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第一ノ巻「我が名は佐助」

どうも、長らくお待たせしました。

装甲妖忍 佐助第一ノ巻。開始します。

グダグダな部分もありますが、温かい目でお願いします。


ではどうぞ。

-東京。

 夜の公園で2つの黒い人影がにらみ合う。暗くて良く見えない為、通りすがりの人が見ればただの不良のメンチの飛ばし合いか何かか?と思うだろう。だが、それはその影の両者が人間であれば・・・の話だ。

 2つの影がぶつかり合い、交錯する。街灯の明かりに照らされて見えたその顔は人間ではなかった。

「ウ・・・グルルルルル・・・」

 猪を人間にしたような醜い顔である。そして、

「・・・」

 もう片方は生物的な猪の異形とは対照的に、忍装束と戦国武将が纏うような鎧を合わせたようなアーマーに、機械的な猿を模したようなマスクを被っていた。

「しぶとい野郎だ・・・」

 猿のマスクを被った忍は、そう猪の異形に言う。異形は何も答えず、唸り声を上げながら、忍に向かっていく。

「だが・・・それも・・・ここまでだぜッ!!!」

 そう言うと、忍は肩にかけてあった刀を抜き放ち、異形に一閃。

「ギャアアアアアアアアアア!!!」

 異形はけたたましい断末魔の叫びを上げると共にばたり・・・と倒れると、そのまま意識を手放した。

「ふぅ・・・いっちょ上がr『下級クラスの妖忍を倒すのに10分か』・・・うっせぃ」

 忍は、その異形を見ながら呟くと何処からとも無く響いてきた声に苦々しく返す。

『この程度の相手にてこずりおって・・・それでも「佐助」の名を継いだ男か?』

「るっせぇ、この猿女。継いだって言ってもこちとら押し付けられただけじゃねぇか」

 ため息をつきながらやれやれ、と言った感じに頭を指で抑える。

「お陰で散々だぜ・・・、妖忍退治の連続で満足に寝れてないわ。危うく学校に遅刻になりそうになるわでよぉ・・・。なんならお前が俺の代わりに学校に・・・」

『ほぉ・・・勇気、貴様・・・いつこの大妖怪「ハヌマーン」にそんな口を聞けるようになった?前にした躾が足りなかったか?』

「すいませんでした。アレだけは勘弁して下さいマジで」

 忍・・・『勇気』の言葉を遮って放った声の主『ハヌマーン』。ハヌマーンの言葉を聞いた勇気は、素早く土下座をして謝罪した。はたから見れば誰も居ないのに人が土下座するという危ない光景である。

『分かればいいのだ。なぜならお前は、「佐助」として我と契りを交わしたのだからのう』

 そう言って、勇気の体が光り輝き、分離するようにしてそこから赤茶色の髪を長く伸ばした中学生か高校生ほどの一人の少女が現われる。そして、その少女は怪しげに、黒髪の少年・・・元の姿にもどった勇気を見ながら微笑んでいた。


-さて、何故勇気少年がハヌマーンなるものと契約をして佐助として妖忍なる存在と戦っているのか?それは数ヶ月前に遡る。


 猿飛勇気さるとび ゆうき、東京にある公立高校『真田学園』に通うごく一般的な高校生である。一つ違う事を強いてあげるとするならば、先祖が忍者であり、その血を受け継いでいる所為か身体能力が凄いという事だろうか?・・・しかも、そこらの忍者ではない。彼の苗字から分かるように、『猿飛』・・・そう、彼の先祖はかの有名は『猿飛佐助』なのである。

 当の本人はそんな事など気にも留めず、平凡に暮らしていたのだが・・・、ある日を境に彼は『忍者』としての非日常に足を踏み入れてしまう羽目となるのであった。


「只今ー!お腹空いたぜ~、飯出来てる?」

「出来てるわよ~、はいどうぞ」

 その日、いつものように学校から帰り、母親である猿飛美春さるとび みはるに言う。差し出された、晩御飯・・・白ご飯に味噌汁、トンカツにサラダを見て、サンキューと返した。

