欲情賢者 変態ゆえに賢者なのか。賢者ゆえに変態なのか
日も届かぬ陰りある緑地。イシュタールの森。人里から少し離れた場所に位置するこの森は、本来人の立ち入らない区域として指定されていた。理由は単純明快である。
葉や草が生い茂り、日の光を遮るこの森は視界が悪い。強大ともいえる自然の力の前には人の手が介することを許さず、必然的に獣の住処として君臨してした。
もちろんただの獣ではない。魔の力を有した化け物どもが奥深くに眠っているのである。
「にゃあああぁぁあ!?」
時間にしてはまだ日の出ている時間帯にて、森のどこからか人の悲鳴みたいなものが聞こえた。少し上品さには欠けるが、女の声であったのは間違いないだろう。
人が通る場所でもないはずだが、いったい何事だというのか。
茂みの奥のほうで、何と冒険者たる装備を身に付けた女が、食人植物に該当するマンドラゴラの触手に手足を縛りあげられている光景がそこにあった。
「このっ、離しなさいよっ!」
体長六メートルはあろう食人植物。本来、マンドラゴラは地面に埋まっており人が引き抜いたときに叫び声をあげる植物の亜種である。
つまり、人が引き抜けるほどの大きさのはずだが、こいつはスケールが別格である。
なかなか人が現れず、モンスターたちが蠢くこのイシュタールの森で種を残すために異例の進化を遂げたのであろう。
てっぺんにはラフレシアのように大きく鮮やかな紫色の花弁を見せる。
その下は花が小さく見せる程の太い茎が地面からまっすぐ伸びていた。
草というよりも完全に太い幹のようであるが、マンドラゴラの名残を見せるように茎の部分は確かに人の容を象っていた。
近くからはまるで分からないが、豊満な裸の女性のような茎である。そして、顔のような影が彫り込まれている。確かにマンドラゴラの特徴は捉えていた。
そこから伸びる蔓のようなものにつるしあげられる格好で、女は身動きが取れない状態にあった。女というよりは幼い容姿からも少女と呼ぶべきだろう。
激しい戦闘を行ったようで、少女の服は切り裂かれ、ところどころ白い肌が僅かに見える。
少女は着痩せするのか。胸当てのように身に付けた鎧も剥がれ、服の合間からは充分膨らみのある下乳が見える。
そのままへそも丸出しとなっており、さらにその下となる短パンと下着はしっかりと身に付けていた。誠に残念である。
丸みを帯びたお尻も含めて、出るところは出ていることが分かる破廉恥な恰好となっていた。
「く、くそっ。白い悪魔の石像に所属しているこの私が……」
少女の名前はメル・ナーサリー。モンスター討伐など危険な依頼をこなすギルドに所属する見習い魔導師だ。
大方、魔力の源ともなりうるマンドラゴラの回収の依頼でもあったが、返り討ちにあったということだろう。
よほど悔しさを噛み締めているのか。羞恥を覚えているのか。メルは白い頬を赤く染め、手足をバタつかせてもがいていた。
しかし、太陽の光による反射がなくとも、キラキラと輝きを見せる黄金のポニーテールが一緒に揺れるだけで、マンドラゴラには意味を為していない。装備のサーベルも地に落としてしまっている状態であれば、ただギシギシと揺れるだけである。
こんな森では救援が来ることも期待できないだろう。メルは自分で何とかするしかない。
とはいえ、まず脱出しなければマンドラゴラの養分とされてしまうのがオチだろう。
「く、所詮は植物。炎熱系には弱いはず」
メルは突破口を見つけると、絡め取られた手に魔力を溜めこんで放出した。メラメラと燃え盛る凶暴な炎を召喚することに成功した。ただ、マンドラゴラは植物型であるだけでモンスターである。炎で炙るだけでは足りない。それだけならまだしも、特にこの巨大なマンドラゴラには効いていないようだった。
