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[聖神]プロローグ

この話は、世界観説明のための話です。

本編にはあまり関係ない為、読み飛ばして頂いても大丈夫な予定です。

神域、会合の間。

聖神の領域と、魔神の領域の中央に位置する、双方が力を抑制される間。


美しい女神である聖神と、秀麗ではあるが満身創痍、目が開かない男神である魔神が、顔を合わせている。


聖神が口を開く。


「後1年を切りましたね」


「うむ。今年も良い戦いをしよう」


闇神が頷く。言葉は必要ない。お互い、正々堂々、力を尽くす、それがお互いの唯一の楽しみ。そう信じている。会合の魔は設けられているのだが、軽く挨拶を交わす程度で終わるので、実質的な役目はあまり果たしていない。


軽く言葉を交わしただけで、聖神、魔神、共に席を立ち、自身の領域へと戻っていった。


・・・そして、聖神の神域に戻った途端、聖神は耐えられず壁によりかかり、吹き出す。


「くっくくっはははは、あいつまだあんな事言ってやがる。何も気づいてやがらねえ」


聖戦、100年に一度お互いの勢力を競わせる戦い・・・聖神は、気づかれない範囲でルール違反を重ねてきた。それにより勝利を重ね、魔神はどんどん力を削がれていき・・・最早目も見えず、耳もあまり聞こえない。下界を知るのも困難となっており、首都の状況を知るのがやっとだ。


元々は、フェアに戦う事を存在意義とする、聖神に合わせる為に定めたルール。それを聖神が破る、とは考えられなかったのだ。


この世は、聖界、魔界、2つの大地がある。それぞれ、7つの聖柱、7つの魔柱が存在した。


聖柱がある地は聖界となり、聖神に力を送る。逆もまた然り。最初はバランスが取れた状態であった。


今は、聖柱の数は11、魔柱の数は3。属する柱が0になれば、その神は力を得られず、緩やかに消滅する。魔神は、チェックメイトをかけられた状態だ。


とは言え、普通に戦えば、後何回かの戦いは凌げただろう。柱の奪取は簡単ではない。しかも、残り3本の内2本は、魔の領域の首都にあるのだ。代々魔王排出率No1の地域である。歴代の英雄達を捉え、霊廟に封じ、魔力を生み出している。最強の守りを持つ都市だ。


尚、その後ろには痩せた大地が広がり、そこにも1つ国がある。そこにも柱が1つあるが、そこは単に地理的な事情から柱が残っているに過ぎない。首都を落とすことが出来れば、一瞬で陥落するのは必然だ。


今回聖神が行ったルール違反は酷く、今回で魔神を滅ぼすことを決めている。


一つ、異界からの魂の召喚。行為その物が他神に対する権利の侵害であり、召喚された本人にも本来とは異なる運命を押しつけることになる。また、外部からの知識の流入により自分達の世界が変容してしまう恐れがある。この為、この行為は禁止する取り決めとした。外界から召喚した魂は輝きが強く、強い力を宿す可能性が高いのだ。ただし、召喚時の制約により、自世界の知識を利用する事は禁止すると、魂に刻んである。また、聖戦開始後はその居場所が自動的に把握できるように魂に細工をしてある。


一つ、聖女選定への介入。聖戦とは、聖神は7人の聖女と勇者を、魔神は魔王と闇の巫女を選び、力を与え、戦わせる。これは、あるシステムによりランダムに選ぶため、時代によって強かったり弱かったりする。聖神はこれに介入し、未来の力を前借りする事で、当代の聖女が強くなるようにした。しかも、このうち3つを召喚した魂を所持する転生者に与え、更に強化している。この結果、歴代巫女でもトップスリーとなる、剣の聖女、盾の聖女、智の聖女、の3名を選出したのだ。


一つ、これは今に始まったことではないのだが・・・統治の放棄。本来、自領域内で不幸が生まれないよう、監督、統治する役割を持つのが、神だ。例えば、奴隷制度を制限したり、殺戮を制限したり、暴力で支配する者が現れれば罰したり。それを一切放棄した。結果として、聖神の領域内で強者が弱者を踏みにじり搾取する構図が一般的となった。神力が温存できる上、この構図の方が戦闘能力に長けた者が伸びやすい。ある程度法を遵守して暮らす魔族に比べ、戦闘能力で優越を得る結果となった。


魔神は、自分が滅びる事を恐れていない。自分が滅びた後、聖神が平等な統治をすると信じているからだ。聖神は魔神を滅ぼす事を優先している。その後は自身を制する事ができる存在がいなくなる為、統治を完全に放棄できるからだ。魔族が生き残っていれば、永続奴隷階級とするのも悪くない。そもそも、聖神と魔神が共に配置されたのは、お互い相互監視させる事で、正しく統治させる為だ。実際、聖神があからさまに統治の手を抜いたは、魔神の目が見えなくなってからだ。


聖神は、今回の聖戦で魔神を滅ぼせる事を確信している。戦いが始まる前に既にチェックメイトをかけているのだ。それは当然と言える。


魔神は、聖神が堂々としている事を疑わない。部下から聖神の行為を報告されても、信じず、逆にたしなめている。


聖神がその存在意義に反してルールを破った事が原因なのか、魔神が本来の役目である監視を怠たり思考欠如した事が原因なのか。ともかく、この世界の戦いに決着が着くのは時間の問題であり、残念ながらその未来が明るいとは思えない。


さて、この物語の主人公は、先程登場した、痩せた大地を納める吸血鬼の王である。彼の状況は絶望的で・・・しかも彼自身が欠陥品と言われている。勢力を押し返す、までは必要ない。せめて首都防衛を成功させれば・・・彼の国は生き残れる。これは、そういう戦いであるが・・・残念ながらその難易度は最悪と言える。

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