クズ、風呂場を盗撮する
「おーい、生きてるか?」
「生きてるよザック、てか髪の毛から制服までボロボロなんだけど」
「あぁ、今日の剣術訓練で殴り合いになった」
「ここまでボコボコにされるのは珍しいね、相手は?」
「コレリック先生」
「なっ!? どういう相手を考えて戦いなよ!」
「元の発端はお前が休んだからだろ! そして俺は殴り合いになったが俺のスーパーダイナミックゾバットスペシャルウルトラデラックスパンチングをして勝った」
「……何で剣術の訓練なのに殴り合いになるのさ。てか長過ぎだよそのパンチ名」
「スーパーダイナミックゾバットデラックスパンチのことか」
「絶対名前適当に付けたんだね!」
皆が帰ってから数時間も殴り合いをしてたら保健室の先生が来て強制的に寝かされたんだよね。だけど俺の方が気絶するまでの時間長かったから俺の勝ちだな。……それよりも保健室の先生、お願いだから剣の平たい場所で叩かないで貰いたい。
「で何して遊ぶ?」
「フハハハハ! 遊ぶだと? 今日はそれ以上に大事なことを狙っている!」
「そ、それよりも大事なこと?」
「そうだ!」
そう、俺はこの日を待ちに望んでいた。この剣術訓練を行う前にそれに必要な物は購入しておいた。そのぐらい大事なことと言えば……。
「女子風呂だァ!!」
「じょ、女子風呂っ!?」
「そうだ!」
「けどさ、バレたらヤバいんじゃないの?」
「安心しろ、俺を誰だと思っている」
「全てのステータスを戦闘に全振りした男」
「確かにそうだけどそうじゃない、答えはあらゆる魔法を使える者だ!」
「そうか、魔法で姿を隠せば!」
「その通り、光魔法を行使すれば覗きなんて楽勝よ」
光魔法の一時的に姿を隠す魔法を使えば姿を隠せる。とはいえ影や気配は隠しきれないが。
「は、早く風呂に行かないと!」
「そうだな、俺の部屋からその必要な物を持ってくるから出口で待ってろ」
「うん、わかった!」
俺は自室から物を取りに行き、ザージュは急いで出口へと向かった。俺はニヤリと笑った。
ふふふっ、これが成功したら俺は全男子生徒のトップに君臨できるだろう……。
★☆★☆
「ザック準備は出来ているのかい?」
「あぁ勿論、この袋に入ってる」
「けど女子風呂って内部の入浴施設だよ、どうやって入るんだい?」
「俺の魔道具を使えば済む話」
「そっか!」
俺とザージュは合流を果たして女子風呂のある一階の外に居る。渡り廊下を渡ると女子風呂なので魔法を使っても警戒をする必要がある。もしもこれがバレたりしたら学校中の嫌われ者に変わる。
「いいか、あのダクトはな女子風呂の天井裏に繋がっててな。そっから侵入することができる」
「スゴイよザック! 考え付いたね」
「だろ? さあ早く入るぞ」
「了解!」
外に付けられているダクトの口を覆うシャッターを鋼線で器用に取り外し、奥の方に存在しているパイプに鋼線を取り付けてザージュを背負いながら中へと入る。途中で他の女子生徒が渡り廊下から出て行くも察知されずに済んだ。
ダクトの中は狭く、横幅は人一人がギリギリ動けるほどの広さだ。そこを渡っている最中の時の音を立てずに這って進まないといけないのが難しいところだ。
「そういやザック」
「どうした?」
「どうしてこの日にしたの? 他の日も出来た筈でしょ?」
「良い着眼点だなザージュ、理由は全学年が体を動かす授業を行う日だからさ」
「必ず全員が風呂に入ることだね」
「その通り、そして時間も混み合っている時間帯を狙ったのさ」
女子は綺麗好きだから汚れるのを嫌い、だからその汚れを落とすためにお風呂に入る。その時を狙って俺は覗きに行くのだ。
そして全男子生徒の主権を握るきっかけを作らないとなぁ……。
「今絶対悪い顔してるよね、後ろに居てもわかるよ」
「そうかな、そしてここから上に上がります」
「けど上と言ってもは天井は無いし、てか今ダクト内だよ?」
「大丈夫、そこを斬って無理やりいきます」
「えっ!? 斬るの!?」
「うん、そうすれば天井裏行ける」
