鬼空の何処がLove?
「何で?荷物持つとか 急に言い出すんだ」
健太が、鬼空の持っている段ボールを持とうと言ってきた。
「なんでも!」
「俺にレディーみたいな 扱いはよせ。」
「鬼空……君はいつも強がりばかり言うけど、もう 身体は女の子なんだよ。」
「知ってらぁ、それでもこれが 俺の生きる道なんだ」
「……わかってる。」
「じゃあ、向こう行けよ。」
「イヤだ。」
「行けって!」
「イヤ!」
「……じゃあ、俺が向こうへ行く!!」
鬼空がプンプンになって、階段降りると 電子タバコを吸おうとする。
健太がついて行く。
「それ、ニコチン入り?」
「うるさいな 着いて来んなよ!」
「ニコチン無しにしてよ。今は鬼空の身体は成長期と一緒なんだから。」
鬼空が頭に来て
「お前、殴るぞ!」
と脅す、
健太は痛い目にあっているので、一瞬怯んだが
「どうぞ。」
と言って棒立ちになった。
それを見て鬼空が項垂れた。
「何で……俺が弱く見えるのか?」
首をふる健太。
「鬼空は強いよ。」
「じゃあ、何でお前の方が よわっちいんだよ。」
「ごめん」
「何でお前の方が背がちっちゃいんだよ。」
「ごめん」
「何でお前の方が ナヨナヨしてんだよ。」
「ごめん」
「納得行かねーよ!」
コクンとうなずく健太。
「俺の方がゼッテーカッコいいし。」
「……うん」
鬼空の顔がニヤっとした。
「あ、それなんか ムカつく。」
健太が怒った。
「二人同時に好きになっちゃ いけないの?」
「は? マジでそれ 言ってんの?」
健太は 固くなってうつむいたまま動かなかった。
鬼空が 天を仰ぐ。
「僕、最悪な性格だよね。」
鬼空が 健太を見る。
「最悪って……」
「どーしても、駄目なんだ。」
「なにが?」
「弥生くんと鬼空が一緒に居ると、目で追ってしまうし、見えなくなってもそのあとが気になってるし。鬼空が弥生くんを嫌っていても、万一とか考えて、胸がいっぱいになる。」
「まいったな」
健太が真剣な目で言った。
「僕をお祓い出来ない?」
「は?」
鬼空が、ますますわからないといった様子になった。
鬼空が自分の頭をくしゃっとする。
「お祓いは意味がない」
「……」
「まぁ、お前の気持ち 知らん訳でもないから、随分前から口に出してくれてたのはわかる。だが、俺が健太ほど ごめん、……本気で考えてみてなかった、ごめんな。」
健太が階段に座る
浮かない顔だ。
鬼空が健太の肩をポンと叩く。
「そう、暗い顔すんなよ。お前の事だ、口に出すときには、もう自分では消化出来ない程悩んだんだろう?」
うなずく健太。
「どうせ、寿樹に悪いと思って、一人で悩んでいたんだろう。」
健太はパッと顔を上げる。
「鬼空はわかってくれるの?」
「お見通しだ。」