奪取
現在の服装は、G3ユニフォーム(マルチカム)とIOTVのベスト、頭はブーニーハットをかぶり、地面に伏せていた。
毎回思うけどマルチカムって迷彩効果高いよな。
『米軍が作った視認性の低いカモフラージュですからね』
流石に余りにも接近されたらバレるが、100m以上離れた小高い丘の上からはこちらを見てもわからないようだった。
現在、検問から600m程離れた小高い丘の上。
ここは悲しいかな、寂しい山岳地帯だ、稜線を使い、地面を這いずり回り、時には走ったりして山を2つ程超えたところだろうか、そこから望遠鏡で敵を見ていた。
「さて、どうしようか?」
敵は歩哨が数名とメイジだろうか、杖を持った兵士が高台でぼーっと通路を見ていた。
『斎藤様、あの建物に居るのは間違いないようです』
なんだ?無線でも送れたか?
『いえ、ですが、ビーコンが出ていますね』
可視化出来ないか?
『しばらくお待ち下さいませ』
すると目の前に緑の四角が出てくる。
あれか?
『あの辺りからビーコンが発信されています』
近づけばもっと分かるか....
国境と言ってもかなり大きい城が裏に有り、鉄の門と跳ね橋が有り、侵入を拒んでいるのが分かる。
昔だったら、騎士階級の人は殺さないんじゃないのか?あ、新しい敵
『この世界は、別のルートを辿った世界なので、恐らく身代金より拷問に掛けて処刑が安定ルートじゃないんでしょうか、マーク』
でもよお、そんな事して徹底抗戦とかされたら大変だろ?また敵
『徹底抗戦起きるというか、既に徹底抗戦が始まっていますからね、泥沼ですよ。マーク』
それから五分ほど確認し続け、伏せで近づく。
堀を掘ってるとは思ったけど結構深いな。
『この高さは落ちたら死ねますね』
さーてどうするか....
空が夕闇初めだんだんと夜の帳が降りてくる。
ガチ、ガチ、
堀に爪を差し込みゆっくりと降りていく。
音でバレたら俺は今凄い間抜けな格好なんだろうな。
『良いと思いますよ、クライミングしているようです』
それは、ありがとよっと。
堀の底に近づくに連れ腐った臭いが強く感じ、嫌な予感がしていたが。
上から軽く土を掛けているようで、男女の死体がいたるところに捨ててあった。
男もひどいが、若い女性が多いな。
男性の死体はグズグズに崩れていたが、女性の死体は、服を剥ぎ取られ捨てられている。
『精神が不安定になってきています、鎮静剤を投与しますか?』
いや、要らない...ちょっとこれは酷いぞ。
殺すことに嫌悪を感を持っていたが、此処の奴らは殺しても心は痛まないだろう。
降りたのだから次はまた登ることになる
ガチ、ガチ、ガチ、ガチ、
小さいが、確実に音が出ているのは分かる。
そーっと外壁に付いている櫓のヘリに近づくと声が聞こえてきた。
『音声が変わりました、音声不明、暫く居ていただけると解読しますがどうされますか?』
いや、今はいい
ゆっくりとヘリ沿いを周り2人の男を確認する。
2人はテーブルに座ってボードゲームで遊んでるようだ、タバコを吹かしている。
音もなくそっと中に入り、テーブルに近づく。
人間の様で、2人は盤を見つめ熱中しているようだ。
ナイフを抜きゆっくりと近づく。
「ひゅっ!」
力を入れる時に声が漏るが、敵の反応速度より早く致命傷が入った。
ナイフを振り下ろす。
肉厚で鋼鉄のナイフは相手の頭頂部から頭蓋骨を割り、そのまま頭のなかに入る。
そのまま手を話し驚いて声も出ていない敵に貫手を行う。
鋼鉄で出来た腕は指の先端が尖らせる事もでき、さっきはその手を使って壁が石で出来た堀を降りた。
強度は十分に有り、突き指の心配もなかったので、躊躇なく相手の胸に入る。
ゾグっと言う感触とともに太い枝を折る衝撃も入った。
「お、オゴォ」
呼吸と共に手が動くのを感じ、そのまま指を広げる。
すると、目をカッと開いたかと思うとそのまま動かなくなった。
引き抜こうと腕を引くが抜けないので、空いてる手で手抑え引き抜く。
「ハッハッハッハッ」
細かい呼吸を刻み落ち着かせようとする。
『興奮しております、鎮静剤を打ちますか?』
頼む。
そう言うとゆったりした気分になり、頭も冴えてくる。
頭にご立派な髷を生やしている敵から髷を引っこ抜く。
ナイフは欠けて居らず、その血を敵の衣服で拭きベルトに直した。
胸に大きな穴が開いている敵は剣士だったようで、腰から下げていた剣を引き抜き抜き身で貰った。
櫓から少しだけ頭を出し確認する。
意外とたくさん居るな....