丁度ここが天井裏に行ける場所だからね、もしもこのまま行ったら食堂まで行っちまうからな。ダクトを斬り、天井裏へと侵入する。
暫く這って進むと天井裏からでも入浴中の女子の声が聞こえる。
「けどどうやって見るんだい?」
「ここの床をあらかじめ外せるように細工したからそこから」
「結構下準備万全だね……」
「だって学校の全てのダクト内を探検したからな、意外と楽しいぞ」
「そんなネズミみたいなことはしたくないよ……」
「さて、開くぞ」
床を静かに開ける。開けたところからは湯気が漂ってきて、風呂場にいることを実感できた。下には入浴中の女子たちが風呂を楽しんでいた。
眼福眼福、作戦を実行する一日前に工作しておいて良かったぜ。
「こ、ここが女子のお風呂……」
「スゴイだろ、そしてこの道具を使うとさらにいいです」
俺は持ってきた袋からある物を取り出し、ザージュに見せる。
「こ、これは最近発明された撮影機だね! 僕初めて見るよ!」
「この日のために用意したんだぜ」
「けど、値段高かったでしょ!?」
「いやー、ちょっとした収入源があってね」
まあその収入源というのは試験の時の嫡子から抜き取った財布の中身と財布自体だけど。にしてもあの趣味の悪い財布が財布の中身以上に値段が良いとは驚いたな。結構上質な皮使ってたからかな、ダサいけど。
「それで女子を撮影しろ」
「えぇ!?僕が使ってもいいのかい?」
「勿論、だって俺ら友達だろう?」
「ありがとうザック!」
……何故ザージュに使わせたとかというと、万が一覗きバレてしまい罪に問われても撮影をしていたザージュの方が重罪になるからな。俺は撮影よりもその後が重要だからな。うおっ、あの子めっちゃエロい体してんな。もう堪らないぜ。
ザージュが撮影機を向けて女子たちを熱心に撮る。そして俺は覗きに集中する。やや湯気で見づらいがそんな小さな問題は気にしない。
一時間後、女子たちが風呂場から全員あがる。もう混んでいる時間帯は過ぎて、その場所には俺ら二人しか居ない。
さてと、そろそろ撤収するか。俺らの方もお風呂に入りたいし。
「楽しかったよ。にしても女子のお風呂も覗けて撮影機を使えて至福の時を過ごせたよ」
「そうかそうか」
「……だけど君はただ撮影をしにきたためじゃないだろ?」
「ご明察通りだ」
俺は単に覗きをしに撮影機を買ったわけじゃない、そう俺が狙っているのはその後の話だ。
「撮影したのを現像して売ります」
「う、売ちゃうの!?」
「そう、そして一枚三銀貨で」
「な、なかなか普通の学生にとって高いね……」
「そうか? そしてペアで買うと五銀貨にさせて売る」
「……なるほど、人の勿体ないを利用して金儲けするんだね」
「大当たり、そして別の商品で女子が使ったタオルを銀貨四枚で売る」
「だけどさ、そういうのをどうやって仕入れるの? 忘れ物だとしても数が少ないよ」
「フハハハハ! 普通のタオルを売るんだよ」
「けど詐欺だよ!」
「盗撮してる時点でヤバいです。けどその情報を知らない男子たちはそれを買って発情もとい嬉しいし、俺もお金が入って嬉しい。ラブアンドピースってことさ」
「な、なんという悪魔的行為なんだ!」
俺は昔からずる賢いし、物の売買の仕方などを学んであるからな独学で。この商売をして男子の人気を集め、そして俺が将来的にこの学校を牛耳るんでね。
「ついでにタオルとペア写真をセットで買うと銀貨七枚となります。バラで買うよりかは銀貨二枚得をしますね、なんという良心的な価格」
「流石はザックだ。あくどい商法を使うのに慣れてる」
「俺の通っている賭博場でそういうのに詳しい友人の商人がいるんだよね」
「……それ本職が詐欺師だよね」
「安心しろ、アルバイト代としてお前にも売り上げの二割はやるよ」
「僕、嬉しいけど嬉しくない様な気分だよ……」
さあ、この学園を牛耳る大規模作戦を始めよう。
そして、自称男子の味方の商売人を自負する俺の大きな夢兼野望を叶える大規模作戦が始まった……。
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