1000のテンプレを持つ女
私は運よくスキル持ちだった……
スキル持ちは希少なので、結構隠す人が多い。
何故ならスキルを知られると恐れられたりこき使われることが多いからだ。
だが私のスキルはテンプレだった……
なんだこれ……
私の第一印象はこれである。
しかしこれが想像以上に役に立ったのである……
まずは早速ですが、今……
「エリザベス!お前との婚約は破棄するものとする!」
突然婚約者の公爵令息であるアーノルド様に言われてしまった私……
私はエリザベスで侯爵家の娘ですわ……
ここでテンプレ発動しますわ!
テンプレを発動すると自動的にテンプレ的な振る舞いをしてくれるのだ。
ここで発動するのは、悲劇の令嬢である!
「わ……分かりましたわ……アーノルド様、今までありがとうございました……」
自然に涙まで出てくる始末……
うん凄い……
アーノルド様は貴族学校の卒業式にみんなの前で言うという暴挙に出たため、
他の貴族からは反感を持たれたところに、私がしおらしい悲劇の令嬢の振る舞いをしたので、
空気が一気に私が気の毒な雰囲気になった……
空気を感じたアーノルド様は「文句あるか!私は公爵家だぞ!」などと強引にゴリ押すので、
他の貴族は大人しくなったが、そこに現れたのは第三王子様……
「文句あるぞ!貴様は2つの過ちをしている!1つは貴族学校の卒業式の私物化である!公爵家のものだからっていい気になって良いなどと誰が決めた!次にその婚約破棄は不当ではないのか?しっかりと調査させてもらうからな!」
アーノルド様は第三王子様の登場に慌てて言い訳を言っているが相手にされず、
浮気もバレてしまい、大恥をかくことになった……
おかげで第三王子様立会の元、慰謝料を公爵家が負担することになり、アーノルド様は公爵家の跡継ぎからも外されて、地方へ飛ばされたようだ……
良かったですわ……テンプレが無かったらつい私は失言でもして、こうは上手く行かなかったでしょう……
何て便利なスキルなのか……
このテンプレってスキルは経験や知識によって増やすことができる、私は今や1000ものテンプレを保持しているから困った時に使い分けることで、こうして何とかしているのである……
第三王子様との会話では、慎ましい令嬢テンプレ発動!
「第三王子様、ありがとうございます、このご恩は忘れませんわ……」
私の慎ましい態度に、第三王子様はお喜びになった……
やりましたわ!第三王子様は残念ながらすでに婚約されていますが、もしこれ婚約者がいないようなら、私を指名しそうなくらい、満足そうなお顔をしていますわ……
もっとも流石に略奪は危険だからしませんけどね……
こうして私は新たな人生を掴むことになった……
私も何もしないわけにはいかないので、第三王子様にお仕事を1つ紹介してもらった。
第三王子様と同じ母を持つ第二王女様の相談役みたいなお仕事だ……
実際のお仕事自体はもっと他の試験に受かった官僚たちがするのだが、話し相手みたいなことは、貴族令嬢が務めることが多いのだ。
以前の慎ましい令嬢テンプレのおかげで印象が高いからであろう……
第二王女様の話し相手何て本来私が上手くできるものではないが、ここでもテンプレの出番だ!
普段は侍女テンプレで対応!と思ったら、ちょっと畏まり過ぎと仰られたので、
私的な場面では女友達テンプレ、公的な時は侍女テンプレを使い分けることで、信頼を得ることができた!
ああ本当に便利ですわ……
私のすることは、どのテンプレを選ぶかを考えるだけでいいのですわ……
さらにこんな場面まであった……
商人が第二王女様に珍しいものを売りに来たのだが、商人テンプレを発動して、上手く交渉に成功!
第二王女様は「貴女商人と渡り合うなんて凄いわね……商売に関してはあっちがいつも上だから、もしかして損してたかもって疑ってたのよ……」
と感心される……
ああ、本当にこのスキルは素晴らしいですわ……
あとはこの理想の奥さんテンプレを使える相手に会えるだけですわ……
アーノルド様に使ってあげたかったのに、あんなことをするから……