第1章 6話『平和な朝』
「ツカサ・・・おき・・・って・・・ツカサ!!」
「んん!?」
「おはようツカサ。」
「シイナ・・・おはよう。」
「もう朝食の準備が出来てるので早く顔を洗って大広間まで来て下さいね。お父様もお母様もお待ちですよ。」
「・・・ちょっと待て、今何て言った。」
「だからお父様もお母様も大広間で待ってると言ったのですわ。」
「なぁ~にぃ~~。やっちまったな。男は黙って従う、男は黙って従う。それは完全に奴隷・・・的な感じ。」
「何を朝からやってるの??早く支度して下さいな。」
「わかった。」
俺は急いでシャツを脱いで着替え始めた。
「きゃ~~。」
「今度は何だ??」
「いきなり着替えないで下さい。」
「早く支度してって言ったの誰だよ。」
こんな感じで朝から醜態を晒してしまった。
(複雑な心境・・・。はぁ・・・。)
そんなこんなで俺は急いで支度して大広間に向かった。
大広間は入口のドアがとてもデカイ。
心の準備がまだなのにドアは無情にも開いてしまった。
「さぁツカサ、こっちよ。私の隣に座って。」
「わかった。」
俺は言われるがままにシイナの隣に座った。
「おはようツカサ君昨日はよく眠れたかしら??」
「おはようございます。マリー奥様、それはもうぐっすりと、おかげで疲れも取れました。」
「そう、それなら良かったわ。でもツカサ君、私の事はこれからお母さんって呼びなさい。…昔から息子が欲しかったのよ。」
「えっ、でも・・・。」
「気にしなくていいのよ。なんだったらお姉さんでも・・・。」
「ちょっとお母さん、何血迷った事を言ってるのかしら。そんなの絶対に許さないんだからね、ツカサは私だけのものなんだから。」
何だ??今何かサラリと凄い言葉が出てきたような・・・。
「朝から騒がしいぞお前たち、ツカサ君が困っているではないか、ツカサ君ワシもお父さんって呼んでくれていいんじゃよ、昔から息子が・・・。(以下略)」
「そうよ、ツカサ君、君は昨日から私達の息子同然なんだからね。」
「わかりました。父さん、母さん。」
『貴方(お前)、聞きましたか(聞いたか)??』
『えぇ(あぁ)、もちろん。』
『「父さん」「母さん」、だって(ですってよ)。』
「私、嬉しいわ。」
「ワシも嬉しいよ。ツカサ君がそのまま本当の息子になってくれたらもっと嬉しいんじゃがの。」
「ちょっとお父さん、茶化すのもいい加減にいして。ツカサ早くご飯食べて出かけましょう。」
「シイナ、わかったよ。」
『ツカサ、シイナ、ですって(だって)。』
『近頃の子は、早いのう(早いですねぇ)。』
こうして朝は過ぎて行った。
(思ったよりきつくなくてよかった。)
でも俺は心の中で少しホッとしていたんだ・・・。