第十三話 びじねすしまーす
魔王と連れだってギルド会館へとやってきた。
ここへは公務として何回か来たことがあるが、建物はかなり立派だ。
とりあえず、メガネと帽子を念入りにかぶり直す。
どこに知っている顔がいるかわからんしな。
ばれたら即死級のダメージだ。
「ギルド会館へようこそ。新規のお客様ですか? 私は担当の・・・」
受付のお姉さんが応対してくれる。
なんだか、対応が日本の受付嬢みたいなんだが。
さすがエロゲー、細かいところは適当な設定だ。
受付のお姉さんに、持ち込み金貨の鑑定と換金をお願いして、とりあえず現物を二枚ほど預けた。
しばらくロビーのソファに腰掛けてゆっくりしている。
その間、魔王が、あちらこちらを観察している。興味深いらしい。
しばらくすると、奥の方からどっぷりと太った初老の紳士が現れた。
うん? 見覚えがあるな。
たしか、ここの責任者じゃないか?
「申し訳ございません。お客様。少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか? 私どもの主人がご挨拶をさせていただきたいと申しております」
あれ? お前、ここの責任者じゃなかったっけ?
いつも、俺を歓待してくれていたのはお前だったはずだが。
俺たちは、初老の紳士に連れられて会館の奥へと案内された。
俺も行ったことがない場所だ。
会館の奥から中庭へと出ることができ、会館に比べるとちょっと小さめだが豪奢な屋敷が見えてきた。
屋敷の周辺には武器を持った兵士が見え、やけに厳重な警備態勢だ。
うちの王宮が、けばけばしい豪華さだとすると、こちらの屋敷は、落ち着いた華やかさだ。
たぶん、建材にはうちの王宮よりも良い素材を使っていると思われる。
「よろしいですか、皆様。今日お会いする方は王公貴族といえども、なかなか簡単にはお会いできないお方です。くれぐれも失礼のないようにお願いいたしますよ」
お願いします、と念をおしてくる。
じいさん、やけに緊張をしている声音だな。
「ほう。これは見事だな」
隣で何に感心しているのかはわからないが、魔王様が感嘆の声をあげている。
めずらしい。
「では、お入りください。何かございましたら、なんなりとお呼びつけください」
そういって、俺たちを残して扉が閉じた。
魔王様は、迷うことなく、まっすぐに廊下をすすむ。
そして、突き当たりの立派な木でできた重厚な扉をひらいた。
部屋の中には、大きな机が真ん中奥に設えており、入って左側にソファーが二つおかれた応接スペースとなっている。
机の椅子には一人の優男が腰掛けていた。
銀髪で、細面。
俺と同様、眼鏡をかけている。
目付きはパッと見、優しげだが、眼光は鋭い。
だが一番の特徴は両目の色がちがうこと。
いわゆるオッドアイだ。
「ほう」
横にいる魔王様がまたもや感嘆の声をあげた。
どこか楽しそうだ。
「ようこそいらっしゃいました、お客様がた。私はギルドの顔役を勤めさせていただいている、ゼクスというものです。あ、偽名ですよ」
ゼクスと名乗った胡散臭い優男が笑顔を浮かべた。