不気味な声を発しながら、マンドラゴラは意に介してもないない。火力不足なのは歴然だった。
「う、うそ……。そんな……」
まだ魔術師としても幼いメルなりに最大の攻撃を繰り出したのはよく分かる。だがそれでも足りないのである。
巨大なマンドラゴラは、わざわざ貴重なエレルギーを使って死に至らしめる悲鳴をあげる必要はない。獲物を絡め取りさえすれば、あとは時間をかけてゆっくりゆっくりと栄養を搾取するだけだ。
少女であるメルは、魔力にも生命エネルギーに満ち溢れている。マンドラゴラにとっては久々に仕留めた極上の戦利品であった。
「こ、こんなところで死ぬわけにはっ……」」
メルはさらにもがく。諦めず、生にしがみ付いていた。心意気は立派だが、まるで蜘蛛の巣に絡まった蝶だ。そんなんじゃ抜け出すことは永遠に無理だろう。
「お、おぉぉぉ!? ま、まさかこんなに、巨大なマンドラゴラかがいるとは!」
メルの死期が感じられるなか、随分と軽やかな調子で素っ頓狂な声があがる。ガサガサと茂みを掻い潜り、出てきたのは白いローブに身を包む人間だった。
「出ましたね、変態賢者」
メルは釣り上げた視線で、出てきたローブの男を愚弄する。どうやら知り合いのようだが随分な物言いと言えた。だが、男は全く意に介さず、マンドラゴラを上から下まで余すことなく舌なめずりをするように眺めながら得意気に口を開いた。
「いやいやさすが、我が弟子よ。まさか俺が追い求めるマンドラゴラを先に見つけるとは。褒めてつかわすぞ」
「うるさいっ。誰が弟子ですか! あれは騙されたんです。あなたが変態だと知っていれば……。まさに辱められた思いです」
「あれは君の不注意だよ。だいたい、賢者である俺の弟子にしてくれと志願したのは君のほうじゃないか」
「むぐぐ……、そ、それより早く助けてください」
快く思っていない相手だが、命の危険ともなれば助けを乞うしかないだろう。不本意ながら、そんな感情が表情からも容易に透けて見える。
だがローブの男は断った。
「まぁ待て。下手に刺激してはこのマンドラゴラが暴れてしまうかもしれない。まずは普通とは違うこのマンドラゴラの生態についてじっくり、研究してからでも遅くはない」
ローブの男はどうしたことか、少し息を荒げていた。走ってきたわけでもなく、体力の消耗もないはずだ。にもかかわらず、頰を赤らめてふぅ、ふぅと苦しそうだ。
「ちょ、やめてください。こんなところでいきなり発情なんてしないでください」
メルが叫ぶ。一体何処に興奮する材料があるというのか。確かにメルはあられもない半裸の姿をしている。だがそこまではぁはぁと興奮するほどではないだろう。
「素晴らしい。通常のマンドラゴラの造形美は確かに他に見ない蠱惑的な価値を見出せるが、あまりにも小さい。とてもじゃないが、鑑賞用が精々だ。だが、ふぅ……ふぅ……この大きさともなれば、俺の野望を叶えるのも夢ではない」
賢者であるらしいが、男は何処か危ない空気を醸し出している。男の名は、ロイ・ボキヘン・タイシツシャル。世間では白魔導の賢者として名を馳せている。だが、今の状態を見るに、世間の評価など当てにならないかもしれない。
魔導賢者としての制服にあたるローブを纏うが、下半身からそそり立つ隆起でローブが押し上げられている。
前かがみなど知らぬ。羞恥など捨ててきた。今のロイにあるのは、追い求めていた神秘との出会いに昂ぶる性欲のみである。
「何でこの状況で勃起してるんですか! 馬鹿なのですか!」
「たわけ! お前には分からぬのか。この人工で表現できない生命の力強さが。地に根を下ろす折れることのない茎。このゴワゴワとしたところも駆り立てられる。まさか触手が生えてるとは予想外だったが、まさにマンドラゴラ。まぎれもないマンドラゴラだ。マンドラゴラエロすぎー!」
