第一話 ここどこですか?
「あれ? ここはどこだ?」
俺は、ふかふかのベッドの上で目が覚めた。
寝心地はかなりよい。
はて? 俺はさきほどまでPCの前でエロゲーをやっていたはずだが。
しかもちょうどもう少しでヒロインを脱がす、という最高のシチュエーションだった。
その名も『鬼畜陵辱姫』。
プレイヤーは魔王その人となり、人間界に攻め入る。
しかもお約束なことに、攻め入った最初のターゲットとなる城には、美人なお姫様がいる。
そして、その姫を陵辱しつくすという鬼畜ゲーだ。
良い子にも、悪い子にもお勧めしかねるジャンルではあるが、俺はソムリエなので、どのようなジャンルであろうとも、エロゲーに選り好みはしない。
ヒロインであるソニヤ姫(金髪ストレートの色白美人だ)の、あへ顔ダブルピースは、ここ数年でもかなりインパクトのある画像だったためか、SNSとか、某掲示板などのネット界隈での定番ネタ画像として、重宝されている。
俺も散々、SNSにアップして、煽りに使ったものだ。
で、そんなゲームばかりしている俺だが、当然、こんな広いベッドは我が家にはない。
我が家は普通の1LDKの都心からちょっと離れたマンションだ。
俺は、不思議に思いながらも、ベッドから立ち上がった。
そして、立ち上がって気付いたが、やっぱり、なんだか様子がおかしい。
周囲に見たことがない豪華な調度品がおかれている。
あそこにある鏡なんて、金色に輝いていて、細かい彫刻が施されている。
あと、なにやら、俺の目線が普段と比べて明らかに低い。
俺は茫然と、自らの手のひらを見つめた。
白く細い手のひらだ。
「うわぁー!」
混乱して悲鳴をあげてしまった。
俺の口からは甲高い女の声が響き渡る。
「ソニヤ様! どうなされました!」
メイド服を着こんだ若い娘が、扉を開き、外から駆けつけてきた。
俺はバカみたいにその娘を凝視した。
「え? 今なんて?」
「ソニヤ様こそ、なにかございましたか?」
怪訝そうな顔で娘がこちらを覗き込む。
「あ、いや。ちょっとびっくりしただけ・・・。ところでお水をもらえる?」
「かしこまりました」
怪訝そうな顔はしていたものの、素直に従う娘。
俺は呆然と周囲を観察する。
そして、部屋の壁に立て掛けてあった鏡を見つめる。
そこには、金髪ストレートの色白の若い娘が、こちらを不安そうに見つめていた。
エロゲーでよく見たソニヤ姫の姿があった。




