遂に僕たちはスタートを切る準備が整う
「ここにいる5人の先生が、皆さんの担当学年の担任の先生方です。自分の担任の先生以外の先生も覚えておいてくださいね。」
前にいる5人の先生は、僕らの世界の先生とほとんど同じような雰囲気だった。やっぱり先生という職はどの世界でも似ているものなのかな。
「ようこそ諸君。私たちは諸君の学年担当だ。これから1年間、よろしく頼むぞ。」
「は、はい。よろしくお願いします。」
「それじゃ、自己紹介をしていくぞ。俺はビュールド。ガロズムの担任だ。ガロズムの生徒は確か曉君と聞いているが、それは君か?」
そういってビュールド先生は僕の近くにグッと近寄ってきた。
「あ、いえ。僕は蒼司です。曉君はこの子です。」
「おお、これは失敬。君が曉君か。今日からよろしく頼むぞ。」
「はい…お願いします。」
どうやら、ビュールド先生のテンションに押されているみたいだった。
「続いてだが、俺はギルッダ。アラビラワン担当だ。よろしく頼む。」
「はい。よろしくお願いします。ギルッダ先生」
ギルッダ先生は、ビュールド先生とは打って変わってとてもクールな先生だ。流石成績優秀者クラスの担任というべきだろうか。
「はいはーい。うちはルプッチェフ言います。バレニャーダを担当してます。今後よろしゅうお願いします。」
「あー、わたしのクラスの担任だー。よろしくですー。」
バレニャーダ担当のルプッチェフ先生はどうやら言葉の訛りが強い人らしい。恐らく、ヌワイム語でも訛りが強いため、翻訳機がそれを察知して僕らの世界での訛りに変換しているのだろう。そう考えると、この翻訳機ってほんと高性能だな…。それはともかくとして、多彩なメンバーの集うというバレニャーダには相応しい、生徒にも負けずとも劣らなさそうな先生だ。
「俺はアルザミナトだ。ゴラッナスタの担任だ。よろしくな。」
「お願いします。」
ゴラッナスタ担当のアルザミナト先生は爽やか系の先生だった。女子の多いクラスにはもってこいかもしれない。それと、この先生だけどことなく名前が僕らのクラスのセンスに似ているような気がした。どこか親近感の湧く人だ。
「最後に、私がナタテルーモアの担任のラマルダスニよ。よろしくね。」
「は、はい!お願いします。」
僕の担任のラマルダスニ先生は、清楚系な人だった。やはり生活技術に特化している分、言葉遣いや家庭的スキルに実力があるのだろうか…。
「よしっ、これで我々担任の紹介は終わりだ。それでは、早速教室に向かうとしよう。…おっと、ここでいくつかいっとかないといけないことがあったんだ。」
そういってビュールド先生は僕たちの方を振り返って再び話し始めた。」
「今日はまず朝礼の時点で自己紹介をしてもらう。どんな自己紹介でもいいが、必ずα世界から来たこと、掛け持ち生徒であること、名前は言うようにしてくれ。あとは何を言っても構わないぞ。俺のクラスでは質問大会みたいな自己紹介タイムになると思うから、覚悟しとけよ。」
「おいおい…まじかよ…。つっきー、変わってくれよ」
「よかったじゃねぇか。楽しそうでよ。」
「それから、今日から早速授業を受けてもらう。教材に関しては今日は教科の担任に印刷してもらうように手筈は整えてあるから安心しろ。教材が届いてからはそんなことしないからな。うちの学園は、忘れ物にはとことん厳しいから、忘れんなよ?」
「えー!?どうしよう…えみりん。わたし、忘れ物すっごい多いんだよー。」
「これから気をつけていくしかないわね。そればっかりは自分で管理するしかないわ。」
「うぅ…」
「それから、今日の放課後はこの学園の施設紹介のために代表者数名と共にこの学園内を巡ってもらうからな。放送でも伝えはするが、一応頭に入れておいてくれ。」
「分かりました。担当者はもう決まっているんですか?」
「おう、既に諸君と同じ学年の生徒から数名を学園案内人として任命しているからな。さて、俺から言う内容はこんなもんだ。それじゃ、今からはクラスの仲間とのご対面タイムって訳だ。自分の担任の先生と一緒に教室に向かってくれ。また何か問題があれば担任にいっても俺にいっても大丈夫だ。学年主任が俺だからよ。それじゃ、行くぞ。」
そういって僕たちと先生たちは全員で職員室を出た。
いよいよ、それぞれの、それぞれによる掛け持ち生徒としての生活が始まる。
時刻は、8時37分だ。
甘味爲宿です!
毎度読んでいただいてありがとうございます。
いよいよ5人の生活が始まるわけですが、基本的には蒼司視点視点での物語、ナタテルーモアのクラスの物語になります。
ある程度話が進んだら、他の人たちの物語も書こうかなと考えています。
展開のなかなか遅い物語ですが、自分のペースでしていくので、今後もよろしくお願いします。