「何処に向かって叫んでるんですか」
突然天を仰ぐように叫ぶロイ。クリーム色の短髪で、ガタイもそこそこ良い。賢者のなかでも数少ない筋肉質で顔も整っておりイケメンの部類だろう。だが、股間を轟かせながら戯言を吐く姿は残念としか言いようがなかった。
「いいから早く助けてください。変態賢者」
「ふ、変態結構。世が俺についてこれないだけだ。俺は賢者となってから常日頃考えている。変態ゆえに賢者なのか。賢者ゆえに変態なのか。否、紳士ゆえに俺なのだ」
「わけがわかりません」
ロイの持論は理解できないと弟子のメルがバッサリと斬り伏せる。だが、ロイはふふっと相手にせずマンドラゴラに見惚れていた。
早く脱出したいメルは罵詈雑言を続けた。
「変態賢者、変態賢者」
「はっはっは、何とでも言うがいい。紳士たる賢者の俺の前では全て受け止めようではないか」
「早漏賢者、早漏賢者」
「早漏じゃねぇ!」
「童貞賢者、童貞賢者」
「ど、どどど、童貞ちゃうわ!」
激しい口撃が繰り出されるなか、はぁはぁと別の息切れが出始める。
「えーい、大体お前は俺の弟子なんだから師匠と呼べ師匠と」
「絶対嫌です。崇拝するべき賢者の、それも私の師匠がこんな変態だとは私は認めません。ぜぇ〜ったいです」
「む、むぅ。何て頑固者だ。い、いやそれより今はマンドラゴラちゃんだ」
一体いつまで続くやり取りなのかと思い知らされるところだったが、終わりは突然訪れる。おとなしかった巨大なマンドラゴラがついに起きたのである。
「■■■■■■ッ!?」
「ひぃっ!」
マンドラゴラ特有の呪いの雄叫びに似た唸り声だった。手を封じられ、耳を覆えないでいるメルは死を感じて小さな悲鳴をあげた。ただ、マンドラゴラの伝承のように即座に死に至ることはなかった。
「はぁはぁ……安心しろ。お、俺の観察によれば、ここまでおおきくなったマンドラゴラは早々天敵にはおらず、敵を即死させる必要はない……はぁ、はぁ……。むしろ、……の、呪いの悲鳴をあげることは思ったよりエネルギーを使うようでな。はぁ……はぁ、できるかぎりエネルギーを使わなくても、済むように進化したようで、はぁ、……声による呪いはほぼ効果を失っている」
「ほ、本当ですか、良かった」
「まぁ、その代わりに……」
再びマンドラゴラは声を発して、触手を纏わせる。見るからに戦闘態勢に入っていることが未熟なメルにさえ分かった。
「■■■■■■!?」
「植物型とは思えない動きで敵を駆逐するようだな。はぁ……はぁ……全く、とんだじゃじゃ馬じゃないか」
「きゃああぁあ!」
メルを抱えたまま、触手が何十本も伸びる。激しい地響きを震わせると、敵を定めたロイに向かって絡め手を差し向けた。
膝をめいいっぱい折り曲げて、ロイは跳ぶ。まるで飛翔するように触手の猛攻を飛び越えた。そのまま、触手の上を走りぬけて掻い潜る。
が、すぐに捕まってしまった。
「何やってるんですか、この変態賢者」
「はぁ……く、くぅ……や、やばい、……この締め付けは……」
触手に縛られた状態のロイをメルはとことんなじった。だが、ロイの心配はべつのところにあるようだ。
「はうっ、……ま、待て、……そ、それ以上締め付けるな……あ、あああ、ああぁう……あああかあっぁぁぁ!」
身震いするとともに、破裂したのは魔力の暴走。腐っても賢者としての魔力を有するロイの体から溢れた魔法の源である。ただ、半端ないロイの魔法は勃起したイチモツから射出されてしまうのである。
ロイの絶頂とともに、白い閃光が撃ち出される。鋭い光はマンドラゴラへと撃ち出され、マンドラドラの茎を綺麗にえぐって森を貫通して大規模に破壊する。
