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プロローグ
これは、まだ人間が他種族を受け入れられなかった頃の話。
朝の空は青く、一つの偉大なる太陽が世界を照らす。
夜の空は群青色、数多の星々が双子の白い月と赤い月と共に天で輝く。
世界の始まりから終わりまで、決して変わらない空を眺めながら一つの影がゆらゆらと揺れる。
「何度だって待つ。何度だって出会う。何度だって別れる。・・・君が愛してくれるから、何度だって我慢できる。」
頭上で、双子の月が見下ろしている。
まるで、その影を嘲笑っているかのようだ。
「だから・・・早く生まれておいで。」
影は、大きな岩の上に座り目を閉じた。
もう何度目かもわからない、出会いの時を待つように・・・。