『服を剥ぎ取ってそれを着たらどうですか?』
ナイスアイデアっちゃナイスアイデアだが、両方血塗れだぞ?片方は大穴開いてるし。
『斎藤様がもう少し綺麗に殺しておけば、上手いこと行ったかもしれませんね』
るせえやい。
突き刺したてをゴシゴシ掻きながら周りを見る。
思いついた!聞いてくれ。
俺は今地濡れの服を着て全身に矢が刺さっていた。
喉にも刺さり声が出ない風だ。
「ヴォグヴォヴォ!ヴォゴエ!」
ブレインに鼻の中の血管が切れるまで思考させたのはかなり辛かったが胃の中に500CC程血も入れてある。
副音声です
{おい!どうした!敵にやられたのか!}
{巡回兵は何をやってたんだ!そんな情報は入ってこなかったぞ!}
{おい!プリーストを呼んできてやれ!後全員起こせ!敵襲だ!}
そのまま倒れると優しい何を喋っているか分からない人が俺を抱え建物に入っていった。
{おいプリーストは居るか!こいつを助けてやってくれ!}
何かを喚き誰かを呼んでいるようだ、そろそろ良いだろう
「ヴォエエエエエエ」
ビシャビシャビシャビシャと言う音と共に口から血が流れる。
そのまま床に倒れ仰向きなり相手の顔を見る。
「カッ!カハァ!カッ、カッ....」
呼吸を止めブレインに目を動かないように固定してもらいそのまま焦点を合わさないでいると。
{うわああああああ!!!殺してやる!プリースト遅すぎる!....俺は行ってくるからな!}
何かを喚き女性が入ってくるとそのまま先程の男性が外に飛び出した。
プリーストが俺の顔を覗き込む。
{天に召します...}
手の届く所に顔が来た所で笑顔になる。
{!!!!}
驚いてのけぞった瞬間に瞬発力を生かしブリースとの後ろに回り込み首を締め上げた。
「ごめんね!ごめんね!本当にごめん!」
首を締め暫くするとブレインから気絶しましたと言われベッドに運び寝かせた。
「なんていえば良いんだろう、女性特有の匂いかな?もう一度嗅いでいいかな?」
『気持ち悪いことわざわざ声に出さないでください...行きますよ?』
ブレインが見てるというか、見れないようにブレインを落としてもバレるので、後でアリスに言われたら溜まったものじゃないと思いマークが付いているところまで走った。
ここまでテンヤワンヤになってたら外に行く奴らが多いようで、中に居る敵は少ない。
そーっと捕虜を収容している所に着く。
マークは、この中か?
警備の兵がそわそわと辺りを警戒していた。
ナイフを手に取り思いっきり投げる。
バスッと言う音と共に革製の鎧に穴が空きナイフの柄しか出なくなり衛兵が倒れる。
「おじゃましま~す」
思わず声が漏れ中に入る。
中には誰もいないようで、倒れている兵士を運び込み中に入れた。
廊下を進んでいくと牢屋が並び中に人も居るようだが、今はごめんと思い、そのまま進む。
ある程度進むと、堅牢そうな木製の扉の中からビーコンが出ていた。
これ可怪しくねえか?
『斎藤様も思いますか?』
嫌な予感ではなく、人の気配がなかった。
蝶番を剣で叩き壊し中に入る。
すると、中には剣や壺、あとは拷問器具や、カミラの手足が置いてあった。
「!!」
『....』
急いで戻り牢を確認していく。
「カミラさん居ますか?」
ある程度話しかけていくと一つの牢の場所で無線がなった。
『カミラさんですか?』
『ああ、そこに居るのは勝谷かい?』
中を見ると手足がない彼女が倒れていた。
『今助けます!』
牢屋の格子を掴み力を入れる。
両腕が赤熱し、吸気音もなり始め凄まじい熱が放出され始めた。
すると金属で出来ていた牢の柱が折れ曲がり人一人出入りできる幅になった。
『触るのは少し待ってください、ヒートシンクデプロイ』
ブレインの声と共に肩の両サイドが開き、鉄塊が飛び出す。
一気に両腕が冷え自分も寒く感じるが、その手でカミラを抱え上げる。
眼球が落ち窪み、鼻も削がれ、歯も無くなって笑っていた。
『勝谷一人かい?寒い』
「ああ、僕ですよ、個々から抜け暫くすると味方が迎えに来ます」
『すまない...巡回中に電撃で気絶させられこのザマさ』
「大丈夫ですよ、もう安心です、少し痛いかもしれませんが、これで我慢してください」
ロープを取り出し自分のお腹側にカミラを抱き寄せ括る。
よし!行くぞ!
{死ねえ!!!}
その声とともに背中が熱くなった。




