[エルク]案内
エルクが、眷属達の方を見て、改めて説明する。
「ここが俺達の国、ファーイースト、そしてここが王城だ。セリア、パラス、アレクシア、ノエル、お前達は俺の嫁、この国の王妃だ。他の者は部下として接してくれればいい。と言うかあまり遠慮すると、相手が恐縮するから気をつけるように。勿論、非倫理的な事をしてはいけないが、お前達がそんな事をする人柄じゃないのはよく知っている」
「はい」
4人の声が唱和する。エルクは、まずは眷属達に城を案内する事にした。
「ここが厨房だ。セリア、自由に使ってくれて構わない」
「はい、ここの責任は任されました。最高の料理を提供致します」
「味見なら任せて!」
パラスがぴょんぴょんジャンプしながら言う。次に着いたのは、研究塔。
「ここは研究塔。色々な事を考えている奴らを、お金を出してやって好きにさせてやっている。きっとそう言うのが何時か国の役に立つと信じている」
「この研究塔は私に任せて貰えますか?」
「ああ、アレクシア。この研究塔は好きにして良い」
アレクシアが嬉しそうにするのを見て、エルクもにっと笑う。次に移動したのは魔道塔。
「ここは魔法の研究をしている。ノエル、好きにして良いぞ」
「有り難うございます」
ノエルがぺこりと頭を下げる。
「他にも、何かやりたい事があれば、俺を通さず好きにしてくれていい」
「有り難うございます」
4人の声が唱和する。他にも施設を軽く紹介して回る。その後、解散し、留守にしていた間の報告を聞く。ノエルは付いてきて、横にちょこんと立ち、メモリークリスタルにメモを取っている。エルクは戦闘の被害が少なすぎる気がしたのと、敵の被害が大きすぎる気がしたが、戦闘の詳細な記録は残らなかったようだ。
エルクが窓の外を見ると、アレクシアが走り回っている。早速色々やっているようだ。
「お兄様、貯水湖に水を御願い出来ますか?」
リアがエルクに頼む。エルクは承諾し、貯水湖に向かう。
リアが魔力を渡そうとするが、手で制し、自身の魔力で発動する。魔力が自分の身体にある今、外部から渡されるより、そちらを使った方が早い。
ゴウッ
瞬間的に豪雨が発生、一瞬で貯水池を満タンにする。
「凄い魔力ですね・・・流石」
リアが感心している。
「もっと高範囲にも降らせる事ができるかもしれないが・・・とりあえずは貯水池に溜めて回ろうか」
「御願いします」
エルクは、遠視を併用しつつ、貯水池に水を送り込む。数時間かけ、全ての貯水池を水で満たした。
「とりあえずこれで一段落かな」
「有り難うございました」
リアがぺこりと頭を下げる。