4話
オフ会当日。
指定された喫茶店に行くと、すでに数人のリスナーが集まっていた。
そして、その中心に、蛍がいた。
いつもと違って、少しだけおしゃれをしている蛍。
でも、相変わらず眠そうな目をしている。
「……あ、透明人間さん」
蛍が、俺に気づいて手を振った。
「……来てくれたんだ」
「ああ」
俺は、蛍の隣に座った。
「……ねえ、相沢くん」
「ん?」
「……今日は、ルナじゃなくて、柊蛍として話してもいい?」
蛍は、少しだけ照れたように笑った。
「……その方が、素直に話せるから」
「……ああ、いいよ」
俺は頷いた。
そして、その日、俺たちは初めて「相沢透」と「柊蛍」として、ちゃんと向き合った。
画面越しじゃなくて、教室でもなくて。
ただ、二人きりの時間として。
「……ねえ、相沢くん」
オフ会が終わって、帰り道。
蛍が、少しだけ恥ずかしそうに言った。
「……私、あなたのこと、好きかも」
その言葉に、俺は立ち止まった。
「……え?」
「……だって、あなた、いつも配信見に来てくれるし」
蛍は、俺の顔を見た。
「……それに、学校でも、優しくしてくれるし」
「……それは」
「……私、あなたがいるから、配信続けられてるんだと思う」
蛍は、少しだけ涙ぐんでいた。
「……だから、ありがとう」
俺は、蛍の頭をぽんぽんと撫でた。
「……俺も、お前が好きだ」
その言葉に、蛍は顔を真っ赤にした。
「……え、ほんと?」
「ああ」
「……じゃあ、付き合う?」
「……ああ」
俺たちは、そうして恋人になった。
画面越しでも、教室でも。
二つの世界で、でも一つの関係として。
俺たちは、これからも一緒にいることを決めた。
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それから数ヶ月。
蛍は相変わらず配信を続けているけれど、朝の寝不足は少しだけマシになった。
それは、俺が夜更かしを止めるように言ったからだ。
「……でも、配信やめたくない」
「やめろとは言ってない。ただ、もう少し早く終わらせろって言ってるだけだ」
「……わかった」
蛍は、素直に頷いた。
そして、今日も蛍は配信をしている。
でも、今日は少しだけ特別だ。
「……今日はですね、特別ゲストがいます」
画面の向こうで、蛍が笑った。
「……私の彼氏、透明人間さんです」
俺は、蛍の隣に座って、マイクに向かって話しかけた。
「……よろしく」
画面のコメント欄が、一気に盛り上がった。
そして、俺たちは二人で配信を続けた。
もう透明人間じゃなくて、ちゃんと「そこにいる」俺として。
蛍と一緒に、これからも歩いていく。
それが、俺たちの新しい日常だった。
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