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狂愛方程式
バチンッ
『っ…ぁ、』
枯れた喉はもう叫ぶ事すら出来ない。
ひりひりと痛む頬を押さえようとすると、次は腹に蹴りが入る。
『かっ、』
抵抗することも出来ず、宙を舞うように飛ばされた。 ポキッ
肋が折れる音、
ガタン
タンスにぶつかる音、
目の前が霞んで、視界に新鮮な赤色が入る。
あぁ、俺は死ぬんだな。
そう思い、ゆっくりと目を閉じて、意識を手放した。
「…………、」
目を覚ますと、いつもの自分の部屋にいた。
床には散乱した睡眠薬。
零れた水。
右手にはカッター。
左手は傷だらけの腕。
あぁ、またか。
また、俺は死ねなかった。
「死にたい」
無音の部屋に俺の声だけが反響する。
血だらけの腕を眺めると、まだ血がだらだらと流れている。
それをみた俺は、このまま死にたいと望んだ。こんなにも死を望んでいるのになんで死ねないんだろう。
考えるのもいやになり、俺はまた意識を手放した。