・だが・・・


「大変です、フェオドール様!側面から次々に攻撃を受け、我が軍の被害は甚大です!」


「おのれ、卑怯な真似を!」


出撃して本拠地が手薄になった時期に本国を突く、退路に兵を配置しておき、側面または後背から攻撃する。どれも教科書通りの用兵ではある。そしてその効果は確実だ。


そして・・・


飛んできた矢が、フェオドールを狙う。


「盾よ」


構成した魔法が矢を止めようとするが、矢が魔法を破壊し更に突き進む。すんでの所で躱すフェオドール。


「何だあの出鱈目な威力の矢は?!」


撃ってきた方を見る。フードを目深に被った者が立っている。


「射貫け」


フードを目深に被った者が放った言霊(ことば)に、空間が歪み、矢が創り出され・・・射出。再度フェオドールを狙い飛ぶ。


周囲からフェオドールの軍の手勢が、フードを目深に被った者に向けて魔法や矢を放つ、が


「射落とせ」


放った言霊(ことば)が、無数の矢を創り出し、放った攻撃をことごとく無効化する。射落とす、という概念を放ったのだ。


そうこうしている内に、フェオドールの軍勢は、確実にその数を減らしていく。フェオドールは盾の魔法と回避で何とか躱すが・・・


シュシュシュ


別働隊の弓兵が矢を放ってくる。


「効かんわ!」


フェオドールが叫び、盾が展開。弾く。


「矢を」


フードを目深に被った者が放った言霊(ことば)が、弓兵部隊の弓に矢を創り出す。弓兵部隊が次々に矢を放つ。


「盾よ!」


フェオドールが叫び盾が現れるが・・・その矢の1本1本が、盾を射貫く威力を持つ。フェオドールを無数の矢が射貫く。


「き、貴様あああああああ」


側近達も応戦するが、1体、1体、と倒されていく。


「矢を」


再び、弓兵部隊に矢がつがえられる。


そして・・・


この日、ミーミルの王フェオドールは、命を落とした。2万を数えたミーミルによるソロモン遠征軍は、生存者が数%という凄惨な結果となった。

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