第六十五話 ちゃばんげき?
「行きますよ!」
全長三メートルになろうかという、黒い大剣を、横一文字にゼクスが振るうと、目の前の骸骨兵士たちは、ボーリングのピンのように、ポーンと吹き飛ばされたり、粉々になったりして、皆、土くれに戻っていく。
って、おいおい。ゼクスの戦闘、始めて見たけど、こいつもチート野郎ですか!
「負けては、いられません! はぁぁぁっ!」
そういって、カミーナも、魔王軍のただ中に突入し、周囲のゴーレム兵士たちに、両手のレイピアで、連打を加えていく。
石でできた彼らの身体に、無数の穴を穿っていき、そこからひび割れが発生してボロボロと崩れ去っていく。
私も一応、弓を引いて、戦闘のお手伝いをする。
今回、一応観戦という立場だけど、私やカミーナも、戦場に出ている。
なので、私も鋼鉄で補強された革鎧を、まとっている。
でも、なんとなく、これ、ボンテージ服っぽくて、防御薄くない?
ちなみに私の獲物は、魔王から事前に渡された魔法の弓矢だ。
軽く引けて、勝手に目標に当たってくれる。なんとなく、ゲームを楽しんでいる感覚だ。
「はぁはぁ、も、もう、我慢できない!」
「アンジェ教皇! 抑えて! 抑えて!」
「ちょっと、オクトーバー! あなたは、一体誰の味方なの!」
「し、強いて言えば倫理の味方かと・・・」
背後の方から嫌な会話が聞こえるが黙殺する。
真に受けると、後々面倒なので、聞き流しスキル発動だ。
「ゆ、勇者様! 敵の指揮官が現れました!」
どこかの国の将軍(チョビヒゲ、小太り)が、ゼクスに援軍を要請しているのが、目の端で見えた。
しかし、私としては目の前でゼクスが、勇者とか言われていると、笑いを堪えるのに精一杯だ。
あ、ゼクスが、笑みを浮かべてこちらをみている。
怖いので、下を向く。
「くくく。おろかなる人間どもよ! 吾輩の魔導軍団に逆らうとは! 貴様らを血祭りにあげてくれるのである! ・・・ってー、人がしゃべっているときに、誰であるか! 吾輩に矢を射かけた者は」
ふー、つい、矢を撃ってしまった。てへ。
リッチーのヘイシルさん、今は黒い外套に、節くれだった杖。それに、骸骨の顔というスタイルで、実にリッチーだ。
ちなみに、エロゲー時代はこの姿で、魔王に、バ○ブとかディ○ドとかを売りに来たので、馴染みのある姿でもある。なので、つい反射的に撃っちゃった。
うちらの軍の何人かが、リッチーさんに、突っ込んでいくが、次々に吹き飛ばされて近づけない。
そして、リッチーさんの背後から、黒い鎧を着込んだ騎士と、黒色のローブを纏って、三角帽子をかぶった魔女が、現れた。
一応、騎士はバイザーを下ろし素顔は見えず、魔女も、顔を半分、仮面で覆っている。
「では、そこの黒騎士よ! 私との一騎討ちを!」
ゼクスの言葉に、黒騎士は黙って、腰から直刀を抜いて対峙した。
って、茶番だよね、これ?
あの黒騎士の中身は魔王だと知っているけど、やけに喉が乾く。
この二人の闘気は、シャレにならない。
私は、息を飲んだ。




