37つ、藍銅石の思い
今回はアズ視線です。
カナ様。
何故、偽名を言ったのですか?
あの方達とはまるで違う変わった人。
今、自分はカナ様を庇っている。
自分が下でカナ様が上。
このままでは地面に衝突するでしょう。
何処かさっぱりとした、現実。
現実なんてそんなもんだろう。
「地面は砂です!柔らかくなーーーれ」
其処までに死を抵抗している姿は驚くばかりです。
では、どうして、奴隷を助けたのでしょうか。
偽善か。
「風はあたし達を包んでくれます!」
違法奴隷でも人生は終わり同然です。
なんせ物ですから。
目的を持って違法奴隷に落ちる者だっています。
「ウォータークッションって最高だね!」
カナ様のような、人だって奴隷じゃないですか。
いえ、自分は自分の目的のために頑張るものです。
簡単な儀式詠唱にも大量の魔力か触媒が入ります。
やはり、カナ様は・・・。
衝撃が走る。
それでも、死んでいない。
生きている。
「アズ、生きてる?」
心配げに覗くカナ様。
何処から何処までがカナ様でしょうか?
分からないです。
「背中を強く打ったね」
魔力が集まる。
スペルを唱える。
気が付いているのでしょうか?
自身が淡い光に包まれていることを。
「エイド」
ですが、なぜ、治癒を背中にかけるのでしょうか?
全体と一部とでは消費魔力が違いますが・・・。
背中を打っただけですよ?
細かい事をしますね。
「すみません。お聞きしても良いですか?」
気になりますから、聞く事にしました。
呆然とした顔つきになる。
なにか自分は悪いことを聞いたのでしょうか?
「どうぞ」
「なぜ、背中に治癒をして下さったのですか」
首を僅かにかしげる、カナ様。
うーーんと考えている姿は可愛らしいです。
「あたしの父親がね、
背中を打撲やらぶつかったりやら大量にやらかしてたのよ」
なにげにドジなお父さんですね。
いったいどんな生活をすればできるのですか?
「ある日ね、背中から水が噴出したの!!」
え?
「そう言う事で納得した?」
「はい」
そんな事は嫌です!
ありがたいです。
流石ですね。
「そこまで派手じゃないけどね」
カナ様はなんと御優しい方なのでしょうか!
色々と鑑定に入れても非常に困ります!!
ですが、ですが!!
そういえば、この森ってまさか・・・。
気のせいですよね!!
背中を強く打つと脊髄袋が破れるって話を聞いたことがあるので
ちょっとネタに。
水が噴出すなんてありえないですけど。