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星に願う





「やっぱり、こうなったわね。」

「そうだな。」



宿でお金を払い、私とクロウ街を出た。

店主には怪しまれていたが、上に上がった男達が帰って来ないから下手に手を出せなかったのだろう。

ただの店主に、あの男達以上の力が出せるはずがない。



整えられた道は歩き易い。

王都が近いから、道の整備は完璧だ。


私は、ふと足を止めた。いや、止めたというよりも、勝手に止まった。

そして、足に力が入らず倒れそうになった。


クロウが支えてくれた事で、私は倒れずに済んだ。


そっと横抱きにされ、クロウが私の代わりに歩き出す。



「ごめんなさい…。」

「ワタシがこうしたいだけだ。」

「…ありがとう。」



涙が出た。

ダイゴを置いてきてしまった。

ここまで来るのに、辛い修行にも耐えてくれたダイゴを置いてきたのだ…。



「私、本当に最低ね。」

「そんな事はない。君は優しい。」

「唯一の同胞を捨てたのに?」

「違う。君は、彼を戦いから遠ざけただけだ。」

「…私は、そんなに優しくないよ。」

「いいや、君は優しい。」



足を止め、クロウが澄んだ空色の瞳で私を見る。

吸い込まれそうな程美しい瞳だ。



「ワタシが、美しいと思う?」

「…は?」



いきなりの質問に、間抜けな声を出してしまった。なぜ今、そんな事を聞くのかわからない。



「う、うん。」

「それは、君のお陰だ。」

「え、なんで?」



訳がわからない。

でも、クロウは冗談を言っている風ではなかった。



「ワタシは、何度も真っ黒になった。でも、君が憎むなと言った。また会おうと言ってくれた。だからワタシは、こうして美しいままでいられる。」

「それ、私じゃないと思うけど?私、そんな事言ってない。」

「今の君はね。」

「???」



何の事を言っているのかわからない。

でも、彼は嬉しそうに私をその瞳に映す。


私は、何故かそれがとても嬉しくて堪らない。

これは、私が彼に恋しているから…なのだろう。


涙もいつの間にか止まり、足ももう大丈夫そうだ。



「ありがとう。もう大丈夫そうだわ。」

「そう。」

「…降ろしてくれていいよ?」

「いや、このまま行く。ルノアは寝ていいよ。」

「じゃあ、もう少しだけ…。」

「あぁ。」



私は、クロウの言葉に甘えてしまった。


そして、また話をする。



「ダイゴは、これからどうするかしら…。」

「彼は、君を止めに来る。」

「止めに?何故?」

「君が変わるのをどこかで感じている。」

「私が?」



クロウのその言葉を否定する事は出来ない。私も、どこかで感じている。私が、私で無くなりそうだという事を…。


私の中には、黒い何かが眠っている。

それは、いつも見え隠れする。さっきもそうだ。

関係無いとは思っていても、人間を簡単に殺した。そして、その人間達に対して何も感じていない。いや、寧ろ清々しているところがある。



「私…。」

「大丈夫。さっきも言ったけど、ワタシは君の側にいる。」

「私が…バケモノになっても…?」

「ずっと一緒にいる。」



さっき止まった涙が、また出てきた。

胸が苦しい。


どうして、こんなに彼は優しいのだろう。

そして、私の欲しい言葉をくれる。

側にいてくれる。



私は、彼の胸に額を付けて泣いた。



「ありがとう…ありがとう。大好きよ。」

「ワタシも、愛している。」



笑顔を向け、ふと空を見ると流れ星がいくつも見えた。



どうか、私をこんなにも思ってくれる彼だけは、傷つけませんように…。







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