第2章 3話『試合終了…。』
「うわぁ~。やっぱり凄いんだなぁ…。」
「俺達とは格が違う感じがするぜ。」
「てか何だあの早さは、人間じゃねよ。」
「こんなの見せられても勉強にならないって、レベルが違いすぎて…。」
「先生も無茶苦茶言うなぁって思ったけど、そんな事なかったみたいね。」
「ほんとよね、ツカサ君ってこんなに強いんだ。」
「先生と互角ってよりもまだ先生の方は少しは余裕がありそうな感じに見えるけど…。」
「あの、風雷の女神とやりあうなんて凄いなぁ~。」
などと他の生徒は思い思いの感想を述べていた。
「ツカサ君ってどれ位魔法使えるんだろうか??」
「先生は風と雷、ツカサ君はこの前に、雷と風と炎を使ってたからここまでは分ってるけど、後は謎なのよね…。闇なのか、光なのか…。」
「流石に、どっちもって事はないよねぇ…。」
「あぁ、それはマズないだろう。それならばもう既に騒がれていてもおかしくないからな。」
「でも俺らでも、あそこまで属性付加を使いこなせないのに、何でツカサはあんなに使えるんだろう??」
「それよりも、上級魔法を使えるって所が可笑しいって。」
「でも、ツカサ君って上級魔法最近覚えたって聞いてたけど??」
「そういや言ってた様な…。」
「結局のところ飲込み早い器用な人なのかな??」
「まぁそんなところじゃないかしら。」
「そう見たら普通なんだな、飲込みが早いって所以外は…。」
「おっ、そろそろ決着がつくみたいだな。」
そう言って皆一斉に部屋の中を見た。
「はぁはぁはぁはぁ…先生、なか…なか…やり…ます…ね。」
「司も…よく…ついて…きたな。大した…もんだ。」
「じゃあ、そろそろ…決着を…つけますか…。」
「そう…だなっ!!」
そう言って先生は俺に向かって突進してきた。
俺は、咄嗟の事だったので反応出来なかった…。
のだが自然に体が動いた。
気付いた時には先生を投げていた。
いわゆる柔道の一本背負いである。
こうして決着はついた。
武器なしの接近戦では先生には少し部が悪かった様だ。
「先生、大丈夫っすか??」
「あぁ、しかし最後のは何だ??」
「あれは背負い投げって言って、俺の故郷の武芸の技の一つです。昔少しだけかじってた時に覚えた奴が咄嗟に出ただけなので、まぁまぐれですね。」
「そうか、咄嗟に出た技で負けたのか…。そうか…。」
「まぁ、男と女ですから力の差もありますから仕方ないっすよ。」
と、落ち込んだ先生を慰めるのも忘れない。
「今日は勉強になった、ありがとうな。次は負けんからな。」
そう言った先生は、どこか嬉しそうだった。
「ところで、先程の技なのだがどうやってやったのだ??教えてくれないか??」
「あぁ、あれは突進してきた先生の腕をまず掴んで、腰を落として突進の力を利用して、腰に引き寄せて、そのまま腰を上げれば簡単に上がるんですよ。そしてそのまま、投げる、それだけですよ。まぁ掴んだまま相手を倒して、そのままナイフか剣で切って殺す方法もありますけどね。」
「ほぉ、なるほどなるほど。今度から、私の練習に付き合ってもらいたいものだ。」
「俺からもお願いしますよ。先生には色々と教えてもらいたいし。」
「そうか、だったら今日から夕方は、特訓だな。」
「了解っす。」
こうして、俺と先生は特訓する事になった。
正直、先生の移動方法はとてもじゃないが俺には出来なかったのでそれを教えてもらおうと思ったからOKしたのだった。
先生は雷と風の属性付加だけであのスピードだが俺は風と雷と炎の属性付加を使ってようやくあのスピードが保てるようになる。
つまり今の俺には無駄が多いのだ。
それを解消するために俺は先生の申し出を飲んだのだった。
部屋を出ると、外では待ちかねたとばかりに、皆が待っていた。
「それじゃあ基礎から教えるからな。体術の基礎は己の魔力を感じて自分自身の属性で肉体を強化しその特性を生かした上で、行う。よって今からはこの属性付加を学ぶ事だ。まず、属性付加の魔法が使える者は私のところに来い。後のものは、ツカサにでも教えてもら。」
「ちょっと先生、俺は無理ですよ。」
「どうしてだ??」
「俺の属性付加は無理やりしてるからです。」
「どう言う意味だ??」
「俺のやり方は、魔力をその属性にかえてそれを自分の体内で爆発させてるだけで、しかも、魔力もとんでもなく使ってこそはじめて出来る、いわば付け焼刃なんですよ。よって教えるのは不可です。それに先生のやり方をコピーしただけの様なものなので無理なんですよ。」
「そうか、ってちょっと待て、今何っていた??」
「だから、先生のやり方をコピーしたって言ったんです。まぁ、もう一つの属性も使ってなんとかマネ出来たみたいなものなんですがね。」
「じゃあお前は見ただけで、私の技を使用したのか??」
「はい、何か可笑しいですか??」
「当たり前だ。そんな事普通の人間には出来んぞ。」
「魔力の流れとかって見えないんですか??」
「そんなモノ見える訳ないだろう。」
「そうですか…。先生少し、今日は帰ってもいいですか??調べたい事が出来ました…。」
「そうか…。分った、お前がそう言うのなら仕方ないな。」
「すみません。」
こうして俺は、難なく先生の許可をもらい授業をさぼった…ww