表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビで滅んだ異世界を、シヴィライゼーション知識で再建する  作者: マルコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/28

第三章 第二話 外周監視線の構築と“都市化”の始まり

 黒い霧の封鎖を終えたあと、

 ユウタはすぐに村の主要メンバーを広場に集めた。


 クロウ、クレア、ガロン、農地班、水路班、そして――リュミエラ。


 ユウタは地図を地面に描きながら言った。


「今日の作業目標は三つです。」


 空気が張りつめる。


【目標1】外周監視線(城壁原型)の構築


「村の周囲を“囲む”形で、見張り塔と外周柵を敷設します。

 今のままだと、遺構から何が来ても気づけません。」


 クロウが腕を組む。


「囲むって……この村全体をか?」


「はい。

 最終的には“城壁”になりますが、

 今はその原型――外周監視線を作ります。」


「どれくらいの規模だ?」


 ユウタは棒で地面に円を描く。


「村の中心から半径200m。

 ぐるっと一周です。」


「に、にひゃく……?」

 誰かが息を呑む。


「そんな巨大な柵……何十日もかかるぞ……!」


「だから、全部を“壁”にする必要はありません。」


 ユウタは“点と線”を描いた。


「要点は三つ。


 ① 7か所に“見張り塔”

 ② 東西南北に“主要ゲート”

 ③ 柵は“軽材”でいい。強度より情報が目的

 」


 クレアが首をかしげる。


「強く守るんじゃなく……“見つけるため”の壁なのね?」


「その通りです。」


■ユウタ:


「まずは“気づく”ことが勝利条件。

 見つけて、村が動く時間を確保する。

 だから第一段階は“監視線”なんです。」


 この説明で、村人の表情が変わった。


 巨大な壁を作るのではなく、

 “見張り線”の構築なら、時間も人手も足りる。


「よし! 木材班はすぐに伐採だ!」

「縄と杭を用意する!」

「見張り塔の基礎は俺たちが!」


 村人たちが一斉に散っていく。


 その活気は、もはや“村”ではなかった。

 小さな“都市”のそれだ。


【目標2】汚染地の隔離と“土壌改良”の準備


 ユウタは黒い霧の区画を指す。


「汚染地は“封鎖”したままです。

 ここは農地としては使えません。

 しかし――」


 土を手に取り、指でもみながら言った。


「この汚染は“拡散型”ではなく“浸透型”です。

 つまり、広がるのは地面の水脈に沿うだけ。」


 クレアの目が輝く。


「ということは、囲ってしまえば……?」


「被害を一定範囲に留められます。」


 動揺していた農地班の顔色が少し戻った。


「土壌はしばらく休ませます。

 灰と石灰の混合物で“浄化層”を作り、

 上から清浄な土を盛って“新しい畑”にします。」


「灰……?」

「石灰……どこにある?」


 ユウタは鍛冶場を指差す。


「鍛冶場の炉の灰を使います。

 石灰は、石を焼けばできます。

 あとは配合を試しながら――」


 クロウが肩を叩いた。


「ユウタ。

 お前……昨日から“農学者”にもなったのか?」


「いえ、シムシティの知識です。」


「なんだそれは……」


 だが不思議と、クロウの顔には笑みがあった。


【目標3】遺構への“ルート設計と兵站整備”


「遺構へ行く道を“中道”として整備します。

 偵察、資材運搬、救援の動線が必要です。」


 リュミエラが真剣な目つきで問う。


「……つまり、

 遺構への本格調査を“戦略目標”にするということですね?」


「はい。

 遺構が完全に起動する前に、

 内部の構造と“中枢”を押さえておく必要があります。」


 ガロンが静かに言った。


「遺構は……敵の巣だ。

 だが、同時に“千年前の技術”も眠っている。

 生き残るためには、あれの技術が必要になる。」


 ユウタは頷いた。


(そう……

 あの遺構には、文明レベルを一気に跳ね上げる“秘術”が眠っているはずだ)


 ゲームの遺跡探索イベントなら――

 そこに“文明ブースト”が眠っている。


(必ず……取りに行く)


 その決意を胸に刻んだ。


◆作業開始――村は“都市”へ変わり始める

●見張り塔の建設


 まずは、村の東端に建つ“主塔”から。


「柱はここだ! もっと深く刺せ!」

「縄、回せ! ゆるむな!」

「見張り台は二段! 上と下で交代だ!」


 クロウの怒号が響き渡る。

 彼は戦士でありながら、作業監督としても優秀だった。


 高さ5mほどの見張り塔が徐々に形になっていく。


(これで“視界”が確保できる

 敵の早期発見ができれば、被害は桁違いに減る)


 ユウタは胸の奥が熱くなるのを感じた。


●外周柵の敷設


「木杭を刺す!」

「縄を通せ!」

「間隔は1.5m!」


 子どもから老人まで協力し、柵がぐるりと伸びていく。


 完成すれば弱くても構わない。

 “見張り線”になることが重要だ。


●中道の整備


「この道、遺構まで伸びてるんだよな……」

「怖ぇが、頼もしくもある……」


 ガロンが前に立ち、森へ向かう細い道を整備していく。

 土をならし、立ち枯れた木を除け、

 荷車が通れるように幅を広げる。


(遺構への動線ができれば、

 探索・撤退・物資補給がスムーズになる)


 これも文明化の大きな一歩だ。


◆夕暮れ――ユウタの胸に宿る“熱”


 夕陽が沈む頃、

 村の外周には、

 まだ簡素ながら一本の柵と二つの見張り塔が完成していた。


「今日はここまでだ!」

 クロウの声が響く。


 村人たちの顔は疲れていた。

 だが――


 その表情には確かな誇りがあった。


「俺たち、本当に“壁”を作ったんだな……」

「これでちょっとは安心できる……」

「国って、本当に作れるんだ……」


 ユウタはその光景を見て、静かに拳を握った。


(……これだ)


 元の世界で味わえなかった達成感。

 努力が、誰かの命や未来を変える実感。


(この村――

 いや、この国を……必ず守る)


 リュミエラがそっと隣に来た。


「ユウタさん。

 ……ありがとう。

 あなたがいなければ、今日の景色を見られなかったわ。」


「まだ始まりです。

 明日は“第二段階”です。」


「第二段階……?」


「はい。

 遺構への“初潜入”のための準備です。」


 リュミエラの顔が少しだけ強張る。


「……その時が、来るのですね」


「来ます。」


 ユウタは森の奥――

 脈動の方向を見つめた。


(世界の仕組みを暴き、

 遺構の“覚醒”を止める)


(そのための文明、国家、軍事、そして知識……

 全部、ここに集める)


 夜風が吹き、黒い霧がわずかに揺れた。


 明日。

 村は――いや、国は動き出す。


 遺構へ踏み込むために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