36つ、逃亡につき破損しました
こんなテンポかな?
アズの装備。
手、鉄の剣
腕、なし
体、皮の鎧(部分鎧系)
足、なし
頭、なし
その他『装飾品』なし
初期のありきたりな装備。
ボロイ。
敵の装備。
手、ほんのり金色の剣
腕、金属なガンレット
体、金属な鎧
足、金属のレギンス
頭、なし
そのた『装飾品』カフス?
装備の時点でアウト。
アイツ一人しかいない模様。
インナーとか、眼に見えない装備はやめて欲しいな。
訳分からんから。
この場合は後衛が鍵ですか?
ヘタに手出しするとやばそうだ。
未知数だし・・・。
天然石の短杖を構える。
「藍銅に守りの膜を
不可視の防御膜」
まずはコレで、よし。
アズと敵が打ち合う。
頑張って、アズ。
あたしの手札は限りなく少ない。
00スペル。
常套必殺、ライン’z シュート。
ショットストーン。
水球の牢屋。
役に立たない!!
ヘタしたら、巻き添えになる。
さらに魔法無力化でもされたらおしまいだし。
八方塞がり!!
待て待て、フラッシュとか何かあるでしょうが!!
考えろ、何か手はあるはずだ。
でも浮かばない!!
「こんな雑魚に時間がかかるとは、心外だな」
「カナ様に、何もさせません!!」
嬉しいけど、恥ずかしいです。
あ、あった。
消費魔力が多すぎてダウト。
『加奈、手段はあります』
まじで!
魔力不足だよ。
なんとか手はあるの?
『あんじゃないの!
魔力貯蔵できるのよ、私達、皆がね!』
軽く見積もっても、大量にあるかも。
天然石自体の力は正直、期待は出来ない。
力のある石って大きいのが主力だし。
相性とかも勿論ですが!
異界補正も見込んでの見積もりだけど、大丈夫かコレ。
『加奈自体には魔力の出力制限が存在します。
我々も同時に放出します』
??
えーっと。
クリスさん。
分からないです。
『言うなら、
私達の魔法、スペル?とか魔力やらを
私達と同調して魔力やらを混ぜて、ほぼ同時に放つの!』
最後には投げやりなリリィさん。
乱暴な口調です。
アズ君が押されてる。
武器性能の差がひどいし、
拮抗していると言ってもやばい。
全体的にやばいったらやばい。
『貯蔵量の成長力は誰よりもあるのに勿体無いです』
問題発言!!
蛇口から出る水の量が一定と言う事か!
他のホースやら蛇口やら増やせば問題解決なのね。
結論は、コレしかなかった。
「依頼人、準備はいいですか」
試作品の箒を取り出す。
最高時速は分からないけど、いけるはずだ。
多分。
いやー、素晴らしい位に不安ですけどね!!
「そうねー。
うん、いいもん見れたし、逃げよっか」
「アズの回収はあたしがします。
コレが失速しだしたら、回収をお願いしてもいいですか。
勿論、あたし達をですけど」
いいわよ。
と、簡潔な返事だった。
眼を閉じて唱える。
分かりきった結果を引き寄せるためにために。
いくよ、あたしの宝達。
『『「眩い光を眼下の敵に」』』
戦いの音が止む。
眼を開けると、謎の騎士が目を抑えていて蹲っていた。
アズも同様に。
ゴメン、無差別だったのね。
箒に跨って、地面を蹴る。
空を滑る感覚、空を飛ぶ感覚は特別だ。
ううん、その感覚より、先に。
「アズ、手を真っ直ぐに伸ばして」
手を伸ばして、箒を掴む。
そのまま、もうダッシュ。
速く速く、メアリー・ヘルの馬車は飛んでいた。
ペガサスだからね。
うん、凄い。
壊れる事すら気にせずに空を翔る。
「空は自由だね」
風も自由だ。
羨ましい。
「カナ様、カナ様!
名前の響きがいいです。
自分の名前も大好きですよ。
カナ様、自分はそんなに信用がないですか?」
後ろを向くと、アレが点に見えるぐらいに
離れたみたい。
「そういう事はないよ」
確かに無い。
あたしの警戒心がそうさせただけだ。
名前が向こう側にばれていた、ではなく
知っていた事だ。
そのことについても調べないといけない。
顔に当たる空気が緩む。
失速してきた!!
徐々に高度が下がってくる。
箒にはヒビがチラチラと・・・。
不吉な音と共にあたし達は落下した。
思考停止ってあるもんだ。
試作品、箒が破損しました。
大変だね!