賭けに負け頭を丸める
そして、幾日が経ち冒頭への会話に戻る。
「ブレインを使うな!だから当たらないんだ!」
そう言われ初日に剃られた頭を撫でながら俺も切れる。
「ハゲハゲうっせーんだよ!」
そう言いながら、ブレインを切り、何度も何度も撃つ。
一日で放つ弾丸は1000発を超え、毎日終わるとイヤープラグを着けているが耳がバカになる。
目が覚めたら撃ち、飯を食べて撃ち、便所行って撃ち、休憩を取って撃つ。
夢の中でも撃ち続け、気が狂いそうになる。
アリスは、武器庫に弾丸を取りに行き、薬莢を回収し、また武器庫へと取りに行く。
アリスと言うか、人工生命体は痒い所に手が届く生物のようで、弾が切れるタイミングでおかわりを持ってくるので弾を見ただけで吐きそうになる自分を抑えそれをありがとうと言って弾を貰いまた撃つ。
ハゲにさせられた理由は、初日に弾が全く当たらなかったので、アリスに危機感があると集中出来るんじゃないですか?的を外し、頭を剃られた形だ。
今では、ブレインを使うと、1200mまでは90%で、使わなければ、700mで90%になる。
そうして、また日が過ぎ、異世界に来て二ヶ月ほど経った頃だろうか、次にステップアップした。
「スナイパーは物のある所に隠れないって分かるか?」
「目立つからだろ?知ってるよ」
「アタシの相棒が隠れてるのがわかるか?」
場所は、この世界の町並みを再現している所のようだ。
石畳の道に石の家や、木造の建物、看板や、箱が積まれていたり、ゴミも捨ててある。
あとは人を沢山置けば立派な街だが、誰も居らず壁には弾痕が刻まれている。
若干の気持ち悪さを受けながら町並でおかしなところを探す。
建物の窓や、植木、その他にも見える範囲の屋上を見ていく。
暫くするとビシャッという音と共に足元に紫色の液体が着いた。
「何外してんだ!それでもアタシの相棒か!」
大きな声で騒ぐカミラを置いておき付着したところとからどこから飛んできた考え隠れる。
少し頭を出す。
飛んできた方向は通りの奥だが、何も無いように見える。
次は後頭部に弾が炸裂した。
鼻を強かに壁に打ち付け悶る。
「どうだ?わかったか?」
後ろを見ると隆起した体が目立つオッサンが手を振り回し小躍りしていた。
「わからなかっただろう、あいつは昨日から此処で這っていた」
「あたま可怪しいんちゃう?」
ぼそっとつぶやいてしまったが、スナイパーはずっと動かず、じっとしているものと教わっていた。
「敵は銃ではなく、魔法を使うが、向こうも馬鹿ではなく、我々の真似をするようになった、我々のように隠れ我々のように礫を飛ばす」
隠れていた場所は、建物で、ブレイン力を借りて壁を見ると小さな穴が開いていた。
「ずりー...」
「スナイパーはズルい物だ、バレないように隠れバレないように撃ちバレないように去る」
「カァァァリーーーニョォォォォォ!!どうだった!俺の狙撃!」
さっきのオッサンがベランダから飛び降り走ってきた。
「はじめまして!俺の子猫ちゃんの周りでうろつく蝿君」
若干の衝撃を感じ、怖いので謝っておく。
「すみません、私の訓練に、貴方の妻をお借りしていました、貴方のお名前は...」
そう言うとまた小躍りし始める。
「そう!ディーノさんと呼んでくれ!アミーゴの名前は?」
そう言って手を出してきたので握手を仕返す。
「斎藤 勝谷です、いやぁ凄いですね、あの技量は惚れ惚れします!」
「だろぉ~なぁ!こいついいやつだな!」
ディーノがカミラに満面の顔で振り返ると思いっきりビンタをした。
「一発目外してんじゃねえよ!あとアタシから見たらバレバレだ!」
「カリーニョ!辛辣じゃないか!何かあったのかい?僕が居ない間寂しかった?」
「うるせえディーノ!次からはディーノの講義だ!頭は馬鹿だが、あいつの講義は為になることも多い、アタシは明日から街の警備任務だ前線じゃないから着いてこなくていいぞディーノ」
「せっかくカリーニョに会うために急いで戻ってきたのにそりゃ無いよ!」
「うるせえ!何時からアタシ達は付き合ってんだ!あと勝谷、お前アタシが帰ってくるまでの延長だ、アリスに報告させるからずっと頭剃っとけ」
すべすべの頭を触り少しの涙を堪えわかったと答えた。




