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部外者






私は、王都手前の街で聞き込みを始めた。


まず屋台に並んだ品を見つつ、それとなく店主と世間話をする。



「いらっしゃい。あら、旅人さんかい?」

「えぇ、オーランドから来たの。」



因みに、《オーランド》とは人間の国の一つで、他の人間の国とは少し違い、魔物にもそれなりの理解がある魔法がどこよりも発展した国だ。別名《魔女の国》とも呼ばれているらしい。



「あぁ、あの国かい。」

「まぁ、通ってきただけで出身は違うんだけどね。」

「なんだ、そうなのかい?」



明らかに怪訝な声を出した店主に、出身ではないと伝えるとすぐに声色が明るくなる。

他国の人間は、下等と侮る魔物を受け入れるオーランドをよくは思っていないと教わった。



「あんな裏切り者の国、もう行くんじゃないよ?でないと、あんたまで洗脳されちまうからな?」

「ははは、そうですね。それで、聞きたい事があるんだけど、良いかしら?」

「ん?ああ、良いよ。」



同族さえも否定するその姿に、少し心がざわつく。



「私、明日王都に行くのだけど、今の王都ってどんな感じなのかしら?」

「おや、その言い方だと前にも来た事があるのかい?」

「えぇ、でもずっと前に短期間いただけだから疎くて…良かったら教えて欲しいの。」



全くの嘘だが、こう言った方が警戒されないとも先生に聞いている。

やはり、先生の元で学んだ事は無駄が無い。感謝しなくては。



「そうなのかい。なら、私が教えてあげるよ。まず、どこから話した方が良いかねぇ?」

「街の様子とかが良いわ。」

「あぁ、それもそうだね。今、王都はお祭り騒ぎだろうね。三年前から始まった姫の帰還と鬼の完全駆除の成功を祝した祭りが、まさに今の時期催されているのさ。」

「…。」



思わず、殺意が湧いた。

姫の帰還はどうでも良い。それよりも《鬼の完全駆除》などという言葉に、心の中で嘲笑った。


《完全》などと、確かめもせずに宣う人間があまりにも滑稽ではないか。


しかし、許せない事もある。

それは《駆除》と言う言葉だ。


私達は、こいつらにとって害獣…聞いてはいたが、実際自分の耳でそれを聞くと殺意が湧く。



「どうかしたかい?」

「…いえ、大丈夫よ。」

「そうかい?それで、確か明日は王様の演説があるはずだよ。姫が帰ってきた事を一番喜んだのは、王様だからね。」

「そう。それで、他にはなにかあるのかしら?か」

「あんた、王様には興味ないのかい?」

「いえ、あまり長く話すと迷惑かと思って。」



嘘。興味無い。



「あら?心配してくれたのかい!ありがとね。」

「いえ、それで…。」

「あぁ、続きだね。」



その後聞いた話は、城下でのお祭りの様子や姫を連れ帰り鬼人を倒した聖騎士団のパレードがあるという話だった。



聖騎士のパレード…これは良い襲撃のチャンスだと思う。

しかし、パレード中は関係ない人間も多くいる。なるべく巻き込まない為には、パレードについて行き、隙を見せたところを…というのが良いのかもしれない。


まぁ、こらは私だけの判断ではよくないかもしれない。

一旦持ち帰り、要相談…という事にしよう。



私は、他の人間にも話を聞いたが、始めに聞いた話と殆ど同じ話ばかりだった。

なので、宿に戻る事にした。













「で、そん人間の女は何?」



クロウと合流して宿に戻ると、既に戻っていたダイゴが居たのだが、一つしかないベッド上に人間の女が座っていた。


しかも、ダイゴは顔を晒している。

つまり、鬼だとバラしている。


女は、騒ぐ様子はなさそうだが、信用はできない。



「あぁ…こいつは…。」

「はじめまして、リンダです。私、さっきダイゴさんと会って意気投合しちゃって。」

「…。」

「そ、そうなんだよ!それに、こいつは他の奴らとは違うんだよ!」

「…言いたい事はそれだけ?」

「っ!…いや、悪りぃ…。」



何でこのタイミングで、人間の女を連れて来たんだ…。本当に馬鹿なのかしら?殺したい。


私が、フードも脱がずただ殺意を撒き散らしていると、肩に温かい手が置かれる。

横を見ると、クロウが女を見ていた。


そこでまたイラつく。


だが、クロウが私を見て悲しげな顔になり、熱が冷めた気がした。

くだらない事で怒っている場合ではない。


私は、クロウの手をそっと退かして前を見る。


まず、この状況をどうにかしなくては…。






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