望と健太の対話 ボーっとしてたら
「立憲民主党の方って怖いイメージしかないのは、理解がないかしら。」
最近、コロナで家テレビが多くなった望が、健太にぼやく。
「僕に言われても、参議院議員の中継かい?」
健太が久々、まゆりのおむつ替えの手伝いをする。
寿樹の子とあって、性器に特に異常が無い事を改めて安心する。
「テレビを聞いていると、総理に対して切り込みの入った問題をつきつけてくるわよね。」
「国民の声の代表だからね。」
「そう考えたら、立憲民主党の刃のような質問も、かっこいい騎士に見えてきたりするのかしら。」
「そうだね。切り付けられたら、おちおち政治をやっていられないもんな。」
まゆりのパンツをはかせて、バンザイさせる。
「そうよね、高い給料一切下げることなく政治家は仕事しているんだもの。剣山の上に座ってるつもりで政治して欲しいわ。」
まゆりがバンザイで笑った。健太が更に高く上げる。
「急にどうしたんだい?」
健太が望に聞く。
「選挙に行かないと、と思って。」
「はぁー、忙しくて行けてなかったからな。」
「コロナのせいよ。」
「インターネットで投票とかないのか?」
「十代向けのネット投票は聞いたことあるけど。投票って言っても知識は必要でしょ?ボーっと生きていちゃいけないと思ったのよ。」
「ボーっとね。」
「でも、ボーっと生きていけるのも私たち庶民の特権かしら?」
「それは、どうしてだい?」
「だって、政治家はボーっと生きていけないでしょ?つつく方なんて勿論ボーっとしてないじゃない。あなたの好きな御師さまも、江戸時代々からの末えいでしょ?産まれて直ぐに道が決まっていた方。」
「何がいいたいんだ?」
「つまり、ボーっとしたくても、出来ない人って居る訳よ。」
考える健太。
「跡継ぎの方が、ボーっとしているんじゃないのか?」
望が天井を見て考える。
「なかには、居るかもしれないけど。寿樹さんは苦労されてる気がする。」
まつりを見た。
「お父さんが包括法人トップ3人のうちの一人でしょ?お偉い人の」
「うん」
「堅苦しい中、やっぱり自分の子供には同じ苦労をさせたくないって、母親の気持ちがわかるわ。」
「そうだから、望が寿樹の子供の代理役を買ってくれたんだろう。」
「それは、あなたの子供だからよ。」
「……。」
「でも、あんな御師さま初めてみた。きっとね、なにか悩んでらっしゃるのよ、ご自分の運命かしら。」
「望も、真正教かい。」
ジョーダンで言ってみた。
「おばあちゃんが、真上さまの崇敬者だったみたい。」
今は、無くなったが、昔は神・仏の他に宗教がこの地域にはあったらしい。
そのうちの一人が望のおばあちゃんだったという訳だ。
おばあちゃんの崇敬していた真上さまが、寿樹のお父さんの先祖。未だにお父さんは真上さまと呼ばれているが、名残というものは凄いな。真上さまの権力と思っていた力も、もしかしたら、この消えて行った崇敬者のものかもしれない。