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もがれた肢体

近くの空港に着き車を降りると黒服の男性が立っていた。

「コチラへ」

でかい図体の男性らしからぬ良い笑顔で、手招きを行う。

「わ、わかりました」

すこしビビりながら、俺は着いていった。





空港内に入り暫く着いていくと、ラウンジに案内された。

中は綺麗に整っており木目が美しく、ラグジュアリー感が有り、俺みたいな小汚い奴が居て良いのか迷う程の美しさだった。

「はえー...」

思わず声が漏れ、天井を見ながら歩く。

「履歴書を預かります」

上に見とれていると、別の男性が近づいてきて、話しかけてくる。

「お願いします」

此処は流されろだ、安物のスーツで申し訳ないと思いながら履歴書を取り出し渡した。

クッションが良さそうな椅子が置いてあり、お尻を払ってから着席する。





暫く待っていると女性が、お茶を運んできた。

「有難うございます」

そう言い、俺はカップに口を付ける。

「カッ! カッヒ!!」

一口、二口と喉の奥にお茶を送り、むせる。

呼吸をしようと、喘ぐが、喉に物が詰まったかのように息詰まり、呼吸が止められる。

「カッ! カッ!」

間違えてティーバッグを飲み込んだと思い、吐き出そうとするが、そのまま床に倒れる。

倒れている状態で周りを見ると先程の従業員が、こちらを覗き込み、笑っていた。


もう声も出ず、そのまま意識を手放した。





「そろ...起き...な」

「だな...検体...もう...」


声が聞こえ目が覚める。



「すみません寝てしまってましたか?」

はっとして起きるが、ガンガンする頭が何かを訴えるかのように響く。

眼を擦ろうと顔に手を持っていこうとするが、両手が動かないことに気がつく。

「あれ?此処は病院ですか?へ?」

マヌケな声を出しながら、かぶりを振る。

「記憶に混濁が有るようですね...斎藤様は、もうすぐ手術が始まるので少々お待ちください」

手術?どういうことだ?

「手術?すみません、頭が痛くてどういうことですか?」

「始めろ」

「は?ちょっと待ってください! 手術って! おい!」

俺は外国にでも売り飛ばされたのか?

両隣に白衣を着た女性が2人並ぶ。

「全身麻酔を施すので、もう一度お眠りください」

そう言い顔にマスクを着けられる。

「待てって! おい! 思い出したぞ! あのおちゃ...わ....」



すっと目が覚める。

体の怠さに気持ち悪さを覚え体を起こそうとするが全く動かない。

床ずれになりそうだ...

声を出さず目を開ける。

天井に男が張り付いていた。

顔は自分に似ているが首から下は凄まじい筋肉が張り付いるかの筋肉が見えるが、濃いオレンジ色のスーツを着せられているようで、浮き上がった大胸筋と腹筋、が見える。

しかし、肩から先が無く足も股関節から存在しないようで、何も見えない。




一瞬幽霊かと思い叫びそうになり、もう一度その天井に張り付いた男を見る。

呼吸に合わせ上の男も胸を上下させ、口を開く。

「俺か?アアアアアア!!」




気がつくと叫んでいた。

無い腕を振り回し無い足を出そうと動かす。

首を動かし両手を見て腕が無いことを確認し腹筋で起き上がり両足を見る。

「腕! 足! 無い! 何処だ!」

暫く暴れていると一人の女声が入ってきた。

「斎藤様お早うございます」




聞き覚えが有る女性の声。

それは一月前だ。

「ぶち殺すぞクソアマ! 今直ぐ俺の体をもとに戻せ!」

「お体の方は申し訳ございません、あと二~三日で両腕と両足が届くと思いますので、それまでお待ち下さい。あと痛い所はありませんか?」

「どうでもいい! 返せ! 俺はいつ仮面ライダーになるって言った!」

「....」

「答えろ! 何時だ! 俺は何時言った!」

「貴方の手足は既に焼却処分を行いました」

感情が伴っていない冷たい声で言われた。

「焼いたって...返せよ...」

「.....」

「.........」

「............」

「落ち着かれましたか?」

「落ち着いてんじゃねえよ! 悲しんでんだよ!」

ボロボロと俺の顔から涙が流れる。

アリスが、ハンカチを取り出し涙を拭いてくれた。

逃さず噛み付こうと顔を動かす。

「お前の手も奪ってやる!」

一歩遅く、手を引かれ火花が出るくらい強く歯を打ち合わせた。



「一度落ち着いてください、貴方は、DWASの実働部隊に配属されます」

「両手両足無いやつを配属ってどういう事だ! どうするつもりだ!」

「....両手両足はもうしばらくお待ち下さい、新しいのが届きますので」

「新しいのってなんだよ! 脱走してお前達を絶対殺してやる!」

「話が進まないので一方的に話しますね貴方はこれから第8資源星へと行ってもらい、そこで、資源の調達と、そこに存在する生物の懐柔を行なってもらい、物資を運び出してもらいます」

「わけわからんこと言ってんじゃねえぞ!」

「そこで、貴方は手術で両目にデバイスを埋め込んでいますので、それで細かい所は調べてください、そこに行ってもらい一年程訓練を受け、配属という形になります。良いですね?」

「良くねえよ! 何にも良くねえ!」

「絶対に許さない! 人を騙してこんなことをしやがって! 俺の体を返せ!」

「では、また落ち着いたら来ます」

「二度とくるな!」

するとアリスは外に出ていった。




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