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掛け持ち異世界スクールライフ  作者: 甘味爲宿
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異世界とはいえど高2は高2なのだ

「ところで、蒼司(そうじ)君。」

教室に向かいながら歩いている時に、僕の担任、ラマルダスニ先生が声をかけてきた。

「はい、どうしました?」

「自己紹介はもう決まった?」

「あんまり纏まってないですね…。そういえば、ナタテルーモアの自己紹介の制度って何かあるんですか?」

僕はビュールド先生が質問大会のような自己紹介になると言っていたのを思い出した。

僕のクラスにも何かあるのだろうか。

「そういったのは特に決まってないけど、質問時間は設けようかなとは思ってるわ。」

「そうですか。わかりました。」


「新しいクラス、緊張してる?」

「はい…やっぱり初めての学校ですからね。」

「転校生とは少し違うからね。うちの生徒達は変わってる子も多いけどいい子達だからきっと馴染めるわ。」

先生は僕の顔を見て微笑んだ。

それを見て僕の緊張は薄れていった。

「楽しみです。」

「うん。さて、ここがナタテルーモアの教室よ。まずは普通に私が朝礼を始めて、その後に合図を送るから、その時に入ってきてね。」

「わかりました。」


パーン パパパパーン パパパパパーン パパーン

僕には全く聞きなれない音が校内に響き渡る。

一瞬何が起きたかわからなかったが、その音を合図にラマルダスニ先生が教室の中に入っていった。

どうやら、この音がこの学園のチャイムのようだ。

向こうとはだいぶ違う音だけど…慣れるのには少し時間が要りそうだな…。

そう思っていると、教室内から先生の声が聞こえてきた。


「はい、皆さんおはようございます。早速ですが、今日から序樹花学園(じょじゅかがくえん)からの掛け持ち生徒としてこのクラスに来てくれた人を紹介します。」

その声と同時に、教室内から歓声が聞こえてきた。

楽しみだな、と言った声やどんな見た目なんだろ?といった声が上がっているのが聞き取れた。

そうか、今更だけど、僕からしてもこのクラスの人からしても今から会うのは異世界の人同士になるんだ。

そう思うと、どこか安心した気持ちになった。


「はい静かにね。では、早速中に入ってきてもらいましょうか。どうぞ!」

先生の合図で、僕は扉に手をかけた。

そして


ガラガラッ

扉をあけて目に飛び込んできたのは、まるでアニメの学園キャラのような髪色と、このクラスの人たちの笑顔だった。

うちはジローダムルかぁ。

えっ、黒髪ってすごい珍しくない?

これは…思ってた以上だなぁ…。

色々な声が飛び交う中で僕は教壇に立った。

「それじゃ、自己紹介をしてもらおうかな。」

「あ、はい。α(アルファ)世界にある序樹花学園(じょじゅかがくえん)から掛け持ち生徒としてやってきました、如月蒼司(きさらぎそうじ)です。1年間よろしくおねがいします」

簡単な挨拶をすると、教室内からは拍手が巻き起こった。

「はい、ありがとね。それじゃ、今から質問時間をとりたいと思います。質問のある人は手をあげてくださいね。当たった人は名前を必ずいってください。それじゃ、質問のある人どうぞ」

その瞬間に、一斉に手が上がりだした。

「はい、じゃあルータ。いこうか。」

最初に当てられたのは、いかにも熱血系の少年だった。

「はいっ!ガルフ・ルータです!このクラスの委員長を務めてます!好きな食べ物は何ですか!」

この勢いでまさかこの質問がされるとは思っていなかった。

「えーっと…お寿司、かな。」

そう答えた瞬間、皆が首を傾げた。

おす…なんだっけ?

聞いたことあるかそんな食べ物。

いや、ないな。マルッナバザより美味いのかな?


あ、そうか。この世界だからお寿司もないのか。

異世界ということをついつい忘れてしまうが、僕の住む世界とは色々と異なっているのだ。

「お寿司は、α(アルファ)世界の食べ物です。僕も一応作れるので、今度持ってきますね。」

恐らく、言葉で言うよりも作って見せたほうが早い。そう思った僕は後日この世界の食材でお寿司を作ることを決めた。

その台詞で皆の目の色が変わった。

凄いお寿司に興味を持ってくれたようだ。

…1問目でこの様子だと、ここからどうなるんだろう。

質問の答え方も少し考えないといけないかなぁ…。

「そしたら、時間的にあと2人にしようか。」

あと二問。それを聞いてがっかりしている人たちが多いのに対して、僕は質問の返しを考える回数が少なくて済むことにホッとしたのだった。


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