第四十六話 くいあらためよ
「申し訳ありませんでした!」
自室で待機していたらベルが鳴り、魔王に呼ばれたので、白鷺亭にてやってきた。
魔王の部屋の扉を開けると、黒髪の女の子が、全裸で土下座をしていた。
「ちょっ、ちょっと。これは一体何事ですか?」
私は、土下座をしている女の子の隣で、腕を組んで椅子に座っている魔王様に聞いてみる。
「うん? こいつはアインスを拉致した事件の黒幕だ。・・・まぁ、俺の妹だがな。身内の不始末は俺の責任でもある。すまなかった」
そう言うや、魔王は立ち上がって頭を下げた。
「も、もういいですよ、マオール様。だ、だって、マオール様、ちゃんと私を助けてくれたじゃないですか」
魔王に頭を下げられると私としてはもう何も言えない。
黒髪の少女、たしかエミーだったかな? に顔を向けて穏やかに話しかける。
「・・・今回のことはマオール様に免じて許します。早く、服を着てください」
「ほ、ほんとか?」
そう言って、エミーは、顔を少しあげて、こちらを覗きこんできた。
目が合う。
あんまり、反省しているようには、みえない目付きだ。
だがまぁ、気にしても仕方がない。
私は一つ頷いた。
「あ、ありがたい!」
そういって、立ち上がるや、廊下に走って出ていった。
おいおい、裸で廊下に出るのはどうかと。
誰かと鉢合わせしたらどうするんだ。
そんなことを心配してしまった。
が、わずか数秒の後に、また扉が開きエミーが戻ってきた。
前に見たゴスロリ服だった。
着替えが早すぎだろ。
「改めて自己紹介するわ。あたしは、エミー。お兄様の妹よ!」
紹介になってないだろ。
ま、まぁいい。
「私はアインス。よろしくお願いします」
そういって、握手をしようと手をさしのべた。
「私とあなたとは恋のライバルよ。そんな奴とあたしが握手をすると思う?」
つーん、とそっぽを向いてしまうエミー。
やりにくい女だ。
しかし、待って。
誰と誰が、恋のライバルだって?
こいつは何を言ってるんだ?
「あ、あのー、誤解をされているかも知れませんが、私とマオール様とは、特段、やましい関係はありませんよ? 強いて言えば、そうですねー、・・・そう。友達です!」
一応、赤の他人ではないから、まぁ、知り合い。
でも、知り合いよりは親しくさせてもらっている。・・・と思うから、『友達』と言っておいても差し支えないだろう。うん、そうだ。
私達、友達で良いですよね?
「ふーん。ま、そういうことにしといてあげるわ」
小悪魔チックな笑みを浮かべるエミー。
明らかに私の弁明を信じているような感じはしなかった。
「そうか、俺たちは友達か・・・」
なぜか悲しそうな魔王の声が隣から聞こえてきた。
え? では、あなたと私の関係を、ほかにどう説明しろと?