「いっただきまーす!ハフッ!ハフッ!フバッ!」

「そんなに、急いで食べたら喉に詰まるわよ・・・」

 両手を合わせたと同時に凄いスピードで箸を手にとって、『うおォん!今の俺は人間火力発電所だ』といわんばかりにご飯をかきこむ勇気に美春は苦笑しながらつっこんだ。

「ほっほっほ、勇気は相変わらず元気がいいのう」

「ムグムグ・・・ゴクン。あ、爺ちゃん」

 そんな時、小柄で白いヒゲをどこぞの関羽のように長く伸ばした老人が現われた。彼こそは、『猿飛幻導斎さるとび げんどうさい』。勇気の祖父であり、猿飛家にとって伝説の名である『佐助』の名を継ぐ忍者である。

「そういや、勇気はもうすぐ18歳の誕生日じゃったな?」

「ん?まぁね。学校じゃ3年だからなぁ、卒業試験やらなんやらで大忙しだよ」

 幻導斎の言葉に、ため息混じりに勇気は答える。何を隠そう、勇気は高校3年生。受験と部活で大忙しなお年頃なのだ。

「実はお前に誕生日プレゼントがあってな。それを渡そうと思うから、飯を食べ終わったらワシの部屋に来なさい」

「プレゼントだって?分かったよおじいちゃん。ご馳走様~」

 勇気は幻導斎にそう言うと、晩御飯を食べ終え、素早く皿を片付けると祖父の部屋へと向かった。


-幻導斎の部屋

「爺ちゃん、来たよ」

「うむ、勇気来たか。」

 ふすまを開け、中に入ると幻導斎が胡坐を組んで待っていた。

「ンで?その誕生日プレゼントって何?」

「ふっふっふ、それはの・・・ポチッとな」

 勇気の問いに、幻導斎はどっからか取り出したのか、スイッチを手に取りそれを押す。すると、ウィーンと機械的な音を立て、部屋の中央にあった畳が開き、そこから階段が現われた。どうやら地下へと続くらしい。

「すっげー!こんな隠し扉があるなんて始めて知った!」

「驚くのはまだ早いぞい。ついてきなさい」

 驚きを隠せない勇気にそう言って、幻導斎はランプを手に取り階段を下りていく。勇気もまた、幻導斎の後を追って階段を下りるのであった。


-暫く歩いて・・・。

「じゃじゃーん、ここじゃ!」

「うおおおおおお!?なんじゃコリャ!?昔の武器とか道具がいっぱいだ!!!」

 ドアを開けながら、幻導斎は部屋のスイッチを入れる。部屋に光が入り、目の前に広がるのは昔の武器や道具がずらりと並んでいた。

「ふっふっふ、これはな。我が猿飛一族が使っていた倉庫じゃ。例えばコレ、ご先祖が大昔に使っていた偵察用からくり人形じゃぞい」

 そう言って、幻導斎は掌サイズのロボットを見せる。勇気は驚きと感動が入り混じった目でそれを見る。

「すげぇ~。他にもあるか見ていい?」

「いいぞい」

 幻導斎の承諾を得て、倉庫を色々と調べる勇気。様々な忍者道具を見て回る勇気。ふと、あるものに目がいく。

「これは・・・鎧?なんか、どっかのヒーローみたいなフォルムしてるなぁ・・・」

 それは鎧であった。紅い忍装束と日本の鎧が融合したような鎧である。兜があるところには機械の猿を模したマスクがあった。

-ぽぅ・・・。

「ん?」

 まじまじと見ていると、かすかにだが、鎧が光を放っているのが見えた。なんだろうと不思議に思い、勇気は近づく。その時、幻導斎の声が聞こえる。

「勇気、その鎧に近づいてはならん!下がるんじゃ!」

「えっ?うわっ!?」

 鎧の方に歩きつつ、幻導斎に顔を向ける。その際、つまづいて前のめりに転んでしまった。そう・・・、鎧の方へ。

ガツン!

