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勝利のパレード





いつの間にか寝ていたらしく、結局夜が明けるまでクロウに運んでもらってしまった。


そして、王都についた。


まだ門が開く前らしく、あまり人は居なかった。


王都を囲むように、高い塀が築かれている。



私はクロウから降りて、門ではなく塀に近づいた。

そして、見張りも居ない場所で止まり上を見上げる。


神経を集中して気配を探る。



「この塀の上には誰も居ない…向かいには何人かいる様だけど、一般人…かしら?」



気配を隠そうともしない感じからして、多分ただの人間だ。



「クロウは、この塀の登れる?無理なら壁を壊すけど、どう?」

「ワタシは大丈夫だ。」

「そう。なら、私から行くわ。」



そう言って、地面を強く蹴り塀を駆け上がる。

何というか、猫が壁を駆け下りる逆のような感じだ。



そして、素早く中へ飛び降りる。


すると、そこに居た人間が声も出ないのか、口を開けて呆然としていた。


私は、地面に触っている汚れたその人間ににっこり笑って、自分の口元に人差し指を付けた。



「騒いだら殺すわよ?」



そう言うと、コクコクと頷いた。

私は満足して、また口角を上げた。


そんな事をしていたら、クロウも降りてきた。

流石クロウ。降りる時も音がしなかった。



「じゃあ、行きましょう。」

「あぁ。」



私達、薄暗い路地を進んだ。









旅をしていてわかっていたが、村では見たことがない高い建物が多く、隠れるには丁度いい。

なるべく人気のない場所を探って歩いて行くと、楽しそうな話し声が聞こえてくる。



「お母さん早くしないと良い場所取られちゃうよー!」

「あら、まだ時間には余裕があるじゃない?」

「良い場所は早く行かないと埋まっちゃうじゃんか!いつもそれて、聖騎士団が見れないんだから!!」

「はいはい。でもあんた、あんまり前で見ると鬼の頭見ることになるのよ?泣かない?」

「!!」



《鬼の頭》…その言葉に、心臓が跳ねた。



「だっ大丈夫だよ!鬼なんて怖くないもん!!」

「ふふっ、強がっちゃって。」

「ちっ違うやい!!」



人間の親子は、笑いながら去っていった様だ。



私の手は、小刻みに震えだす。

これは、恐怖ではなく怒りからくるものだ。


《鬼の頭》、それは私の父さんのもので間違いない。



死んでなお、陥れるなんて…殺す…必ず殺す。

民の前で、血祭りにあげてやる。



「ふふふ…。」

「…。」

「ねぇ、王様ってどんな人だと思う?」

「それは、国の者に聞いた方が早い。」

「そうね。なら、聞きに行きましょう。」



私は、家の屋根に跳び乗る。


上がってみれば、案の定人間が居た。

一般人のような格好をした男達が、あちこちの家の屋根の上にいる。


一見、一般人に見えなくもないが、その男達は明らかに鍛え上げられている。

体つきや些細な動きで、それが見て取れる。



私達を見つけた一人の男が、仲間に何か合図してこちらへやってくる。



「おいお前達、ここは立ち入り禁止だ。これから王のパレードが通る。それが済むまでは、屋根には上がるな。」

「あぁ、そうだったのね。それはごめんなさい。…ところで、聞きたい事があるのだけど。」

「なんだ?俺は仕事中だから、手短にしてくれ。」

「この国の王様って、どんな方?」

「ん?お前は…旅人か?そうだな…とてもお優しい方だ。この祭りを見ても分かるだろ?姫を攫い殺した鬼人達を打ち倒した…この世から害悪を一つ減らしたお方だ。民からも慕われている。」



私は、黙って口角を上げたまま話を聞いていた。

何が害悪を一つ減らしただ。私達は、害悪などでは無い。

人との関わりを断ち、ひっそりと暮らしていた。それなのに、突然現れ村を…皆を虐殺した。



「では、このお祭りは王様が始めたのかしら?」

「あぁ、姫の遺体を聖騎士長が連れ帰った事にお喜びになり、姫の帰還と鬼の絶滅を祝した祭りだ。」

「そうなの…。」



吐き気がする。

なんの言いがかりかは知らないが、父さんの首をそんな事の為に晒し上げるなんて…。



「!!」



不意に手に何かが触れて驚くと、クロウがいつの間にか握りしめていた私の手を解いていた。

手からは血が垂れていた。


握りしめ過ぎた事で、掌の肉を己の爪で裂いてしまっていたようだ。



「ん?って、大丈夫か!?」

「えぇ、大丈夫よ。話、ありがとう。」

「あ、あぁ…。」



私とクロウは、地面に飛び降りた。


手の傷が少しズキズキと痛むが、我慢出来る。

しかし、クロウは私の手の上に水を垂らして血を流す。魔法かと思ったが、何か違う気がする。


疑問に思っている間に、クロウは私の両手を洗い流して布を巻いてくれた。



「ありがとう。」



クロウは、にっこりと笑ってくれた。

すると、先程までの怒りが何処かに消えてしまっていた。



私達は、取り敢えず待つ事にした。


この後始まるパレードに、奴らは現れる。

私とダイゴが逃げたと知っているにも関わらず、こんな祭りを行うなど…私達が泣き寝入るとでも思っているのだろうか?


内心奴らを嘲笑い、大通りの壁に寄りかかる。


もうすぐだ。もうすぐ仇が取れる。

父さんと母さんも必ず取り戻す。




そう考え事をしていると、こちらに近づく気配がする。

私は、この気配を知っている。



「おい、少し話がある。」

「…。」






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