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配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信  作者: 佐藤悪糖
八章 今週の白石さんはおやすみです
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井口と蒼灯

 本配信が復旧すると、怒涛の嵐も過ぎ去っていった。

 今の視聴者数は五千人ちょっと。普段よりも多めだけど、これくらいの数字ならまだ平常でいられる。

 まあ、だからと言って、私に五千人の相手ができるってわけではないんだけど……。


:彼は覚えられるだろうか、お嬢直伝のライジングテンペストサーブ

:人間じゃ無理でしょ

:あんなもん打ったら体育館壊れるぞ

:下手な魔物は消し飛ばせるくらいの火力はあった

:人に向けて打っていいものではない


 相変わらず私は喋らないし、リスナーたちは勝手に雑談している。

 これがうちの平常運転。こんな喧騒も、なんだか居心地がよかった。

 そんな穏やかな空気感のありがたみを、いつにも増して噛み締めていると。


「世話になったな、白石ちゃん」


 救護テントに、桃ちゃんさんがやってきた。


「おかげで本配信も無事に復旧できた。それに、復旧するまで繋いでくれていたと聞いたぞ。それも含めて感謝する」

「あ、えと、はい」

「礼と言ってはなんだが、白石ちゃん。何か参加したいイベントはあるか? 君は救護スタッフとして呼ばれているが、よければ何か出てくれても構わない」

「い、いや、えと。そういうのは」


 い、イベントに参加するのはちょっとなぁ……。

 飛び入り参加なんてしたら、絶対に目立つし。私はそういう柄じゃないというか、もう十分に衆目に晒されたので、これ以上は勘弁してほしいというか……。


「遠慮しなくていい。そうだな、気配斬りはどうだ? 目隠しをして斬りあう競技だ。君ならいい線行くだろう」

「あ、えと、その……」


 どう断ろうかと困っていた時、救護テントに闖入者がもう一人。


「井口ー? お前、なにしてるー?」


 蒼灯さんだった。


「なんだ、蒼灯か」

「なんだ、じゃないですよ」


 救護テントに入ってきた蒼灯さんは、座っている私の後ろに回り込んで、ぽんと肩に手を置いた。


「白石さんに無茶言わないでください。ほら、困ってるじゃないですか」

「しかしだな。主催側としては、彼女にもぜひ楽しんでもらいたく」

「あと、この人のこと舐めすぎです。気配斬りなんてやらせたら、企画壊れますよ」

「……そうか?」


:それはそう

:たぶんコンマ数秒で決着つくんじゃないかなぁ

:目隠しとかお嬢にはなんの意味もないでしょ

:四層探索者が複数人でかかれば、もしかしたら勝負にはなるかも

:え、白石さんってそんなに強いの?

:完全体の呪禍を真正面から斬り伏せた人だよ

:ダメだそりゃ


 ……そこまでじゃないと思うけど。

 でも、視界がなくても、相手の位置くらいわかるから。同じことができる人が相手じゃないと、簡単に勝っちゃうのかも。


「ごめんなさいね、白石さん。こいつ、悪気はないんですが、あんまり遠慮しないタチで」

「ううん。ちょっと、びっくりした、だけだから」

「だ、そうですが」


 蒼灯さんはジト目で桃ちゃんさんを睨む。彼女は悪びれることなくこう言った。


「白石ちゃん。連絡先を交換しようか」

「今度はナンパですかよ」


 蒼灯さんがツッコんでいた。


「いいだろう、それくらい。私だって白石ちゃんを構いたい」


 ま、まあ、その。連絡先の交換、くらいなら。

 蒼灯さんが見守る中、私たちは連絡先を交換する。それが済むと、桃ちゃんさんは満足そうに席を立った。


「それじゃあな。イベント、引き続き楽しんでいってくれ。何か参加したくなったら、遠慮なく言ってくれていいんだぞ」

「あ、えと。ありがとう、ございます」

「蒼灯はビーチバレーだったか? 頑張るのは結構だが、ちょっとサービスしすぎだ。お前の乳は青少年の健全な教育によろしくない」

「余計なお世話です!」


 言うだけ言って、彼女は颯爽と歩み去っていく。その後ろ姿には、なんだか風格のようなものが漂っていた。


:嵐のような人だった

:井口さん相変わらずだなー

:なんか気に入られてたね

:気に入られたというか、目をつけられたというか


 救護テントに残された私は、蒼灯さんに目を向ける。

 蒼灯さん、あの人と親しく……親しく? 話していたけれど、もしかして知り合いだったりするのだろうか。


「あの、蒼灯さん。えと、その、桃ちゃん……さんって」

「井口でいいですよ。井口桃子。あいつ、何かと下の名前で呼ばせたがりますが、大体みんな名字で呼びます」


:そりゃあね

:井口さんこの業界長いから

:井口さんのこと名前で呼べるやつそうそういねえよ

:大御所やぞ大御所


「じゃあ、その。井口さんと、知り合いなの?」

「んー……」


 それを聞くと、蒼灯さんはちょっとだけ複雑な顔をした。


「元先輩、なんですよね。昔お世話になった人というか、お世話した人というか」

「え、と。元、先輩?」

「私、昔はEXプロダクションに所属していたので。駆け出し時代、井口には面倒を見てもらったり、面倒を見たりしていました」

「へ……?」


 蒼灯さんの過去を聞くのは初めてだった。

 昔、蒼灯さんは事務所に所属していたのだろうか。でも、今は所属していないってことは、どこかのタイミングで抜けたってことで。


:珍しいな、蒼灯さんが事務所時代の話するなんて

:え、蒼灯さんってソロ専じゃないの?

:昔は事務所所属だったんよ

:駆け出しの頃は事務所で活動してたけど、独立して今はソロ

:EXプロダクションって相当いい箱でしょ? なんで抜けたの?

:まあちょっとね

:音楽性の違いと言いますか


 リスナーたちも微妙な反応をしている。ひょっとしてこれは、センシティブな話題ってやつだったりするのだろうか。


「え、え、えと。その……」

「とにかく、井口には気をつけてください」


 どう触れたものかと迷っていると、蒼灯さんはそれとなく話題を戻した。


「悪い人ではないんですけどね。対外的には大御所してますし、ここぞという時は頼りになりますし。浅く関わる限りには、かっこいい人なんだと思います」


 なんというか、もってまわった言い回し、ってやつだった。


「深く関わるのは、あんまりおすすめしませんが」


 ものすごく複雑そうに、蒼灯さんはそう言った。

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― 新着の感想 ―
とりあえず、青少年的には、蒼灯さん的なエロの方が、ガチモロよりよほど健全でかつ満足感高いから必要なんですよ。マジで…
ええと、要するに 1. 大海龍はお嬢がサクッと討伐 2. その結果あおひーのおっぱいはお嬢のものに 3. それに伴い「お嬢があおひーのおっぱいを揉みしだく配信」の実施が決定 4. 実は↑は嫌がるお嬢…
こんばんは。 >深く関わるのはおすすめしない もしかしてソッチ系の方の可能性が…? >健全な青少年教育に悪い胸部装甲 少子化対策の為に、正しい性の目覚めを促すのはむしろ健全なのでは?(目だけ真顔
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