第五十二話 りっちーさん とうじょう
「マオール様。およびですかー? って、その方、どなた様です?」
白鷺亭の魔王の部屋にひょいと入る。
今までは、女性と入れ違いになることが多かったので、ノックをして、しばらく待ってから部屋に入ることにしていたのだが、最近はそういったハプニングが少なくなってきたので、ノックをすると同時に入ることが多い。
決して、魔王と女性が遊んでいるのを邪魔してやろうとか、そういった魂胆ではない。
そんなわけで、いきなり入った部屋の中に、すでに先客がいたことにビックリしてしまった。
「おぉ、アインス来たか」
「可愛らしい子であるな? 魔王の彼女か?」
「友達です」
私は速攻答える。
しかし、こいつは誰だ?
見た目は奇妙きてれつ。
赤と緑のストライプのモヒカンヘアー。顔はちょっと変顔。そして服装はダブルスーツに白衣。
お前は、ファンタジー世界という概念をわかっているのかと、小一時間問い詰めたい格好をしている。
しかし、それよりも気になるのが、その服装に見覚えがあることだ。
こいつは、ゲーム中で、魔王に様々なアイテムを販売してくれるリッチーさんだ。
たしか、ゲーム中では顔が骸骨だったので、なんだか違和感があるが。
ちなみに、販売アイテムはたいていがろくでもないもので、バ○ブとか、三○木馬とか、そういった類いのものだ。
私の親しみ度は最初からミニマムなので、声が低く、警戒した口調になってしまうのは仕方がないことだと思う。
「で、あなた様は、どこのどちら様でしょうか?」
「吾輩か? ふはははは! よくぞ聞いてくれた! 吾輩こそは・・・」
「こいつは、ヘイシル。まぁ、俺の古い友人だな。害はないやつだから、警戒しなくてもいいぞ」
「あぁ、吾輩自分で名乗りたかったのに・・・」
いじけるリッチーさん。
しかし本当に害がないのか?
まぁ、ゲーム中でもモノを売っているだけだったしな。
「ヘイシルよ。こいつが先程話していたアインスだ。まぁ、よろしくやってくれ」
「仔細心得た、マイソウルフレンドよ」
まーた、変なのが出てきたなー。私としては悲しい。
「ふははは、アインス殿! ここでこうして出会ったのも何かの縁。お近づきの印にこれを貴女にプレゼントしよう!」
そういって、私の手に棒のようなものを手渡した。
「これは、我輩が開発した魔法の品物である。世の貴族の婦女子の方々に大変気に入られている! 貴女もきっと悦んでいただけると思う!」
そういって、リッチーさんが棒の横についている突起を押すと、なんと不思議なことに棒がうねうねと動き出した。
私は渾身の力を込めて、この棒をリッチーに投げつけた!
これ、バイ○じゃないか!




