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掛け持ち異世界スクールライフ  作者: 甘味爲宿
6/57

間も無く始まる学園生活へ

4月8日


チリリリリリン チリリリリリン

朝6時45分にセットした目覚ましのアラームが鳴り響く。

「ふぁぁ……。眠たいなぁ…」

昨日のことがあってか、なかなか寝付けなかったのだ。しかし、今日ばかりは遅刻するわけには行かない。僕はのっそりとリビングへと向かった。


「今日は普段より早いじゃない!ほらっ、ご飯そこにおいてあるから食べちゃいなさい!制服はそこにおいとくからね!」

今日は普段より早く起きたからか、母さんの機嫌がいつもよりも良かった。

朝からすごい元気だなぁ…。

「分かったよ。いただきます。」

そういった僕は用意された朝食を食べて少し急ぎ目に家を出る準備をした。


「それじゃ、行ってきます。」

「あら、今日は普段よりも早いのね!気をつけるんだよ!」

母さんの声を耳にして、僕は自転車を漕ぎだす。

普段よりも早く出たからか、少し肌寒く感じた。


序樹花学園(じょじゅかがくえん)に到着した時、時間は7時50分をまわっていた。僕にしては早い登校時間だった。一応、5分前行動には間に合ったかな?


ガラガラっ

「失礼します。音無(おとなし)先生はいらっしゃいますか?」

「はい、おはようございます。」

「始業式といい、相変わらず遅いなお前」

「つっきーたちが早いんだよ。僕だって5分前にはきたんだし。始業式よりは遅くないでしょ?」

「そーだよ、つっきー。遅れてないならセーフだよ?」

「そうだぞ、つっきー。全く、遅刻してない奴を責めるなんて酷い奴だなぁ」

「おい、なんであかまで便乗してんだ?」

「一旦落ち着きましょう。ひとまず、これで掛け持ち生徒は5人全員揃ったわけですし。」

「今から異世界に行くんだよね。」

「そうですね。正確にはσ(シグマ)世界ですが。皆さんが早くきたことですし、早速σ(シグマ)世界に行きますね。皆さん、円になって手を繋いでください。」

「えっ、手繋ぎかよ…。とりあえず、俺はあかとお前とだな。」

そういってつっきーは僕の手を握ってくる。

「じゃあー、私はえみりんとそうちゃんとー!」

続いてゆっこも僕の手を握る。

「私と(あかつき)君が先生と手をつなぐことになるみたいね。」

そして全員が円になって手をつなぐ。

「それじゃ、行きますね。

ゼレニャ・ヒトレモア・グルテナシラス・イモルータ!」

先生が謎の呪文を唱えた瞬間、僕たちの体は光を纏った。思わず、目を閉じてしまう。

「皆さん、着きましたよ。ここがσ(シグマ)世界です」

僕が目を開けた時、職員室とは明らかに違う場所にいた。

「ここが…σ(シグマ)世界」

「そうです。ここは、皆さんがこれからσ(シグマ)世界で通ってもらう学校、ルチェフ・グラテット学園の特殊教室。通称タラトマズナです。」

「思ったんですが、随分と厨二みたいなセリフが多い気がするのは気のせいですか?どうにも俺にはカタカナ語に聞こえてしまうんですが。」

「それは恐らく、英語がカタカナの様に聞こえるのと似た様な原理だと思いますよ。I have a pen がアイハブアペンの様に聞き取れるの同じだと思います。ルチェフ・グラテットやタラトマズナは実際にα(アルファ)世界の人がヌワイム語を聞いた時にこう聞き取れるなという日本語で呼んでいるものです。」

「なるほど…耳で聞こえる言葉は確かに言語が違っても日本語の様に聞こえてくることはありますからね。」

「でもせんせー。それじゃ、意味がさっぱりわからないじゃないですかー。」

「そのための道具がこれよ。」

先生は服のポケットから5本のメガネを取り出した。

「メガネ…ですか?」

「そうです。昨日説明した翻訳技術が搭載されたメガネです。他のタイプのものもありますが、一番メガネ型が翻訳機能が高性能で皆さんにもかけやすいかなと思いましたので。視力等に影響は出ない様になっていますので、安心して使ってください。」

「わかりました。それで先生。私達は今からどうすればいいのですか?」

「そうですね。皆さんにはまずここの学園の担任の先生に挨拶に行ってもらいます。もちろん私も同行します。その後は先生の指示に従ってください。学校の授業が全て終わってから、一度このタラトマズナに戻ってきてください。恐らく、放送で呼ばれるか担任の先生に連れてきてもらえると思いますが。では、今から職員室に向かいます。付いてきてください。」

僕たちはみんなメガネ型翻訳機をつけて先生の後について歩いた。

「そういえば、先生って翻訳機つけてないんですか?」

「私ですか?私はどちらの言語もある程度習得しているので翻訳機は使っていません。たまにわからない言葉は出てきますけどね。」

「私達ももしかしたら、ヌワイム語を理解できる日が来るかもしれませんね。」

「そうだね。恵美(えみ)は興味あるの?ヌワイム語。」

「私は新しいことを学ぶことが好きだからかしら。とてもヌワイム語には興味を持っているわ。」

「そうなんだ。一年の間に覚えれるといいね。」

「そうね。」

「私も話せる様になりたーい!」

「ゆっこにはまずいんじゃねぇの?」

「もう!つっきーってばひどいなぁ。」

「ほんとだよな、つっきーってばさ。」

「あかはどんだけゆっこに便乗すんだよ。」

「ヘヘッ。その方が面白いしな。」

「っつたくなぁ…」

「タジタジだね、つっきー。」

「お前にまで心配されるとは思ってもなかったわ…」

「はいはい、皆さん。着きましたよ。ここがルチェフ・グラテット学園の職員室です。」

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