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天龍村クエスト  作者: 安楽樹
3/3

第3話 そして伝説へ……

いさむ/ゆうしゃLV3:東京では、原宿に行ってみたかった

ゆーじ/そうりょLV3:東京では、歌舞伎町に行ってみたかった

ゆうり/まほうつかいLV3:東京では、渋谷に溶け込めるかどうか心配していた




竜王町からの帰り道。

勇者たちは、せめてもの情けに2泊3日の東京アレフガルド旅行を許可された。

ヨシツネからの説得もあり、念願の闇の大地へと足を踏み入れて意気揚々と帰ってくるかに思われたが……。


ガタンゴトン……


いさむ「お、恐ろしいところだったぜ≪東京アレフガルド≫……」||l( ̄_ ̄)

ゆーじ「全くだ。闇の大地と恐れられるだけはある……」||l( ̄_ ̄)

ゆうり「まだ私たちにはLVが高すぎたみたいね……」||l( ̄_ ̄)


いさむ「だが、だが負けん!いつか必ずまた辿り着いて見せるぜ!あの大地に!」

ゆーじ「おおっ!Σ( ̄□ ̄)何だか勇者っぽい台詞だな」

ゆうり「私も!そのうち東京が似合うOLになって見せるわ!」

ゆーじ「OL?お前が働けるとこなんて……ぱふぱふでもすんのか?」

いさむ&ゆーじ「(じっ)……」( ̄_ ̄)( ̄_ ̄)

ゆーじ「悪いことは言わん、やめとけ」

ゆうり「何でよっ!」Σ( ̄□ ̄)



>天龍村へ


ゆーじ「久々に村に戻ってきたな」

いさむ「ああ。こうしてみると、この村も悪くないって思えるな」( ̄ー ̄)

ゆうり「ええ。東京は暑いし空気が悪くて」

いさむ「とりあえず、酒場にでも行ってみるか」


内田さん「おう、どうだった遠征は?こっぴどくやられたか?」

ゆーじ「いや~、まだまだ俺らじゃLVが低すぎたみたいだね」

内田さん「はっはっは、そりゃそうだろ!20LV早いってもんよ」

母「……勇者、分かったでしょ?まだしばらくはこの村で経験値を積むことね」( ̄ー ̄)

いさむ「……ああ、わかった。俺も客引きでも何でもするよ。その代わり、手伝い料貯金させてくれよな」

母(さすがかわいい子には旅をさせろと言ったもんだわ……。確実にLVUPしてるわね。こりゃ船を手に入れるのも時間の問題……?)



(勇者の格好をして観光案内をするいさむたち)


いさむ「ん?何か妙に観光客が少ないな……?」

ゆーじ「こっちもだ。暇でしょうがないぜ」

村長「ついに気づいてしまったか……」

TV『――というわけで、今兵庫県のFF村では、タマネギ剣士ツアーが大人気なのです――!』

村長「この通りじゃ」

いさむ「FF村……?」

村長「そう。お主たちが留守にしている間、すっかり人気を向こうに持って行かれちまったわい……。おかげで村では、ダーマの神殿へと足が向かう大人が続出なのじゃ……」

ゆーじ「ダーマの神殿?……ああ、ハローワークね」


村人A「やっぱ、無理があったのかな……」||l( ̄_ ̄)

村人B「ハードの変化について行けなかった時もあったし……」||l( ̄_ ̄)

村人C「あっちはもうオンラインだしな……」||l( ̄_ ̄)

村人D「海もあるし、暖かいってのもでかいな……」||l( ̄_ ̄)


ゆーじ「な、何だよこの陰気っぷりは……?」

ゆうり「私たちが出る前が嘘みたい……」

いさむ「……」

村長「もう、すっかり大人たちはこの通りじゃ。所詮こんな山奥の村が村興しなんて無理があったのかの……」


ゆーじ「……」

ゆうり「……」

いさむ「そんなモンだったのかよ……」

村長「……?」


いさむ「そんなんで諦めるんだったら、一体何のために俺たちは勇者なんてやったんだよ!」Σ( ̄へ ̄)

ゆうり「そうよ!そんな簡単に諦めないでよ!」Σ( ̄へ ̄)

ゆーじ「だったら……俺たちが何とかしてやんよ!」Σ( ̄へ ̄)


村長&村人たち「お前たち……」


いさむ「まだ諦めるには早いよ!」Σ( ̄□ ̄)

ゆーじ「俺たちも何かいいアイデア考えようぜ!」Σ( ̄□ ̄)

ゆうり「そうよ!みんなで考えれば、何かいい案があるはずよ!」Σ( ̄□ ̄)

ゆーじ「……そうだ!じゃあ四国と提携して、『せかいじゅのはっぱビジネス』なんてどうだ?」

いさむ「だったら、長ネギの『光の剣』を作って、それを装備した『長ネギ剣士』なんてのは?」

ゆーじ「決め台詞は、『硫化アリルが目に沁みるぜ……』だな!」

村人A「……そ、それなら、オクラの『グリーンソード』って手もあるぞ?」

村人B「じゃ、じゃあカボチャの『鉄かぶと』もアリだな!」

ゆーじ「おおっ!そりゃいいじゃねえか!特産品になりそうだな」

いさむ「その調子だよみんな!」Σ( ̄□ ̄)

ゆうり「……ダメダメ!こんな山間地のどこに生産量を確保できるような面積の畑があるってのよ?ブランド化するなら、まずはある程度の安定供給できるような数を確保しないと!やるなら上伊那地域の長ネギ生産地域と組むか、山林で作れる商品を開発しないとダメよ!」

ゆーじ「ゆうりの奴、いつの間に商人に転職したんだ……?」

いさむ「さすが丸の内OLを目指すだけあるな……」


勇者たち「……ボソボソ(何やら相談している)」

村人たち「ワイワイガヤガヤ……(ああでもないこうでもないと騒ぐ)」


いさむ「……これだけ元気が出れば、もう大丈夫だよな」( ̄ー ̄)

ゆーじ「……ああ」

村長「……?どういうことじゃ?」

いさむ「俺たち、旅に出るよ。……今度は本当の旅だ」

母「旅?」

ゆーじ「今のままじゃ、この村は寂れていく一方だ。だから俺たちが、この村を救う方法を探してくる」

ゆうり「安心して。必ずいい話を持って帰ってくるから」


村長「お主たち……」

母「勇者……」

いさむ「安心してくれよ。必ずこの村に平和を取り戻してくるから」

ゆーじ「そう。俺たちだけが勇者なんじゃない。……みんな一人一人が勇者なんだよ」

ゆうり「……ゆーじにしてはカッコいい台詞じゃない。ふふ」( ̄ー ̄)


村長「……『そして伝説へ……』か。分かった。気をつけていくのじゃぞ、勇者よ」


勇者たち「ああ。……行ってきます!」Σ( ̄□ ̄)>




……それからしばらくして、天龍村にはこんな貼り紙が貼りだされるようになった。





『天龍村は、村を元気にしてくれるあなたのような勇者を待っています!』





……これが、天龍村の地域おこし物語だ。


田舎はいつでも、君の力を待っている。




 天龍村クエスト GAMEOVER ... 





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