「こ、この早漏賢者ッ! 私がいるのに何を出してるんですか!」
メルの怒りは最もである。危うくロイの股間から発射された、白い白濁液ならぬ白濁光によって汚されてしまうところだった。いや、怪我をさせられてしまうところだった。
「俺は早漏じゃない!」
マンドラゴラもさすがに驚いたようで、触手の束縛が緩くなってしまい、ロイのみを解放してしまった。その隙に、抜け出したロイは、自分の野望を叶えるため、ニ度と触手に捕まるものかと警戒して間合いを測る。
頭の回転は速いが、魔法の暴走による効果でロイの股間は丸出し状態であった。
「てか何で丸出しなんですかッ!」
「不慮の事故があったのだから仕方ないだろう」
「きゃああぁ、動かさないで! この変態賢者、今すぐモザイクをかけてください」
「えーい、やかましい」
ぎゃあぎゃあと喚くメルに言われ、仕方なくロイは自身の股間にモザイクをかけた。そういう魔法である。賢者なら使用可能なのである。
マンドラゴラも得体の知れない人間に多少恐れをなしているが、めげずに触手を伸ばす。
「それより、今ので勃起が弱まってしまった」
確かにロイの立派にそり立った肉棒は、今や推定18センチ、およそ120度ほどの角度でマックスに比べれば、いささか弱い。
「ふ、たった一発でこれか。だが、あのマンドラゴラの魅力を見ればまだまだ……ぶへっ!」
「この童貞賢者、ちゃんと前を見てくださいッ!」
触手にしばかれたロイは吹き飛んでしまう。が、まだまだ余裕はある。
「ぐふっ。全く、少しは待ってほしいのだが仕方ない」
ロイは駆ける。股間を晒したまま、目にも止まらぬ高速移動で触手を躱す。そしてマンドラゴラの周りを旋回し始める。一見ただ逃げ回っているようだがそうじゃない。ロイは地面の一点を見付けると、歓喜の声をあげながら、ダイブした。
「見つけたぞ」
「な、何ですか」
「普通のマンドラゴラだ」
ロイは躊躇することなく、マンドラゴラを引き抜く。当然、伝承通りマンドラゴラは引き抜かれた瞬間の呪いの悲鳴をあげることはできなかった。
「■オォン……ちゅじゅ……んん、ちゅる、はぁ、は……じゅ、んちゅ………」
何と、叫ばれる瞬間、ロイはマンドラゴラの口を塞ぐように口付けをする。そしてそのまま、舌を無理矢理ねじ込み、濡れた唾液を送り込み、またマンドラゴラの舌のようなものに吸い付く。
まぎれもないキス。いや、深く舌を絡めあうディープキスを見せつけたのである。マンドラゴラとの命がけのディープキスである。
あまりの気持ち悪い絵面に、巨大なマンドラゴラも触手を止めてしまうほどであった。
何より可哀相ななのはいきなり引き抜かれて舌をねじ込まれて、犯されているマンドラゴラ通常版である。
長く、情熱的なキスを終えると、ロイは満足そうに唾液まみれの舌で唇を舐め取る。
「はぁ……はぁ……なんて、柔らかさだ」
まるで乙女の唇を奪ったかのように、ロイは恍惚に蕩けた表情を見せた。再び興奮してやまない熱気を纏った発情状態である。なによりそれを証明しているのが、モザイクがかかったままの曝け出した股間である。
推定21センチ、190度でマックスの硬度。後光さえさす黒光りしたシンボルは、浮きあがった血管により、ビクンビクンとロイの鼓動を示す。
むしろ先ほどよりも醜悪さが増したとい言えよう。
「うぅ……、モ、モザイクがかかってるはずなのに……」
モザイクがかかっていようと、まさに見る者を殺す勢いでソレは隆起していた。
僅かに巨大なマンドラゴラが引いているのも見間違いではないだろう。
「きゅ……」
ロイの手のなかで凌辱の限りで犯されたマンドラゴラは、死んだようにピクリとも動かない。
