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災難な新米兵士





地面に転がった人間達を一瞥し、ダイゴを見る。


手についた血をマントで殴っているダイゴの顔は、余裕しかなかった。


しかし、殺すと言ったのに誰も死んではいない。

声が出せない程ボコボコにはさ、転がっている。



「あんた、殺すって言ってなかった?」

「いや〜、なんか途中でこいつらに見覚えないって思ったら、なんか殺さなくて良いかって思ってさ?」



ダイゴも、こいつらがいなかった事を思い出したらしい。


確かに、誰彼構わず殺していたら奴らと同類になってしまう。

私達の復讐相手は、あの日村を襲った兵士のみ。


そして、私個人の復讐相手は、私の父さんと母さんを攫った者だ。



「まぁ良いわ。取り敢えず、こいつら縛って今日は休みましょう。」

「え、ここに置いとくわけ?」

「明日、少し情報を聞き出すわ。…まだ、喋れそうな奴が一人残ってるみたいだから。」

「!!」

「何!どいつだよ!!ぶん殴る!!!痛っ!!!」



何も聞いていないような発言に呆れ、私が一発ぶん殴ってやった。

頭を抑えて蹲る姿を見下ろす。



「私の話聞いてた?情報を聞き出すって言ったでしょ?」

「お…おう。」



大人しくなったので、持ってきていた縄で奴らの体を縛り、1人の口には布を突っ込んだ。自害防止の為だ。



「明日の朝、話を聞くからそれまでおやすみなさい。」

「!!!」



口に布を突っ込まれた男は、ダイゴによって殴られ腫れ上がった顔に、悲壮感を浮かべる。

なので、優しく笑いかけてやった。どうせ口元しか見えていないだろうが…。



振り返ると、ダイゴはすでに寝ている。

そして、クロウはこちらを見ていた。



「何?」

「いや、何でもないよ。」

「?」



よくわからないが、彼がそう言うのなら深くは聞かない。


すると、徐に彼が座ってから腕を広げて私を見る。



「さぁ、来て?」

「!!いや、でも…////」



私は、地面に横になって寝ているダイゴを見る。



「恥ずかしい?」

「それは…まぁ。」

「大丈夫、彼は君より後に起きる。」



心の中で、彼に従いたい気持ちと羞恥心が戦っている。

しかし、そんな戦いはすぐに終わる。


私は、クロウの足の間に座った。


すると、後ろから抱きしめられる。

温かくて、安心する。



彼はちゃんとここに居る。


当たり前だけど、何故か不安になるのだ。

もしかしたら、彼は本当は居ないのではないかと…。つい、目で追ってしまう。



彼は基本無口で、話しかけない限り殆ど話さない。

だから、ここまで来るまでに何度も後ろを振り返ってしまった。



私は少し身を捩り、彼の胸に頬を当てて目を瞑った。

すると、片手で優しく頭を撫でてくれる。


そのうち、私は眠りに落ちた。
















「おはよう。じゃあ、話を聞こうかしら?」



私はダイゴを叩き起こした後、食事をとり縛っておいた兵士の1人を掴んだ。


片手で引きずって、木によりかけて座らせる。


この人間は、昨日の怪我が嘘のように治っていた。



「あれ?何でこいつ治ってんの?」

「回復魔法が使えるんでしょ。」

「それにしても、一番弱そうだったこいつがねぇ…。なんか、騙された気分だわ。」



そう言うと、ダイゴが手の骨を鳴らす。


それに怯えた顔をして見せる兵士。

その口から布を外す。



「お願い!殺さないで!!もう襲ったりなんかしない!!だから殺さないで!!!」



布を取った途端喋り出す兵士。



「襲わないから?お前ら、いつ俺たちを襲ったんだよ?」

「お前らアレだろ!倒された魔物の生き残りだろ!!俺はまだ入隊したばかりなんだ!!だから何もしてない!!」

「それならそれで良いのよ。別にあんたを殺すつもりなんてないから。でも、あんたの国の聖騎士については話してもらうわ。」

「そうだな。話したら半殺しで許す。」



いや、まだやるの?治ったのが気に入らないのかしら?


