用意された場所を進む為に
「失礼します。ルタッカ・バサランの音無です。序樹花学園との掛け持ち生徒5名を連れてきました。」
「おお、よく来てくれましたな。そちらの5名の方々かな?」
「はい、そうです。」
「ほほう。そうですか。自己紹介をお願いできますかな?」
「は、はい!如月蒼司です。」
「わたしは、琴塚優梨子ですー。」
「月沼泰雅です。」
「星見ヶ丘恵美です。今後よろしくお願いします。」
「穂村曉です。」
「ほほう、なかなか良さそうな生徒さん達ですな。私はこの学園の掛け持ち生徒担当科でクリュレズナというのですな。これから、よろしくお願いしますな。」
「は、はい。よろしくお願いします。」
…語尾に「な」がついてるのはこの翻訳機の仕様なのだろうか。すごく気になるなぁ…。
「それでは、今から皆さんには教室の割り振りと各クラスの特徴について言っていくからな。」
「まずは、ガロズム。ここはジローダムルが多いクラスなんだな。成績は中の下くらいでも、スポーツ観覧に関して言えば特化してるクラスなんだな。このクラスには…曉君に行ってもらうんだな。」
「俺、そんなにスポーツがっつりはできないですけど」
「大丈夫なのな。σ世界のスポーツは君が思ってるスポーツとは少し変わってると思うのな。」
「だといいんですけどね…」
「さて、次のクラスはバレニャーダなんだな。ここはジローダムルもナッタマラもどちらも同じくらいいるんだな。成績は…まあ、うん。といったところでも、彼らには多彩な才能があるんだな。それに明るいクラスでもあるんだな。このクラスには、優梨子さんに行ってもらうんだな。」
「わかりましたー!楽しみだなぁー。」
「続いてはゴラッナスタなんだな。ここはナッタマラの方が多くてジローダムルが極端に少ないクラスなんだな。成績は中の上で、スポーツもほどほど。平均的なクラスではあるんだな。でも、性格がだいぶ個性的な人が多いんだな。特にジローダムルに。ここには泰雅君に行ってもらうんだな。」
「女子が多いのかよ…ちょっときついなぁ…まあ、男子と絡めばなんとかなるか。」
「次のクラスはアラビラワンなのな。ここのクラスはエリート達の集うクラスなのな。成績優秀者が多くて、このクラスもどちらかというとナッタマラが多いんだな。スポーツは微妙なクラスではあるんだな。それと、個性の強さでも随一のクラスなんだな。ここには恵美さんに行ってもらうんだな。」
「わかりました。よろしくお願いします」
「そして最後に、蒼司間に行ってもらうクラスはナタテルーモアなんだな。このクラスはジローダムルもナッタマラも平均的にいるんだな。学力は中間ぐらいで、スポーツもあんまりばらつきなくできてるクラスなんだな。生活技術の高さと協調性はこのクラスが一番なんだな。」
「わ、わかりました。」
「ひとまず、このくらいですかな。もう直ぐ朝礼になるので、皆さん各担任の先生の元に行ってもらうんだな。音無さん。後はお願いするんだな。私は皆さんの手続きでもう少ししないといけないことがあるんだな。」
「わかりました。そちらの方はよろしくお願いします。では、失礼します。みなさん、行きますよ。」
こうして、クラスの打ち分けを聞いた僕たちは、クリュレズナ先生の元を後にして、先生の後について歩いていた。
「そういえばせんせー、なんでジローダムルとナッタマラだけは翻訳できてないんですかー?」
ゆっこが唐突に先生に質問をする。
そういえばそうだ。この翻訳機をつけているのに、その二つの言葉だけは男子と女子という言葉に変換されていなかった。
「あ、そういえば説明していませんでしたね。皆さんの知っている言葉、翻訳が不必要だと思われる単語は、翻訳されない様にシステムされているんです。皆さんのわからない部分だけが翻訳される、いわゆる学習型の翻訳機なんです。そのシステムを外せば、全ての言葉が翻訳されますよ。ただ、それを直すには一晩はかかるので、今からは無理ですね…」
「あ、大丈夫ですよー。私、ただそこだけ翻訳されないのが気になっただけなのー。翻訳機壊れてないかなぁって少し心配になっちゃってさー。」
「それなら大丈夫ですよ。心配かけてすみません。」
「にしても、俺らほんとにクラス全員違ったのな。しかもあれ、俺らに一番適してるクラス選ばれただろ」
「だとしたらつっきー。お前ハーレムできるんじゃないか?」
「あか…。あれ、あんま女得意じゃねぇって言ったろ?ここにいる2人は別だけどよ。」
「しかしまあ俺も俺でスポーツ系ってよ。俺そんなだぜ?」
「それを言われてしまうと、私もあまり勉強できる方ではないけれど…」
「えぇ!?うそだよー!えみりん、成績すっごい良かったじゃん!」
「それはゆっこが悪すぎただけじゃないかしら…」
「もう!とにかくえみりんは賢いんだよ!」
「そ、そうね…」
「僕は…どうなんだろ。生活スキルが高い方なのかな?」
「お前、料理とか裁縫とか得意だったしな。そこじゃねぇか?」
「あぁ…でも、家じゃほとんどしてないけどな。」
「センスはあるってことだよー!」
「まあ、ここからの生活ではそれが頼りになるのかもな。」
そして僕たちは5人の先生の前にやってきたのだった。