第四十九話 こすぷれぱーてぃー
「はぁ、『コスプレパーティー』ですか?」
なんだ、そのアヤシイキーワードは?
私は、王立大学校の図書館で、新しい発明の調べものをしているときに、ゼクスと偶然出会い、コスプレパーティーへの参加を打診された。
ゼクスは、相変わらず真意が読めない笑顔を浮かべている。
私はゼクスのその笑顔を胡散臭げに見つめた。
「はい。僕の友人であるアインスさんを是非ともご招待したいと思いまして」
ゼクスが、私をアインスとして招待したいと、言っている。つまり、ソニヤ姫である必要はない、と。
「つまり、私は主役ではなく『脇役』ということですね」
「さすが姫は話が早い。本当に僕の妻に迎えたいところです」
いつもの調子で、どこまでが本気かわからないことを言う。
私はゼクスの戯言を黙殺して、単刀直入に聞いてみた。
「そして、アインスを必要とするということは、主賓はマオール様ですね」
「はい」
にっこりと是認するゼクス。
私は、一つ気になることを確認することにした。
「ゼクサイス様。あなた様は、マオール様のことを一体どこまでご存じなのですか?」
いつもよりも少し踏み込んで聞いてみた。
確証はないが、ゼクスはマオールが魔王だと気づいていると思う節がある。
ゼクスは、私の目をじっと見て、少し目を外して、つぶやくように言葉を紡いだ。
「・・・マオールさんは、我が家の歴史書が本当に正しいのであれば、遠い遠い関係者。誤解を恐れずに言えば、遠い親戚のような方ですから。ですので多少のお手伝いを、と思いましてね。両家の繁栄のためにも、ね」
私の質問に、ゼクスは謎かけのように別のことを答えた。
私としては混乱してしまう。
魔王が遠い親戚だと?
私のうろんな視線は無視して、ゼクスは、一つ会釈をして、行ってしまった。
だがまぁ、魔王が私がいないところで、勝手にパーティーに参加して変な騒ぎが起こしても困るしな。
あと、そう。ちょっとした計画もあるし・・・。
うん。仕方がない。
お目付け役として参加してやるか。
前々から温めていた計画も、こういった機会ならば実行するのも自然かもしれない。うん。
・・・そしてコスプレパーティーの当日になった。
なんと、魔王が、前に一度だけ会議で見せた『魔王のコスチューム』を着て登場していた。
それはなんのジョークだ、なんて思ってしまった。
あと、前回の老人姿ではないので、ちょっと若々しい。
ちなみに、私は胸元が開いた純白のドレス姿だ。
姫のコスプレ、という名目で着てみた。
う、うーん、あまり、魔王の事は笑えないか。
「あ、マオールさまー」
魔王と目が合ったので、私は、魔王のところへと小走りに走っていった。