「おぶっ!?」

 倒れるのは免れたものの、鎧のマスク部分に顔面を思いっきりぶつけてしまった。まるで、キスをしているようである。

「いっててててて・・・思いっきりぶつけちまった・・・」

カッ!!

「うお!?」

「ぬぅ!?」

 思いっきり打った顔面をさすっていると、突如鎧から光が放たれた。あまりの眩しさに勇気と幻導斎は目を細める。ようやく、光が収まり目がはっきりしてきた勇気が見たものとは・・・?

「ん・・・むぅ・・・誰だ?我の眠りを妨げたのは・・・」

「」

 全裸の美少女であった。赤茶色の髪を長く伸ばした中学か高校生ほどの少女。出るとこは出ておりスタイルは抜群だ。それに・・・全裸でもある。一糸纏わぬ産まれたままの姿の少女を見て化石のように固まる勇気。

「折角、眠ってたところを悪いのぅ、ハヌマーン」

「む?幻導斎か、久しいな。最後に我と共に戦って何年になる?」

 そんな全裸の少女・・・ハヌマーンを見て動じずに話しかける幻導斎。どうやら二人は知り合いのようである。

「うむ、先の大戦から長く経っておるぞ。ちょうど60年ぐらいかの」

「ふぅむ、そうか。・・・あれから外の世界がどうなっているのか見たいものだな。・・・ところで」

「何じゃ?」

「この少年は何者だ?」

 未だに化石のように固まっている勇気を指差しながら幻導斎に問いかけるハヌマーン。それを見て、ああ、そやつな。と幻導斎は返す。

「ワシの孫、勇気じゃ。それと、お主を起こした張本人」

「ふむ、お前の孫とな・・・」

 そう言って、勇気の顔をマジマジと見詰めるハヌマーン。

「はっ!?ぬわわっ!!!?」

 それと同時に咄嗟に我に返り顔を赤くして、後ずさる。・・・まぁ、ボンキュッボンな女の子(しかも全裸)にマジマジと見詰められればそうなるであろう。

「ふむ・・・こやつ素質があるな。磨けば光るかも知れぬ・・・」

 一旦、勇気から離れブツブツと呟くハヌマーン。暫くして、よし!決めた!とポンと手を叩くと幻導斎に向き直る。

「こやつと『佐助』としての契りを結ぶぞ」

「え!?どゆ事!?」

「危険じゃ、勇気は忍としての修行はしておらんぞ」

 ハヌマーンの言葉に、ムズカシそうな顔で反論する幻導斎。勇気は何がなんだか、訳が分からず頭に「?」を浮かべていた。

「えーっと、爺ちゃん・・・話が見えてこないんだけど」

「うむ、ハヌマーンは先祖代々から猿飛家と共に居た妖怪じゃ」

「よ、妖怪!?人を食べるんじゃないのか!?それって!!?」

 ハヌマーンが妖怪であることに驚く勇気。

「ハヌマーンはどっちかと言うと守り神よりじゃな。んで彼女と契りを結び妖忍となった者がご先祖様の名をとって『佐助』と呼ばれていたわけ。・・・つまりじゃ、勇気。お前はハヌマーンと契りを結び『佐助』として忍の道を歩まねばならぬのじゃ」

