第1章 7話『魔術師』
朝食が終ると俺達はこの豪邸にある訓練場と言う場所に来ていた。
何故かと聞かれればそれは魔法の知識を付けるためだ。
「ツカサ始めるわよ。まずは・・・初歩の初歩ファイヤーボールを創ってあの的に当てる事ね。これが出来ないとこの世界では生きていけないわよ。」
「分った。じゃあまずは手本を見せてくれない??」
「OK、じゃあ良く見てなさいよ。」
そう言って彼女は呪文みたいなものを唱え始めた。
(やべぇ・・・さっぱりわからねぇ・・・。)
と思っていると…
『司、司。』
(また、あの声だ。)
『司、貴方は知っているはずです。この呪文を、文字を、意味を、思い出しなさい。貴方の存在理由を。そして、自覚しなさい。貴方がどうして科学世界にいたのかを・・・。私の可愛い司、信じなさい、貴方自身の力を・・・。』
そう聞こえて声は聞こえなくなった。
「ファイヤーボール。」
シイナはファイヤーボールを的に当てた。
「えへっへ。どうだった??」
「えっ、あぁ、まあまあだな・・・。」
「まぁまぁって何よ・・・。」
「まぁまぁとはまぁまぁだよ。」
「じゃあツカサ、やってみなさいよ。」
「分った。」
「へっ??出来るの??」
「何か思い出してきた・・・。」
「思い出して来たってどう言うことよ。」
「まぁまぁ見てなって。」
そう言って俺は詠唱なしでファイヤーボールを10個程創り出し、的に当てた、しかも全部。
それを見たシイナは目を大きく開けて口をポカーンとだらしなく開けたまま固まっていた。
「どうだ??凄いだろ??」
「凄い凄い凄い!!なんでどうして??違う世界で生まれたんじゃないの??」
「落ちつけよ、今から説明するから・・・。」
「うん、分かった、じゃあお茶でも飲みながら私の部屋で話しましょう。」
「あぁ。」
こうしてシイナの部屋へ向かうことになった。