「やはり、この土の味と甘い樹液のコラボはいい。すぐに勃起してしまう。さて、ではいよいよメインディッシュ。お前を犯させてくれ。マンドラゴラちゃん」
「■■■■■■!?」
巨大なマンドラゴラが唸る。だがそれは最初の頃のような捕食者のそれではなかった。紛れもなく、マンドラゴラは恐れをなしていた。
「さあ早く、もう待てないんだ。今すぐに、その柔らかな肢体を堪能させてくれ。今なら、もう想像だけでイってしまいそうなん……あああぁっぁああ!」
「■■■■■■!?」
何と本当にイってしまったようだ。何も触れることもなく、あまりの興奮によりマンドラゴラとの性交を想像しただけで果ててしまったようだ。何という早漏。
そして、マンドラゴラとのディープキスで昂った感情は、最初の絶頂を遥かに凌駕した。その破壊力により、巨大なマンドラゴラは木端微塵になってしまったのである。
「い、一応助かりましたけど、危うく私も巻き込まれかけたので、その……」
「うああああああああああぁぁぁぁ、あああぁっぁぁあああぁあぁぁぁぁぁぁ……」
せっかく出会えた巨大なマンドラゴラを自らの手で消し飛ばしてしまったことにより、ロイは股間丸出しのまま盛大な男泣きをかましていた。本来ブチギレようかと思ったメルが、どん引いてしまったのために声をかけるのもためらうほどの本気の泣きっぷりである。
「やっと、やっとマンドラゴラとセックスができると思ったのに……」
(ほ、ほんとに何でこんな人の弟子になってしまったんだ私は……)
メルは自分の置かれた境遇に悲観もしよう。ただ、逆に哀れに見えてきたメルは、いい加減帰りたくなってきたため、仕方なく師匠であるロイに声を掛ける。
「と、とりあえず討伐はできたので報酬ももらえるし帰りましょうか」
「マンドラゴラが……」
「その小さいので我慢してください」
「家に帰れば1308匹いるし」
(マジかこいつ……)
「じゃ、じゃそれは捨てていきますか」
「いや、持って帰る。なかなか良い土の味だった」
(もう何も言えない……)
そそくさと持ち帰る準備をするロイに、メルは固まることしかできなかった。
「もう何でもいいです。好きにしてください」
テンション高いときはそれはそれでうっとしいが、落ち込まれてるときも面倒だと感じるメル。そんなとき、ガサガサと茂みが大きく揺れた。
「な、何?」
警戒するメルの目の前には、人を簡単に呑み込めるくらいのワームが出てきたのである。小柄なメルよりもはるかに大きなワームは、危険というよりも恐怖と醜悪さと気持ち悪さを兼ね備えていた。
「わ、ワーム……私虫系苦手なのに」
「お、おぉ、おぉぉぉぉぉぉぉ!」
メルが苦手なものを目にして怯える横で、噴火したかのようにテンション高々の悲鳴が嬉しさのあまり飛び出した。
「こ、こいつはワームのなかでも特に大きく、酸や毒を持つデビルワーム。何とこんなことで出会えるとは。何という偶然、そして何と蠱惑的なスタイルなのだ。俺を誘っているとしか思えん」
「は、はぁぁ?」
メルはロイの言葉を疑った。
「はぁ、はぁ、はぁ……ワームと、というのもありか否か。いやありだ。ありに違いない」
「しょ、正気ですか。こんなワームにまで発情してるんですか」
「行くぞメル。次はワームをオナ……いや、ワームの生体系について調べないといけない」
「今何て言おうとしました? いい加減師匠と言えどブチ殺しますよ。てかいやです。行きませんよ。私はもう……」
「さぁまた俺のために捕まるんだ。弟子だろ」
「いやああああぁぁぁ!」
イシュタールの森。人が通らないはずのこの森で、あと何度悲鳴があがることだろうか。賢者とその弟子の冒険はまだまだ続く。