ダイゴの言葉に震え上がる自称新米兵士。

頭を項垂れて絶望している。…と思ったが違うらしい。


私は素早く目の前に氷の壁を作った。


するとそのすぐ後に、火の玉が飛んできた。

しかし、そんなものではビクともしない私の作り出した壁。



「お前…!!人間なのか!?顔を見せろ!!」

「あんたに見せる顔なんてないわ。さっさと話しなさい。あんたじゃ勝てないわよ?」



私は壁を溶かし、今度は徐々に兵士の足を凍らせていく。

縛られてまともに動けない兵士に、抗う術は魔法だけ。しかし、その魔法も今し方効かないことを見せつけたからか、ただ怯えている。



「止めろ!?何で人間のお前がこんな事を!!」

「あんたの話なんて聞いてないは、さっさと聞かれたことだけ話さないと、足を切り落とす羽目になるわよ?わかるでしょ?」

「止めろ!止めてくれ!?」

「そう、答えないのね。」



氷は、兵士の腰の辺りまで来ている。


顔は青褪め、歯がカチカチと鳴っている。

それでも止めない。



すると、痺れを切らしたダイゴが兵士に殴りかかった。



「ぐはっ!?」

「…あんた、何してんのよ。」

「だって話さねぇーんだろ?もう良いじゃん!」

「良いじゃんって…まぁ、良いけど。」

「よしっ!でさぁ、お前火とかの魔法使えんの?」

「火?一応使えるけど?」



そう言うと、ダイゴが近くに落ちていた大きめの石を拾った。

そして、いい笑顔で笑いながら…。



「こいつの舌切り落とすから、この石焼けよ。舌も焼けば死なないだろ?」

「あんた…エグいわよ。」

「だってこいつ、うるさ過ぎ。」

「あんたも十分うるさいけどね。」



私は、一度溜息をつきつつも、ダイゴがまた地面に置いた石を焼いた。

果たして、ダイゴに口の中を焼くなんて言う作業が出来るのだろうか?明らかに口よりでかいこの石で…。


まぁ、私は手伝わない。



私はまだ石を焼いていたが、ダイゴは兵士の口に手を入れ舌を引っ張り出す。



「お前が悪いんだぜ?本当はこんな事をするつもりなかったが、お前が素直に話さないから。」



そう言うと、見ずらかったのかフードを片手で脱いで兵士の舌に小刀を当てた。



「ほっ!ほはへ!ほひはっはほは!!ほひはひへ…ほはへは!?」

「おいおい、喋んなって。切りにくいだろ?」

「はへっ!ぼがぁぁぁぁぁぁ!!!!???」



口から大量の血を流す兵士。

ダイゴは持っていた小刀と舌を地面に置いて、こちらを振り返る。



「石、出来たか?」

「出来たわよ。でもあんた、どうやって持つのよ?」

「ん?あぁ、おっさんから貰った鱗を縫い付けたグローブ?で持つ。」



何だそれ?と思っていると、何処からかゴツい手袋?を出して片手につけた。


そして、それで赤く焼けた石を掴み取り、騒ぐ兵士の口をこじ開けて押し付けた。



その時の兵士の叫び声は、言い表せない程のものだった。

つい、耳を塞いでしまった。



そして、しばらくすると石を放り投げて口の中を確認するダイゴ。



「よし、上手くいったな。」

「あんた、意外と器用ね。」

「意外とって何だよ!!」

「いや、だって雑そう…。」



兵士を見ると泡を吹いて気絶しているが、死んではいないようだ。

それに、口の周りを火傷しているとか、そう言った形跡はない。



感心していると、ダイゴは「さてと」と言って、また兵士に掴みかかった。



「え、まだ何かするの?」

「ん?ボコす。」

「うわぁ…。」

「だって、喋れなきゃ基本魔法は使えないんだろ?」

「それは、知ってんのね。」



そして、ダイゴはまた兵士を殴り出した。







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