第2章 10話『秘密…。』
俺達は無事オリエントの子供を親の元に送り届け、そのまま学園に帰ろうとしたのだが、二つ問題がある事を忘れていた事を思い出した。
マリーの事だ。
「マリー。学園に行く前に君に聞かなければならない事がある。」
「何でも聞いてよ。司は私の主なんだから。」
「君は、ホーリーエルフ族の女王だとさっき聖霊が言っていたがそれは本当か??」
「えぇ、本当よ。私はまぎれもなくホーリーエルフの女王よ。でもその前にエルフ族の一人の女なのよ。私だって普通に恋をしたり使い魔になったりしたいのよ。」
「それはいいんだけど、忙しくないのか??それに何故森で襲われてたんだ??」
「女王と言っても特にする事なんて無いから別に気にしなくていいんじゃないかな??それに私はただの飾りの女王にすぎないし…。それから襲われる事は何度もあるから、何故襲われたかは分らないわ。」
「そうか…。じゃあ今から俺は学園に行くけどマリーはどうしたい??人間とエルフは仲が悪いんだろう??」
「まぁねぇ…。でも私はそれよりも前に司の使い魔であり僕なのよ。主の元にいない使い魔なんて聞いた事無いわよ。だから司が何と言っても貴方について行くわ。」
「そうか、分った。それから僕の話は聞かなくていいのかい???」
「そうよ、今まで忘れてたけど、どう言う事よ。神堂家の現当主って…。」
「これは話し出すと長くなるんだけど大丈夫??」
「えぇ、時間はたっぷりあるから大丈夫よ。」
「じゃあ話すけど実は…」
こうして俺はマリーに洗いざらい話す事になった。
「…と言う訳なんだよ。誰にも話してないから他の人に言わないでね…。」
「そうだったんだ…。じゃあ…私の使命は責任重大ね。」
そう言ったマリーの顔は少し嬉しそうだった。
こうして俺達は学園に向かって歩を改めて進めていった。
学園シティーは大きな壁に囲まれていて警備は万全になっている。
許可なく入るのはとても難しい。
でも今は俺はここの生徒なので俺は入れるがマリーはエルフ族…。
使い魔と言えど中々通してはもらえないであろうと思っていた。
しかし思ったよりもすんなり通してくれた。
なんて優しい門番なのだろうか…。
そんな事を考えながら歩いていると、回りの目が気になりだした。
「やっぱりエルフって珍しいんだな。」
「人間に比べれば圧倒的にエルフは少ないからな…。」
「へぇ~。エルフって使い魔なったら結婚とかってどうするんだ??家族とかに会い難くなったりとかしないのか??」
「エルフは基本的に結婚するけど人間とは子が出来ないの。でも人間に使役したエルフは基本的に結婚はしないって決めてるエルフが多いのよ。でも人間の方がエルフより寿命が短いから基本的にはその後に結婚する事が多いわね…。」
「へぇ~。でもエルフって顔が整ってるよね~。」
「あら、司の方がカッコイイじゃない。私は好きよ司。」
「ありがとう。じゃあもうすぐ学園だから大人しくしててね。」
「分ったわ。」
そう言って俺達は学園に入って行った。
学園ではまだ授業中の様で皆教室で先生の話を聞いていた。
そんな中俺は学園長室を目指し歩いて行った。
学園長は案の定忙しそうにしていた。
「神堂司任務よりただいま戻りました。」
「よく帰って来たね。ところでそちらのエルフのお嬢さんは誰かな??」
「彼女はメヒエル・O・マリーンと言ってホーリーエルフ族の女王でありひょんな事から僕の使い魔になりました。」
「そうか、住む部屋の方は大丈夫だと思うが問題は授業中じゃな…。マリーンさんはどうしたいかな??」
「出来れば司様から離れたくはありません。ここで今一番信頼できるのは司様だけですから…。」
「だったら、同じクラスに入学させてしまえばいい。学費は今回の仕事の報酬から差し引かせてもらうよ。まぁこれからこんな事が何度もあると思うからその都度彼女の学費はひかせてもらうからね。」
「分りました。ありがとうございます。」
「それから、ツカサ君にはこれを渡しておこう。今回の報酬だ。」
そう言って学園長が取りだしたのは一冊の本と金貨5枚だった。
ちなみに金貨は銀貨の100枚分の値段で、銀貨1枚あればベットが帰る位の報酬だった。
「こんなにいいんですか??」
「なに、気にせんでいい。」
そう言った学園長の顔はとても満足そうだった、
そんなこんなでマリーは学園の生徒として学園に通う事になったのであった。