「具体的にはどういったことをするんだってばよ?」

「そうじゃの。主に人々に害なす者の排除じゃ。主に妖怪とかテロリストとか」

「だ・・・大丈夫かなぁ・・・。下手すれば死ぬんじゃねーの?」

 佐助としての業務を聞かされ、不安を隠せない勇気。そんな事はないぞ。とハヌマーンが割り込んでくる。

「そやつらと戦うときは我と融合して戦うのだ。たかだかヒトの逆賊やそんじょそこいらの妖怪如き我の敵ではないわ」

「うわぁ・・・すっげー自信満々だなオイ。ってか、いい加減服着ろよ。目のやり場に困る」

「おお、そうであった。いやはや長い間封印状態で眠ると服を着ていないことを忘れてしまう」

 どや顔で胸を張りながら言うハヌマーンの裸姿にいい加減なれた(?)のか半眼でハヌマーンに言う。ハヌマーンは悪びれた様子もなくハッハッハと笑った。

「ワシが若い頃、ハヌマーンを蘇らせた時のようじゃのぅ」

 そんな2人を(≡ω≡)なのほほん顔で見詰めている幻導斎であった。


~妖怪着替え中。


「ま・・・、俺の不注意で起こしちまったし。・・・分かった責任とってアンタと契りを結ぶぜ」

「潔いな、勇気とやら。ますます気に入ったぞ」

 幻導斎から話を聞いた美春が持ってきた服(Tシャツとジーパン)を着終わったハヌマーンに勇気はそう切り出す。感心した様子で、ハヌマーンはニヤリと笑い続ける。

「では猿飛勇気よ。今日からお前は、妖忍『佐助』となる。我と共に、太平の世をおびやかす魔の者を討ち倒そうではないか!」

「おう!(これってまるでTVのヒーローになった気分だぜ。・・・学校生活との2重生活だが・・・がんばるぜ!)」

 ハヌマーンの言葉に不安と期待が入り混じっている胸中であるが、勢いよく返事をする勇気。とその時、

「・・・と、挨拶はこれで終わりだな」

「ゑ?」

 突如、ハヌマーンはニッコリといい笑顔で勇気の肩をガッチリ掴む。

「もうかなりの時を眠っていたからな。魔力とかがカラカラだ・・・、と言う訳でお前のを貰うぞ」

「は?え?・・・どう言う事なの?」

 いきなりの事なので困惑気味の勇気。それを見ていた幻導斎はああ、と知っているような素振りを見せる。

「魔力補給をするようじゃな。ワシも昔ようヤらされてたわい。・・・がんばれよー、色んな意味で」

「ぬっふっふ~、勇気の【禁則事項】はどんな感じかな~♪」

「ま、魔力補給なのになんで頑張れなの!?ハヌマーンさん、何やばい事口にしてるんですかー!?誰かヘルプミィィィィッィィィィィィッィィィィィィィィ!!!!」

 ハヌマーンに担ぎ上げられ、倉庫を出る勇気たち。・・・ちなみにその日の夜中、勇気の部屋でギシギシと言うベッドが軋む音と「アッー!」な嬌声が響いたのは言うまでもない。


回想終了。


「・・・今となっちゃ、コイツと契約しなきゃよかったと思うようになっちまったよ・・・」

「?誰と喋っている勇気」

 初めてハヌマーンと出会った日の事を思い出し、遠い目で呟く勇気にハヌマーンはクビをかしげながら問いかける。

「そうか。ならば戻ろうか、明日学校なのだろう?」

「ん?ああ、そうだな。行こうか。(ま、過ぎたことはしょうがないし、とやかく言うまいか)」

 胸中で呟きつつそう言って、勇気とハヌマーンは闇の中を駆けていったのであった。


 ひょんなことから妖怪と契りを結び妖忍『佐助』となった少年猿飛勇気。彼の戦いはまだ始まったばかりである。


続く・・・。

今更遅いですが・・・あけましておめでとうございます(遅すぎ)

新年となって半月はたっているであろう今日この頃・・・やっと投稿できました。本当は年末に投稿したかったのですが、スランプに陥ったようで・・・年を越してからの投稿となりました。・・・本当にすいません(土下座)

少しずつですが、スランプを克服していきたいと思いますので、皆様応援よろしくお願いします。

では良いお年を・・・。

それでは~(0w0)ノシ

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